こんな妖精くんと付き合いきれるか?理科系くん
あなたは目に見えない神様と目の前にいる妖精くんとどちらに願い事をお願いしますか? この話しを読んだらやっぱお願い事は神様にしとこうと思うでしょう。くわばら、くわばら。
第1章 妖精さんお願いします! 「妖精さんお願いします。」小さく言ったつもりなのに意外とその声は澄んだ山の空気にこだました。中学2年男子としてこんなこっぱずかしい事を口から発するのも赤面ものだけど、我慢することにする。ここは家から自転車で12分、電車で30分バスに乗って10分の俺の住んでいる地域から1時間以内でいける山といったらここでしょうと言うようなお手軽な山の中の泉のほとりだ。そして俺は中2男子竹ノ内両太郎14歳。父さん、母さん、ばあちゃんそれから母さんのお腹の中に俺の弟か妹かなる子も含めて5人家族、二世帯住宅に住んでいる。(俺個人的にはお腹の子は妹希望である。)庭には犬のペスもいる。誤解のないように言っておくが、俺の家はひいじいさんの代から筋金入りの理科系の家だ。断じて、妖精、幽霊、雪女、雪男、小人、のたぐいの妖怪変幻はたまたカルト、おとぎ話、ファンタジーにいたるまで、今までおおよそ縁もゆかりもない生活をしてきたつもりだ。それでは、なぜ妖精に助けを求めるという、こんな乙女チックな手段にでたかというと、あれは俺が小学校低学年の時だった。「両太郎、何か大切なお願い事があったらあの山の泉に住んでる妖精さんにたのんでみるといいよ。」ばあちゃんはある日家から見えるこの山を指さしながら不思議な事を言った。「ただし、パンが欲しいとかおもちゃが欲しいとかそんな願い事でなくもっと重要なお願い事が出来たときだけにしておきなよ。そうでないとあとあと祟られて、めんどくさいことになるよ。」 祟るなんて妖精じゃなくて妖怪だろうと思うがあとになってこの泉に来たことが俺のため息人生のはじまりで、とんでもなくめんどうくさい奴にとりつかれたかたちとなってしまった。しかし当時小学生の俺には重要なお願い事などあるはずなく、そのどこまでも怪しい 話しはそのまま俺の心にしまいこむことになった。ところが昨晩状況が変わった。
ばあちゃんが倒れたんだ。昨晩突然に。俺は誰がなんと言おうとピカピカのばあちゃん子だ。自分で言うのもなんだけど、マザコンならぬグランドマザコンなのだ。学校から帰るといつもすぐに歩いて0分のばあちゃんちに行くのが俺の日課だ。そこで死んだじいちゃんにお供えしてあるようかんだの、せんべいだの、四角いゼリーだのを食べながら今日あった出来事を俺流に四角四面にそれは事細か話して聞かせる。ばあちゃんはばあちゃんでこれまた真面目に深くうなずいて俺の話しにつきあってくれる。母さんはそんな俺たちを見て肩がこると言うがそれでも楽しいのは楽しいのだ。そんな妖精に知り合いがいるとは到底思えないばあちゃんがそんな話しをしたので不思議に思いなんとなくこの話しを覚えていたので、ばあちゃんの無事を困った時の神頼みよろしく妖精頼みをしようとしている。 ところで今、妖精が存在するであろうこの泉は俺の声がこだましたあとしんと静まり返った。もしかしたらなにか起こるのではないかと思っていた俺は少し物足りなかったが、まあ目に見えない者へのお願い事はこんなものだろうと思い、後は念のため近所の神社で神様にお参りしようと俺は帰ろとした、 とその時 「何、ぼくのこと呼んだ?あんまり小さい声だったから、本当にぼくのこと呼んだのかな、と思っちやった。お願い事をするときにはね、もっと大きな声ではっきりと、何回も何回もそれはそれは熱心にたのんでみてもいいんじやないかな。だってそのほうがぼくだってやる気がでるじゃん。それを一回口の中でゴニョゴニョいってため息ついて帰っちゃうんじゃ、なんかこっちだって出ていくタイミングを失うというかなんというか、でもさ、こっちも人間のお願い事かなえてあげるの久しぶりなわけ。今日は特別だよ。ぼく1日一膳を心がけてる、親切なやさしい妖精さんだからね。ねえ、どんなお願いなの?言ってごらんよ。」
