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異能都市エスティシア  作者: Die魔王
第二章 ~異能都市~
6/7

2‐3

 お金をいくらか持ってきていたので、俺は時間になるまで二キロくらい歩いたところにあるゲームセンターで時間を潰そうとそこへ向かって歩いていると、同じ学校の制服を着た女子生徒の後ろ姿を見つけた。

 誰だろうかと思いながら目を凝らすと、彼女は昨日転校してきた白神結乃だった。

「おお、白神じゃん」

 その声に気付いたらしく、彼女はこちらを振り返った。

「あ、あなたは私の隣の席だった―――」

「神谷隼斗だ。よろしく」

 まだ彼女に名前を教えていなかった俺は、軽く自己紹介した。

「それよりどうしたんだ?休日なのにそんな服装で」

「普通の買い物ですよ。制服なのは、あまり服を持っていないからです」

 少し会話を交わしてみたが、結構話しやすい性格だ。

「そうだ。俺も今あっちに向かっているところだから、歩きながらちょっと話さない?」

 隣の席だから仲良くなっておきたいし、俺は思い切って誘ってみた。

「もちろん、いいですよ」

 さすがに突然すぎたかと思ったが、彼女は快く受けいれてくれた。

 俺達は歩きながら、白神の転校前の学校の話や俺の子供の頃の話をした。

 と、そこでふと気になって、俺は彼女に質問した。

「そういえば、白神って異能者なんだよな?」

「え、私ですか?そう、ですけど」

「じゃあ、どんな能力か教えてくれないか?嫌なら別に構わないけど」

「いえ、そんなことはありませんよ」

 どうやら教えてくれるようだ。

「私の異能は≪強制解除(システムキャンセル)≫、異能無効化の異能です」

「えっ!?」

 俺は思わず、大声を出してしまった。

 しかし、それも仕方ないだろう。

 異能無効化や異能奪取などの相手の異能に干渉するタイプの異能者はこの世界に三〇人しかいないといわれている。その内の一人が今、自分の目の前にいるのだ。

「まじかー、白神って凄いんだな。そんな珍しい異能を持っているなんて」

「いえ、ただ運が良かっただけですよ。私自身はたいしたことはありません」

 あくまで謙虚な白神だった。その運が凄いと言っているのに。

「それに、この異能を私は制御することができないんですよ」

 どういうことだ?と俺は尋ねる。

「この異能は常に発動しているということです。その上、この異能は他人の異能を、直接私の五感に干渉する寸前に打ち消してしまうんです」

「えっ、ていうことは―――」

「はい。テレビや写真を除いて、今まで異能を実際に見たことも聞いたこともありません」

 俺は白神の異能の強大さにさらに驚いた。まさかクラスに転校してきて、その上、俺の隣の席になった女子生徒がまさかこんな異能者だったなんて。

 やがて、俺達は大きな交差点に差し掛かった。

「そういや、一番近くのスーパーってここを左に曲がったところだったっけ?」

「はい」

「じゃあ、俺は右だから、また今度な。楽しかったよ、ありがとう」

「私こそ、楽しかったです。では、また月曜日に」

 そう言って、俺達は別れた。


 それから、俺はゲームセンターで時間を潰してから病院へ戻り、自分の異能の名前を貰った。

 その異能の名は≪観測不能ゼロインフォメーション≫。少し変わった名前だが俺の異能にぴったりな名前だと思う。

 俺はその後は何処にも寄らずに家に帰り、それからはテレビを見るなりネットをするなりして一日を過ごした。

 昨日といい今日といい、異能が発現してから俺の日常が大きく変わった気がする。

 そして、その異能が発現したのと同じ日に転校してきた、強力な異能無効化の異能を持つ白神結乃。

 彼女が可愛いということに関しては、俺はたいして興味はない。しかし、そうだとしても、俺は彼女に対して何か運命のようなモノを感じざるを得なかった。

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