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騎士道プライド  作者: 椎名咲水
4章【留学編】
46/50

43.甘いひととき

 少し暖かな陽気を感じる季節となった。

 もう少しで夏休みかと教室で窓の外を見ていた俺は、ふと公国の人達の事を思い出した。

 ポワルやレベッカは何をしているだろうか。

 シスイと離れた時は音楽関連の雑誌で活動を知れたから離れていたという感覚はあまりなかったが、ポワルやレベッカはそういう雑誌では行動が分からないので何だか無性に寂しくなったりする。

 公国の唄の祭がある頃には絶対に戻ろう。


 授業は相変わらず座学ばかりで退屈だったが、放課後に唯一の友人であるカナリアと試合をするようになってからはそこまで退屈ではなくなった。

 指定席ではないのでカナリアと授業中に小声で話もできるし、お互いどう動けば良いか評価し合って試合を行える。

 中々楽しい日々だ。

 アキレスとの鍛練も、乱光包との一戦も嫌いではない。

 気を張る日々が続いてはいるが気を落ち着かせて周囲を見渡せばとても平和で、何か陰謀めいたものがあるようには全く見えなかった。

 こう平和を感じられるようになったのもシャンドルのお陰である。


 シャンドル・アストリッヒと交友関係を持った事でシャンドルが操っている時雨の情報を得られるようになった。

 ゼハール商会が今どのように動こうとしているかまでは分からないものの、金の動きや不穏な空気がある程度筒抜けになったのである。

 今コリュードはこの大陸内ではどこよりも平和で、一番危ない場所はアーリマハットなんだとか。

 何でも大掛かりな計画がありそうな空気らしい。

 馬、槍、剣の輸入が確認されたそうだ。


 しかし数は戦争を起こすとは言えないほどの量だ。

 傭兵団を新しく作るため、騎士団を作るために武器を輸入したと言い張れば誰しも納得するくらいの少量であった。

 公国はその動きを敏感に感じ取ったものの、文句を言う事はなかったという。

 ただ不安なのは間違いないようで公国はコリュードと友好条約、防衛条約を結んだ。

 相互防衛のための安全保障条約と言えば分かりやすいだろうか。

 コリュードが他国から攻撃された場合は公国が助けに、公国が他国から攻撃された場合はコリュードが助けに行くという約束事だ。

 そんな条約を結んでも他国の脅威があまりないコリュードには大した得が無いと思うのだが……。

 まあ、リセリア様が上手く交渉したのだと思う。



「シャロル、今日は時間ある?」


 ニッコリと笑うカナリアは俺の腕にくっ付いてきた。

 胸やお腹や腕の褐色の肌が触れる度に身体がぞくぞくする、そんな反応を見てカナリアはクスクス笑いながら更に胸をくっ付けたりしてくる。

 小さい子供なんだから胸なんてないのに何故か気分が高まっている。

 自分はロリコンではないと思うのだが…。


「……まあ、今日は特に用事はないような…」

「やったあ!じゃあ帰りに新しいお店に行きましょう?」

「新しいお店?」

「シャロルって紅茶好きだよね?美味しいケーキと紅茶のお店見付けたの!」



 カナリアの無邪気な笑顔とケーキの話題でクスクスと笑ってしまった。

 何とまあ女の子らしい話題だ。

 それを普通だと思えてしまっている自分に気付き苦笑する。

 元々ケーキは嫌いじゃないが、男だった俺が女の子になってしまっている事に慣れる…ってのは少々寒気がする。

 普通に話している時に一人称を私にするのも慣れてしまったしな。

 俺なんて言葉、口が滑って出てくる事も無くなった。



 分かった分かったとカナリアの誘いを受け、教室の外で待機していたフィオナに今日の予定を告げる。

 今日はアキレスじゃないのかと聞くと、今日は乱光包様の所へ稽古へ行っているからと言われた。


