アリエルの寂しさ
おじいさんは優しくて
山は、きれいで
ヤギさんたちも、かわいくて。
アリエルは、しあわせです。
でも、時々は
おとうさんや、おかあさんに
あいたいな、と
思うこともあったりします。
そんな事を、アリエルは
ゆきだるまさんにお話したりします。
「ゆきだるまさん、おとうさんは
今、どこにいるのかしら?」
ゆきだるまさんは、静かに
低い声で、お返事します。
「そうだね、きっと、どこか
遠くから、アリエルの事を思っているよ。
山の中では、お仕事が出来ないから。
おとうさんだって、アリエルに会いたいなって
思っているよ、きっと」
ゆきだるまさんに、低い声で
言われると、アリエルは
「ゆきだるまさんって、お父さんみたいね」と
にこにこしました。
そんな様子を、モミの木の上から
フレイクとウィは、見下ろして
「お父さんに会いたいのかなー」
「そうよ、だって、まだちいさいんだもの」
「あんまり、僕は思わないかなー」
「それは、わたしたちはアリエルより
少し大人だもの」
アリエルは、ゆきだるまさんに
「でも、町の暮らしよりも
わたし、山が好き!
おじいさんや、ヤギさんや、野原や
牧場。とってもステキだもの」と
いつもの元気なアリエルに戻ります。
ゆきだるまさんは、にこにこ。
でも、野原を駆け回る春になったら
ゆきだるまさんとは、お別れです。




