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異常性癖が異世界転生した結果  作者: 冷精 紅鴉
第二章 スピカ王国編
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99話 不穏な影と旅行計画


某国ーー



とある組織によって、秘密裏に開発が進められていた兵器が突然暴走し始めた。



「マズいぞ!このままでは爆発するぞ!」


「止めろぉ!今すぐに止めるんだぁ!」


「だ、ダメだ!止まら………」



ドガァァァン!



研究員が悲鳴を上げる間もなく辺り一体は吹き飛んで、研究施設の建っていた場所は一瞬にして荒野へと姿を変えた。


その周辺は誰もいない辺境の地であったため、犠牲者は所属していた研究員のみだったのは幸いであっただろう。



『ギ……ギギ、ギ』



たった一つ、開発途中の殺戮兵器だけを残して。



『生……命…反応、アリ』


ズダダダダ


ソレはゆっくりと動き出し、あてもなく命を奪いながら彷徨い始めた。





「「旅行?」」


「うん」



俺たちは夕食を囲ってシャロンの提案を聞いていた。



「せっかくのお休みだし、みんなでどこか行ってみないかなって」



旅行ねぇ。思えば王都に行ったとはいえ、それは旅行とは言わないだろうし、純粋に観光をするという意味でなら行ったことはないな。


前世ではせいぜい修学旅行で西の都へ行ったくらいだしな。



「予定も特に決めてなかったし、良いんじゃないか?」


「だよね!アクリーナはどう思う?」


「私も良いと思うわ。せっかくだし、アレスも誘ったら?」


「アイツは予定があるっぽかったけど、空いてる日とか後で聞いてみるよ」



アイツもアイツで誘ったら来てくれるとは思うけどな。



「みんな学園生活を謳歌してるみたいねぇ」


「正直兄さんたちが羨ましいよ」


「スヴェンも数年後には入学するだろう?」


「僕はーーそうだね。父さん、いいでしょ?」



スヴェンがラルスの方を見て言う。

俺が王都に行くときに楽ができるとか言ってたしな。



「ああ、だがその前にちゃんと実力をつけてからだな」


「うん、頑張るよ」



そんな感じで談笑していると、シーナが俺らの方を見て口を開いた。



「それで、旅行にはどこに行くつもりなのかしら」


「ええっと、その、まだ具体的に決めてはなくて……」



急に話を振られてシャロンがモタつく。

まあこの提案自体が思いつきみたいだし。



「……それならスピカ王国はどうかしら?アルカイドからそんなに遠くないし、授業でも歴史ある国って聞いてるし観光にはいいんじゃないかしら?」



アクリーナがそう提案する。


スピカ王国、この世界で最初に建国された国で最も歴史のある国だと習った。そのため伝統文化や料理など昔馴染みのものが多くて、周辺国から見たら変わって見えるらしい。


さらには伝統的な建物も多く建っており観光国として有名だそうだ。ただ馴染みのない文化が多く、そこだけ別世界って感じがするそうだ。


別世界どころか異世界から転生してるんですけどね、俺。



「うん、良いんじゃないか。シャロンはどう?提案したんだから、お前が決めていいぞ」


「私もそこで良いよ。馴染みのない、変わった文化って気になる!」


「決まりだな。あとはアレスにも確認をとって、日時も決めようか」



なんだか楽しくなってきたな。こうやって友達と計画を立てるのも旅行の一環だな。



「そういえば、その国にはミスリルドラゴンの聖地があったわね」


「そうだな。あそこにはデカい教会があってミカエル様のご加護が受けられるとかで信者の列も出来てたなぁ」


「行ったことあるの?」


「おう、冒険者やってた頃に世界中を旅してたからな!」



へー、世界中を旅か。この世界がどのくらいの広さがあるのかは知らないが、少なくとも飛行機や自動車のないこの世界において、かなり長い年月を旅してたんだろうな。


ん?そういやミスリルドラゴンって……



「ミリィの故郷ってことになるのかな」


「ミリィ?」


「うん、私の従魔」


「じ、従魔?」



ラルスとシーナが首を傾げる。



「シャロン、召喚した方が早いよ」


「うん、『我が前に馳せ参じよ、ミリィ』!」



シャロンが従魔召喚の呪文を唱えると、シャロンの腕の中に白いドラゴン、ミリィが現れる。



「キュア!」


「わぁ!」



ミリィはテーブルの上に飛び乗ると、中央に盛られていた熊の丸焼きを頬張り始めた。


これを見て俺はやっぱりドラゴンは肉食なんだなぁとどうでもいい感想を持った。



「「…………」」



ラルスとシーナは絶句したような表情で固まっていた。



「父さん?母さん?」


「「…………」」 



二人は目をゴシゴシと擦って、テーブルの上で熊肉を食べ続けるミリィを見た。



「……………ミスリル、ドラゴン?」


「……嘘、本当にシャロンちゃんが召喚したの?」


「正確には卵だったのが孵ったんだけどね」



それでも二人は変わらず驚いていた。



「まさか、神話の生物が実在していたなんて……」



神話?実在?アデール曰く存在してるような口ぶりだったけど、エルフと人族とで伝わってる話が違ったりしてるのか?それともこの二人が知らないだけって可能性もあるけど……



「ウチの子はどうして想像を越えてくるんだろうなぁ」



ラルスが遠い目をしてぼやく。正確にはシャロンは隣の子って感じだと思うけどな。



「一応聞くけど、二人の従魔はどんな子なの?」


「えっと、私は回復支援型のセイレーンで……この場に呼び出しても大丈夫ですか?」


「ええ、いいわよ」



そう言ってアクリーナは席を立ち、少し離れたところにむけて呪文を唱えた。



「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!」



くしゃみで飛び出してくる魔王の如く、アクリーナの従魔ステラが現れた。



「ちょっと、ここ水辺ではないじゃない。こんなところに呼び出して……」


「あら?」



ステラがシーナの方へ視線を向けた時、二人の目線が合いお互いに沈黙した。

さて、本日より第二章スピカ王国編がスタートです。今後ともよろしくお願いします。

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