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Largo

「おはよ、ラルゴ」アリエルは


ログハウスの軒先にあるやぎ小屋で

干し草にまみれて、こやぎとたわむれている


おおきなわんこの、ラルゴに声をかけた。



ラルゴは、こやぎに懐かれていて


わらくずだらけ。



「はは、おもしろいかお、ラルゴ。顔洗っておいでー」と、アリエルは



おじいさんの真似をして。




ラルゴは、のーんびり。首をかしげて


ふるふる。




干し草が、こやぎの上にも、ふるふる。







アリエルの足元には、霜柱。



真冬のあいだ、土は見えなかったのに


あちこち、土が見えて来るのは

暖かくなってきたから。





あの、冬の日から

だいぶたったけど。




「ゆきだるまさん?」少し、固くなってきた

ゆきだるまさんに、アリエルは声をかけて。






「アリエル?どうした?ごはんだよ」と、

おじいさんは

扉を開けて。





「おじいさん?あのね。ゆきだるまさんが

もう春だって。」と、アリエル。





「ん。そうだな。そろそろ、雪割草が見られるかもしれんな」と、おじいさんは

岩清水の沢の方を眺めた。



ラルゴは、のーんびりと歩いて



おじいさんの前を通って。




扉から、暖炉のところへ。ごろり。




お昼寝。





「また、寝ちゃった。」と、アリエルは

楽しそう。






「ん。犬はな。夜に起きているんだよ。」と、おじいさん。




「どうして?」と、アリエル。



「やぎたちが、狼に襲われないために

見張ってるんだよ」と、おじいさんは

山の方を見て。





「そっか。ラルゴ、偉いんだ。よしよし」と


アリエルは、暖炉の前で寝ているラルゴを

撫でた。



大きなラルゴは、アリエルが寄り掛かっても

びくともしない。




寝転んでると、丁度

アリエルに手が届くくらい。



頼りがいのある、わんこ。


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