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おいしいカレーの作り方  作者: ヨシィ
9/13

興味

 「それでは本日の授業に入っても?」

「はい、大丈夫です。」

「君はこれからどうやって夢を見つけようと思っているかね?」

「興味を持てるものの中から探してみる、とか?」

「なんでもいい、君の好きなものを言ってごらん。」

カレー、サッカー、映画、ビール、お笑い、家でゴロゴロ、ラーメン、読書、etc……etc……。

思い付くままに上げてみた。

「なかなか欲が深いね君は。」

あはは、すみません。

「その中で一生付き合えそうなものだけを選んでごらん。」

食の好みは多分変わらない。カレー、ラーメン、ハンバーグ、ビール。

それから子供の頃から触れるのが好きだったもの。サッカー、お笑い、音楽、本。

 先生は僕が上げていく言葉を板書?空書?していった。

「では、ひとつひとつ、それで満たされている自分を想像してみるんだ。」

カレーで満たされる自分……毎日朝昼晩カレー、カレーを飲みカレーの風呂……想像が気持ち悪い方向に向かっていく。

ラーメンで満たされる自分……ラーメン風呂……もうやめろ、僕の脳。

食い物はダメだ。他のことで考えよう。

サッカーで満たされる自分……。

スーパープレイヤーとして脚光を浴び、移籍先の海外チームでも好成績を収め活躍を続ける。うん、悪くない。

お笑い、数々の賞を獲りテレビラジオに引っ張りだこ、トークも冴えるバラエティーの寵児。うん、これも悪くない。

音楽……先生には申し訳ないが僕には致命的に音感がない。歌えば音痴、演奏会での担当はトライアングルかカスタネット。聴くのは好きだし音楽が流れていないと落ち着かないほどだけど、プレイヤーは別だ。

となると評論家?音楽的センスがないのにプロの評論をするところに想像が追い付かない。却下だな。

本、作文は褒められたことがある。小学生の時の話だけど。ジャンルを問わず、次々と作品を世に送り出し……

 おそらくはニヤニヤしていたのだろう。先生が話し始めた。

「お楽しみのところ悪いが、君の想像に限界はあったかね?」

想像の世界に限界なんかあるんだろうか?

僕の妄想は止まるところを知らない。

想像してみろと言われれば、実は僕の得意分野だったりするのだ。

「もうスーパースターになっているところでした。」

「よろしい。想像できない者に成功を手にすることはできない。昨日の話を覚えているかね?」

「はい。夢を実現するためにはまずイメージすること。そこに至る方法を実践すること。ですよね?」

「その通りだ。君はその第一関門を突破する実力はすでにあるということだ。」

「でも僕は、音楽に対する想像で限界に当たっていました。」

「想像できないものは実現しない。ではそれを削除しよう。」

音楽、と書かれた空書部分が消されていった。

「君は地質調査に興味はあるかね?」

突拍子もない質問に一瞬固まってしまったが、すぐに気を取り直し、「いいえ。」とだけ答えた。

「では地質調査で満たされている自分を想像してみたまえ。」

これは難問だぞ。まるで興味がなかった分野だし、遺跡を発掘してる場面しか思い浮かばない。

うーん、と唸っていると先生が助けてくれた。

「難しいかね?難しければもう考えなくていいよ。」

材料が少ないとなかなか想像するのも難しいもんだな。得意分野と自認していたけど、今回に関してはもう降参するしかなかった。

 僕は、先生の次の言葉を待っていた。

「気付いたかね?今消した音楽に関しては残念だが、興味のないものには想像がついていかない。興味があることから探すのではなく、想像できることの中に君の進む道があるんだよ。」

 まさに目から鱗。逆転の発想。興味を持てるものから向いているものを探していた僕が、やりたいことを見つけられなかったのはそういうことか。


 いや、待てよ?

想像できることに道があるって言ったって……

興味がなければ想像しようなんて思わないぞ?

その疑問を先生にぶつけてみることにした。

「先生、興味を持たないことには想像もしないように思うんですが。」

「それが今までの習慣だ。今までと同じ習慣で君の道が見つかるかね?」

「難しいと思います。」

「これは道を見つけるための習慣だ。これからどこにいても誰かと話している内容からでも、思い付いたらすぐに想像してみる癖をつけるんだ。想像の中で楽しい気分になったらそれをメモしておくこと。」

「わかりました。」

「特に楽しいと感じたことは、想像した内容をできるだけ詳細に書き留めておくこと。そのためのノートを作りなさい。」

 少しずつでも前に進んでいってやろう。隣の部屋に行き、さっそく未使用のノートにサッカー選手とお笑い芸人、そして作家の自分を想像した内容を書き出していた。


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