アリエル
ここは、山小屋。
寒い、さむい冬が
もうすぐ、春になりそうな。
とがった大きなモミの木と、いわしみずと。
ふしぎなゆきだるまさん。
熱がでて、苦しかったアリエルを
ゆきの、ひとひらさんたちが
冷ましてくれて。
アリエルは、すっかり元気になりました。
「アリエル、ごはんだよー」おじいさんの声です。
「はーい。」アリエルは、屋根裏のお部屋で
ベッドから飛び起きます。
冷たい風も、もう平気。
お部屋の窓から「おはよ、ゆきだるまさん。」と
アリエルは話しかけます。
山小屋のお屋根の雪も、固まっています。
もうすぐ、春。
遠い、白い峰、アルピオンも
朝日に輝いています。
ずっと、ぐあいが悪かったアリエルでしたけど
もう、だいじょうぶ。
さっ、と着替えて
階段を下りて行きます。
「おじいさん、おはよ」
「アリエル、おはよう、顔洗ってきなさい」おじいさんは、にこにこ。
「はーい。」アリエルは、元気にログキャビンの扉を開けて。
凍っている岩清水と、水受けとを
見比べて。
桶で、コンコンと氷をつついて。
薄くなっているところから、水を汲みました。
「あー、つめたい。」顔を、ふるふる、と振ります。
でも、氷が薄くなっていて。
もうすぐの春を感じます。