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異常性癖が異世界転生した結果  作者: 冷精 紅鴉
第一章 学園生活編
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96話 結果発表


次の日、俺たちは荷物をまとめてから一度学園へと向かった。試験の結果を確認して、合格ならばそのまま解散できるが、ダメならばゴットハルトによって特別訓練を課される。



「何か、緊張するね」


「そうだな」



特に結果について心配してはいないが、それまでの過程というのは緊張するものだ。



「みんなは休みの間は何をするつもりなの?」


「俺とシャロンは実家に帰るとして、そのあとは……まだ考えてはいないな」



帰ることは前提にしても、特に何かをする予定もない。あの脳筋夫婦のことだ、学園に来る前みたいに訓練漬けの毎日になるだろうと予想される。



「僕は本体のこともあるし、世話になった孤児院を手伝いながら入院代を稼ごうと思ってるよ。それに……」



アレスの視線を先を見てみると、そこにはヘラが同じパーティの人たちと一緒に掲示板を確認している姿が見えた。


未だに彼女と和解というか話ができていないのか、まあ頑張れとしか言いようがないな。


というか、あのパーティって……



「やりましたわぁ!グロリアさぁん!」


「ちょお!エル、さん!」


「殿下、落ち着くにゃ」


「グロリア様……」


「この人たち、一体何なのよ……」


「ほんと、そうよね」



ヘラのいるパーティにはエル王女を筆頭にミカ、グロリア、サラ、そしてヘラともう一人エルフの女の子によって構成されていた。


相変わらず王女はブレないな、グロリアといると常に抱きついているんじゃないのか?あの二人の関係って本当なんなんだろうか。



「まぁ、頑張れよ」


「……ああ」


「そういえばアクリーナは休みの間は何をするの?」



シャロンが首をかしげながらアクリーナにそう質問する。



「あー、えっと私は……多分、実家に帰る、かな……?」



アクリーナが視線を逸らしながら言う。

確かアクリーナの実家って、父親が……


そんな親がいる家に帰るだなんて、俺でも帰りたくはない。そもそも自分の子を愛さない親など、親と認識したくない。



「だったら、私たちと一緒に来ない?」


「え?」


「アクリーナって、いつも家だと一人なんでしょ?それなら、ウチに遊びにおいでよ!」



シャロンがアクリーナの手を取り、そんな提案をする。確かに家でずっと一人で過ごすよりも、俺たちと同行した方が彼女にとっても楽しいだろう。



「なあシャロン……」


「クーラス、ダメかな?」



シャロンが俺に懇願するような眼差しで言う。



「別に構わないぞ。俺も歓迎するよ」


「アクリーナ。どう、かな?」


「二人とも……ありがとう」



王都に来て初めてできた友達だからな。俺としても彼女が遊びに来てくれるのは嬉しいことだ。


正直、アレスにも同じ提案をしたいところだがアイツはアイツでやりたいことがあるようだしな。


ちょうどその時、前のパーティが何組かはけて、掲示板に貼られた結果を視認できるようになった。



「えーと、どれどれ?」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


冒険者ギルド依頼 団体(パーティ)試験結果

ルードルフ学園、シエル学園


1 『夜明けの星』受注数13 達成数13 評価S+

リーダー クーラス=ヴィルヘルム

シャロン=フレンツェン

アクリーナ=アルデバラン

アレス=タキオン


2 『ミルキーウェイ』受注数13 達成数12 評価S

リーダー グロリア=フォン=バイルシュミット

エルルーン=ヘルト=アルカイド

ミカ=ペルシャ

サラ=テュルク

ヘラ=クエーサー

カリスト=フルス


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


このように合格したパーティはもちろん、順位ごとに達成数と評価、そしてパーティ名とメンバーの名前が張り出されていた。


余裕で受かると思ってはいたが、まさかトップになるとは思いもしなかった。 


王女とグロリアが組んではいるだろうから、てっきりそこがトップになるんじゃないかと思っていたぞ。


受注数と達成数に差があるところを見ると、何か失敗したというのかな?


何にせよ、とりあえずは一安心だ。



「ふざけんな!何で俺たちが失格なんだ!」



突然怒声が響き、声がした方を見るとゼウスがゴットハルトへと突きかかっていた。


ああ、何かしら問題は起こすだろうとは思っていたがやっぱりそうなったか。



「貴様が起こした問題の数々、ギルドだけでなく学園内でも話題になっているのがわからんのか!」


「知るか!アレはコイツらが俺の命令に従わなかったからだろ!」



ゼウスが激昂しながらメンバーを指差す。

男子二人、ゼウス含めて三人か。今回の試験での最低人数だな。まあアイツの人望は無いだろうし、ゴットハルトによって数合わせで集められたのだろうな。不運としか思えん。


二人とも怪我をしているようで腕を骨折してたり、頭に包帯が巻かれていた。黙って俯いているが、静かに震えているのがわかる。


多分、ゼウスに対しての怒りを押し殺しているんだろうな。ということはゼウスよりも身分が下の貴族、もしくは平民の奴だろう。


試験結果の張り紙をもう一度見てみると、一番下の欄にゼウスの名前があるのが見えた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


失格パーティ 計1組


『最強の神々』受注数30 達成数0 評価 なし

リーダー ゼウス=ヴォルシア

クルト=アグリーブ

ブレッド=インジャ


失格理由

・依頼失敗 30件

・乱闘騒ぎ 3件

・獲物の強奪未遂 2件

・虚偽申告 4件

・仲間割れ及び傷害 1件

・危険地帯への無断侵入 2件


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



……うわぁ。


ギルドの禁止事項をいくつも破ってるうえに、犯罪も犯してんだろ。というかあの二人の怪我って、ゼウスが原因じゃないのか?


ほんっとクズだな。自分が特別だとでも思ってるのかね。こんな奴とっとと退学処分にでもしてしまえよ。


つーか、失格したパーティってゼウスのところだけかよ。他のところに目を向けるとほとんどが最低基準の依頼数をこなしていたようだった。


30も依頼を受けておいて全部失敗って、全部Dランクで固めたりしてたのかね。通りで数が少ないと思った。


今回、一番不幸だったのはゼウスの数合わせにされたあの二人だろうな。



「クーラス?」


「……いや、早く行こうか」



ゼウスとゴットハルトの罵り合いを背に、俺たちはその場を後にした。

話数では今回で100話目になりますね

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