第16話/かくして旅立ちの時は来た。
って言うか、マジかよ、おい?
驚く事はたくさんある。
驚く事がたくさんありすぎて、俺の頭はオーバーヒート。
知恵熱みたいに熱くなっている。
ふだんから、頭使ってたんだけどなー。
て言う事は、ふだん使ってた俺の頭、たいした事なかったのかなあ。
ズッコンバッコンのボロボロになっていた、我が東北湘南長崎高等学校の校舎は、見事に元通り。ぴっかぴか、とは言わないが、キレイに見事に元通り。
変態天使の羽根金属ボールのヘイハチさんが「復元光線ーっ!」なんて叫んで、身体をまっぷたつにして口を開いて、しゅわしゅわ光線を放つ。
するとっ!
あら、まあ、キレイに元通り。
と言うか、お前は、未来から来たネコ型ロボットか。
たしかに、お前は、宇宙から来た球状型ロボットだけど。
何か、ご都合主義だなー。
みんなは、屋上に大集合。
全員学校の屋上に大集合。
まるでキレイにデコレーションされて、キラキラ光る、まるでデコトラのような宇宙刑事トカマレグの宇宙船に、乗り込んで行く。
なんか、おかしくね?
どこか、おかしくね?
女子テニス服を来たスケバンのマリコ先輩は、クールでワイルドでイケメンな宇宙刑事トカマレグとルンルン気分で手をつないで、タラップを上がって行く。
だがら、スカートの間から、はみだして見えてるって!
その横を、ちょっとだけデカイ電磁オリを大事そうに抱きかかえて不良番長が入って行く。もちろん、その間も、不良番長と俺好みの金髪青い目妖精のミミィは、お熱い視線でお互い見つめあっている。
ハナコさんに関しては、以下省略。
俺がけげんそうに屋上に残っていると、変態天使の羽根金属ボールのヘイハチさんが、「早く乗り込めよっ」てな感じで、俺を誘導する。
何かおかしい。
どこかおかしい。
ふと気がついた。
今、気がついた。
俺は口を開いた。
「裁判員の事なんだけど。」
「何?」
「普通裁判ってさー、裁判員って、事件に無関係な人がなるよねー。」
「そうそう。」
「でも、俺たち、当事者じゃん。それじゃあ、裁判員になれないんじゃね? この事件に関して。」
「そうそう。」
「そうそう、って、じゃ、俺たち一緒に行く必要ないじゃん。」
「いいじゃん、旅行気分だよ、宇宙旅行気分。」
「へっ、何だよ、それ?」
「君たちは、関係者だから、裁判員にはなれないけど。証人にはなれるよ。証人がいやだったら、傍聴席で聞けるよ。」
何か、学校の社会科の授業のようだ。
俺はふと思い出した。
自分自身の最大級の使命を思い出した。
「ええ、でもさー、俺チャッペック一号をちゃんと完成させたいんだよねー。なんか中途半端な状態で、ほっぽらかす、って良くないし。」
空中に浮かぶ変態天使の羽根金属ボールのヘイハチの言葉に俺はぶっ飛んだ。
「大丈夫、大丈夫。鋼鉄の鋼の戦士さんチャペック一号も、いっしょにすでに宇宙船に積んであるから。」
「えっ?」
宇宙刑事トカマレグの宇宙船に入って、俺は驚いた。
最先端のゲーセンに来たような感じで、俺は驚いた。
その広い船内、ピカピカと輝く宇宙船内に、ちゃっかしチャペック一号も座っている。しかも、シートベルトをつけて。
「ええっ、あれ? おい! これって!」
気がつくと、遅かった。
全て何もかも遅かった。
気がつくと、俺が乗り込んだ宇宙刑事トカマレグの宇宙船は、すでに高速で移動して、太陽系域を離脱した後だった。
<完>




