問題じゃなかった
酷く真剣に、一方で否定の言葉を覚悟しながら、私は告げた。
「私・・・。失恋のショックがありまして・・・それで、前世を思い出してしまったのです」
「・・・」
「・・・前世?」
ラウル様は目を丸くして、お兄様はパチパチっと瞬きをしてから呟いた。
「あぁなんだそんな事か」
あっさりと言ったのは、お兄様だった。
えっ、飲み込みが早い! 問題解決!?
一方のラウル様は、私にものすごく近づいて来て、よくよく私の顔を見ようとする。
近い、近い。照れますから!
ポツリと、
「・・・変わりがない」
と呟かれた。
変わりがない?
聖女な私が目を丸くしている。
「いえ、あなたは・・・同じだから」
不思議そうにラウル様は言った。
よく分からないけど、さすがラウル様ー!! と、聖女と私はとても嬉しくなった。
そう、だって、同じ存在という感覚が自分にはあるのだから。
「前世というのはたまに聞くね。まさか身内に起こるとは思わなかったけど・・・そうか、こんな風に変わるのか。良い経験になったよ」
人を実験台のようにいうお兄様。ちょっと怖い。
え、えぇっと・・・。
「では、あの、疑いは晴れましたでしょうか・・・?」
「そうだね、その理由ならまぁ良いよ」
「えぇ。問題でもありませんでした」
ラウル様が素敵。
でも誰も問題にしないのも良いのだろうか。うーん。それも微妙。
「さてと。じゃあさっさと封印して、戻るとするか」
私たちは、お兄様たちが黒塗りの宝剣を見つけた場所をさらに深く掘って、その中に宝剣を隠して封じた。
お兄様は固定魔法、ラウル様は隠蔽魔法、私は安眠魔法を使った。3種の魔法の組み合わせで封印したから、解くのはたぶん骨が折れると思う。
私たちはそして、揃って無事に国に帰還する事になった。
「ラウルが逃亡しないように、アリリエル、お前は帰りはラウルの馬に乗せてもらえ」
とお兄様にこっそり指示されて、帰りはラウル様と一緒の馬に乗せてもらった。
お兄様の指示は結構本気だったけれど、ずっと一緒の馬というのは今までになく長い時間を傍にいるのでとても照れてしまった。
私がとても照れているので、ラウル様にもうつってしまった。ラウル様も結構照れていた。




