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異能都市エスティシア  作者: Die魔王
第二章 ~異能都市~
5/7

2‐2

「おはようございます。それで、結果はどうでしたか?」

 病院が開院してすぐについたため、俺は受付を済まして五分程で診察室に呼ばれた。そこには、以前と同じ医師が座っていて、俺は昨日の調査の結果を尋ねた。

「ああ、あの後調査で手に入った情報と空間映像を元に調べた結果、君のあの黒い球体からは一切光を検出することができなかった。どうやら君の異能は、闇を生み出す異能らしい。それも暗闇とかそういうレベルではなく、本当に光のない真の闇だ」

 それを聞いて、俺はがっかりした。それが一切光を持たない闇だということは知らなかったが、やはり本当に黒い球体を生み出すだけの能力だったとは。

 それから医師は同時に生み出せる闇の体積や、一つの球体の最大の大きさなどを細かく説明していったが、能力の詳細ですっかり覚めてしまった俺は、ほとんど耳に入っていなかった。

 しかし、

「それと、これはまだ何を意味しているのかはわからないが―――」

その言葉に俺は反応し、目を見開いた。

「あなたの脳との関連性を調べた調査で気づいたのですが、異能を発動した時とは別に、あなたの脳に反応して闇の中に空間の歪みが発生していることがわかったんです」

「本当ですか!?」

 俺は目を光らせ、身体を乗り出すようにして医師に尋ねた。

「え、ええ。まぁ、それで何ができるのかは不明ですが。もしかしたら、あまり意味はないかもしれません」

 医師は俺の期待とは正反対のことを言った。

 しかし、俺の作った闇の中に空間の歪みが発生した、つまり闇を生み出す以外にも自分の異能に能力(チカラ)がある可能性があるということがわかっただけで、俺の心の落ち込みを埋めるには十分だった。

「では、発現届を書いてください。以前途中まで書いていたものをまだ残してあります―――ですが、今回の調査で多くの情報が得られたので、『異能詳細』は私が後で書いておきます」

「あ、ありがとうございます」

「それで、あとは『異能名』ですが、自分の異能に何と名前をつけますか?」

 先生は俺に尋ねた。

「うーん」

 俺は困った。俺はネーミングがあまり得意ではない。

 しばらく考えていると、医師は口を開いた。

「もし決まらないのであれば、異能発現から一週間以内であれば後からでもつけることができますので、家で考えてから後日また来て頂いてもよろしいですよ。ですが、もし決まらなそうなのであれば、うちの病院で八〇〇円で異能に名前をつけるサービスをやっていますので、そちらを利用されてはいかがでしょう?」

 八〇〇円というのは少し高いような気もしたが、このまま自分で考えてもいいい名前は思いつきそうにない。きっと一生付き合っていくことになる異能なのだから、できるだけいい名前をやりたい。

 俺はしばらく考えて、

「そうですね。決まらなそうですし、お願いしたいと思います」

と答えた。

「わかりました。では、名付けを依頼しておきますので、二時間ほどしたらまた来てください」

「はい、ありがとうございます」

 と医師に頭を下げ、俺は一度病院を出ることにした。

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