俺は急にてで来たそのなんと言ったらよいたのか、その生物のとぼけた調子に唖然茫然してしまった。だってそうだろう?おおよそ幽霊、おばげ、妖怪変幻にいたるまで、こういったたぐいのものは、人間の目には見えないのは常識ってもんだろう。その生物はだいたい見た感じ俺と同じくらいの年格好した、たぶん男子だ。薄い服のようなひらひらしたものを、身に付けていた。そして背中にはなんだかとてつもなく大きなトンボの羽のようなものをつけてパタパタと動かしていた。目は右目は緑色で、左目は濃い青、鼻と耳はとんがっていて、くるくるの巻き毛にはその返で摘んだであろう花が無造作についていて口はいだずらっぽく笑っている。 のがばっちり俺に見えている。 「ねえ、聞いてるの。はやくお願い事言ってよ。」と言っている。俺はしばらくその明らかに妖精スタイルであるそいつに向かって「本当にきみは妖精ですか」
と俺は我ながらまぬけな質問をした。 「妖精ですか?ってさっき、『妖精さんお願いします』って言ったじゃないか。それにぼくだって親切でやさしい妖精さんですよ。って自己紹介したでしょ。」そう言って口をとんがらせている。で、そいつの話しでは、妖精は姿としての実体はなくただ思った人の思った通りの姿で見えるんだそうだ。たとえば、妖精はじいさんだと思ってる人がいたらその人にはじいさんの姿が見えるんだそうだ。ということは、俺は妖精をこんな姿で知らないうちに認識してたんだなと思うと我ながらこっぱずかしいような気がする。あと妖精の出てくる物語でよくあるように妖精を呼んだ人しかその姿は見えないそうだ。だから今ここに誰かほかの奴がいても俺にしかこいつの姿は見えないと言い訳だ。 「ねえ、そんな事はどうでもいいからさ、お願い事はどうすのさ。ぼくは気が短いから早くしないと消えちゃうよ。」そいつは眉をひそめて、おおよそ親切で、やさしい妖精さんらしからぬ態度でイライラしだした。「ああそうだった。ばあちゃんのこと頼まなきゃ。」と思ったとき俺の頭の中にばあちゃんの言葉がよみがえった。「あとあと祟られるよ。」あれはどういう意味なんだ。俺は念のために聞いてみた。 「あのさ、これは確認なんげど俺の願い事を叶える代わりになんか交換条件みたいなものが、あるわけ?たとえばさ、代わりに声をとられちゃうとか、魂抜かれちゃうとかそんな事あるわけ?」 「やだなー。そんな事あるわけないでしょ。さっきから言ってるけど、ぼくは親切でやさしい妖精さんだよ。でもね、どうしてもっていうなら、なにかもらってあげてもいいよ。そうだ今までもらったもの見せてあげようか?」そう言ってそいつがポケットから出したものは木彫りの人形だったり、ガラス玉だったり、金属へんだったり、なんかのキャップだったりどうでもいいゴミのようなものだった。俺は心の中で計算した。 「目に見える+あきらか妖精=ささやかな期待をしてもよい存在 ー① おバカぽい妖精+がらくたの報酬=たいした願い事も叶えられないダメな奴 ー②
上記の連立方程式を組んだとき、目に見えていて、あきらか妖精である者がおバカである条件のもとでは ①の式の左辺におバカぽい妖精をあてはめられるので連立方程式は おバカぽい妖精=ささやかな期待をしてもよい存在ー① おバカぽい妖精+がらくたの報酬=たいした願い事も叶えられないダメな奴ー② となる ②ー①とすると
がらくたの報酬=ささやかな期待をしてもよい存在ーたいした願い事も叶えられないダメな奴 となり、また、がらくたの報酬はあいつはすでに持っていることからこの式の左辺は正と考えてよい 。すると右辺も正と考えられるので ささやかな期待をしてもよい存在>たいした願い事も叶えられないダメな奴 となる。すると、おお!ささやかな期待をしてもよい存在がたいした願い事も叶えられないダメな奴を上回る証明ができるではないか」と言う事で 「ねえ、人間の寿命を長く延ばすことできる?。」とそいつにむかって恐る恐る聞いてみた。 「できるよ。ぼくはね、そういうの得意。なに?誰かの寿命延ばしたいわけ。」あんまり簡単に言うので、俺は思いきってばあちゃんの命を頼むことにした。がしかし そいつは
「やだね。そんなの。」とあっさり言いやがった。
ほらね!前書きで言った通りでしょ?妖精くんが人間の願い事を叶えるのはあきらか荷が重いのです。なぜならば、妖精の理論+妖精の性格+妖精の感覚=妖精の魔力と言う公式にあてはまってしまうからであって、そこには人間の常識がはいり込めないからである。 by両太郎 私もこの物語が広く皆様に読んでいただけるよう神様にお願いしようと思います。妖精くんに「この裏切り者」と言われようともね!