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おいしいカレーの作り方  作者: ヨシィ
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おじいさん登場

 さて、と。

僕は声にならない声を出しながら動き出す。

テレビを見ながらスマホを弄っていた状態から面倒な行動に移る前の儀式的な掛け声だ。

テレビドラマのように広くてオシャレな部屋に住み、夜な夜なホームパーティーや外食、なんて優雅な一人暮らしができるはずもなく。

そもそも僕には友達もあまりいない。

一人暮らしというよりも独り暮らしという表現の方がしっくりくる。

近所のスーパーに出かけ、食材を買い出し、自炊をし、独りでもそもそと食べる。

楽しみで食べるというよりは、慣例的に食べるという感じ。

 たったひとつだけ、数少ない友人に旨いと褒められたメニューがカレーライスだ。

カレーだけは僕も大好きなのでちゃんと作る。

今夜はカレーにしよう。

まずは食材のチェック。

じゃがいも、にんじん、豚小間……豚小間?ブロックが好きなんだけどこれでもいっか。

玉ねぎ玉ねぎ……玉ねぎがない。

ルーは常備してるから玉ねぎを買いに行くことにした。


 いつものスーパーに到着。

玉ねぎを買いにきたのに、なぜかカートにカゴを乗せ店内へ。

目的のものだけを買えない僕。店内をぐるりとまわる間にカゴはいっぱいになる。

スナック菓子や炭酸飲料、こんなもの今は必要ないだろっていつも思うけど、目が欲しがるんだよなぁ。

会計を済ませ袋詰めをしていると、自分では入れた覚えのないものがあった。

レシートと照らし合わせてみると、レジを通る時にはすでに入っていたようだ。

チョコレートの打刻を確認し、返品するのも面倒なのでそのまま袋に詰めた。

 部屋に戻ると玄関に脱ぎ散らかした靴を足でよけ、履いていた靴を脱ぎながらスーパーの袋を上がり口の床に置いた。

スリッパに履き替え袋を持ちキッチンへ向かう。

袋から出して仕分けをし玉ねぎをシンクの脇に置いた。

手洗いを済ませ鍋を用意しまな板を出して玉ねぎを切り始めたところで!

リビングの方から声がした。

「君は段取りをきちんとする方なのかね?」

ひゃっと声にならない声を出して気持ち的には3メートルほど飛び上がりながら電光石火で振り返る。

 おじいさん!?

おじいさんがいる!!まるで知らないおじいさんがこちらを見ながら正座している!!

「ちょちょっと!なんですか!?」

と言うのが精一杯。

「帰ってきてからの君の行動を見ていたが、次の作業を考えながら行動しているようだ」

いやいや、そんな冷静に分析されても。

「誰なんですか!?どこから入ってきたんですか!?いつからいるんですか!?警察呼びますよ!?」

「まぁ落ち着きたまえ。そんなに矢継ぎ早に質問されても私は年寄りだ。君の質問のスピードにはついていけないよ。」

「そんなこと言ったって!ほんとになんなんですか!?」

「私が何者か、という質問から答えよう。私は見ての通り神様だよ。」

神様!?見ての通り!?

いやいや、あり得ないっしょ!

髪は白髪でボサボサ、身なりも地味な茶色のポロシャツとグレーのスラックス、無精髭としみと皺の目立つ張りのない肌。ヤバい、自分を神様だと思っている徘徊老人がなにかの拍子に入り込んできたのか?

「信じられないかい?そうだろうね。今の日本人は神様からかけ離れたところで生活しているからね。」

僕はスマホを手に取り警察に電話しようとした。

「待ちたまえ。」

その言葉と同時にスマホの画面が暗くなった。

なにしたの?ほんとに怖いんですけど。

「こうしたら信用できるかな?」

おじいさんは右手の人差し指を突き出し空中を漂わせた。なにやら字を書いているようにも見える。


 わたしはかみさまだよ


空中に文字が浮かび上がる。

なにこれ?なにこれ?なにこれ?なにこれ?

その言葉以外頭には何も浮かばない。

放心していると、

「信用したかい?」

と言われた途端にその場にへたり込んでしまった。

「……ほんとに……神様……?なんですか?」

「そう言っているだろ?」

「なにしにきたんですか?」

訊きたいことは山ほどある。筈なのに言葉が出ない。

困った。こんなときの対処法は大学でも教えてもらっていない。

仮に警察に電話したとする。部屋に神様がいるんですけど。はいはい、酔っぱらってんのかい?ってな感じで一笑に付されるのがオチだ。

ただただ呆然としていると、おじいさんが口を開いた。

「選ばれたんだよ。あくまでもランダムにね。」

「選ばれたって僕が?」

「そうだよ。」

「なにに選ばれたんですか?」

少しだけ落ち着きを取り戻し始めた僕に、おじいさんはゆっくりと話してくれた。

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