 そういえば今日はその日か。

 ハルバードを買ったものの、周囲にハルバードの技術を持った人間は乱光包しかいなかったのでアキレスは彼に稽古をつけてもらっているのだ。

 才能もあるし、背丈もまだ伸びそうで実に良いと乱光包から評価を聞かされている。

 良くも悪くも馬鹿であるらしい。

 若い頃のワシを見ているようだとアキレスの真っ直ぐな精神を褒めていた。

 実力はまだ付いていないが、棒術は多少身に付いているようだ。

 モンスター相手になら遅れは取らないだろう。


 モンスターといえば……ギルドの方も最近また活動を始めた。

 俺達のギルドであるブリーズラビットは結成されてからずっと公国で活動を続けているらしい。

 レベッカかポワルが時たまモンスター退治をしているようだ。

 俺達も活動し始めようと適当にモンスター退治に出ている。

 アキレスはE+ランクになり、俺達はE+ランクに残留した。

 レベッカやポワルもE+ランクになっているはずなので丁度良い感じだと思う。

 次の昇格判定が出るのは十月なので、そこで全員Dランクに上がりたいものだ。



 セルートライにいたユーリックは現在公国にいるらしく、新しいギルドを結成したらしい。

 名はブラックディア。

 現在はEクラスで、俺達がDランクになる頃にE+ランクになるようだ。


 ちなみにロイセンさんはD-ランクである。

 マイナスはそのランクにいる事自体が怪しいと判断された場合に付けられるレッテル。

 現役を引退してクエストも受注してないロイセンさんはDランクに残っていていいのかと本部から疑問視されており、十月で降格の可能性が濃厚だという。

 実力は間違いなくDランク以上だと思うのだが……。



「……少し、騒がしいですね」

「確かにね。フィオナ関連でもないみたい」


 二人と一緒に廊下を歩いていたら校門の方からザワザワとした声が聞こえてきた。

 魔族を嫌っている生徒がフィオナを見て陰口を言うのはそう珍しい話ではないのだが、今回はそうでもないらしい。


「外に誰かいるみたいですね…」

「有名人とか?珍しい話だね」

「シャロル!見に行こうよ~!」

「分かったから。そう走らなくてもいいでしょ?」


 有名人と言われても剣以外の事に詳しくないからピンと来そうにない。

 テレビとか新聞とかあまり流行ってない世界なのに、こう何人も集まる有名人がいるってことに驚きだ。

 俺の周囲にそんな人、リセリア様くらいしかいない気がする。

 いやリセリア様もそこまで有名じゃないか。

 公国を継ぐ候補だけど、第二候補だし。



 校門の方へ走って近付くカナリアの後をゆっくりと追う。

 シャロルシャロルと呼んではしゃぐカナリアの姿を見ながら近付くと、急に人混みが大きく揺れ出した。

 中央から人を掻き分けて、ゆっくりゆっくりと有名人が姿を現す。

 茶髪の中学生くらいの女の子。

 俺と目が合い、彼女は走ってこちらにやってきた。


「シャロル!」


 そこにいたのは歌姫、シスイ・フィーリングアローンだった。



「シスイ、なんでこんなところに?」

「お仕事もなかったしシャロルの学校を見に行こうと思って!

 リセリア様から聞いたの」

「人混みで大変だったみたいだね…」

「それは…いつものことだから、何ともないよ」


 笑顔で手を広げていたシスイに気付いて抱擁すると締め付けられるように力を込めて抱き締め返された。

 羨ましがる男子生徒の声が聞こえた後、後ろからカナリアがくっ付いてくる。


「シャロル、シスイさんとも知り合いなの!?すごい!」

「あはは…まあそこそこ前に知り合ってね」

「もう数年の付き合いなの。貴女は?」

「カナリアです、シャロルのお友達」


 お互い俺を間に挟んで会話を続けている。

 状況が掴めない俺はフィオナに助けを求めようとすると、フィオナもフィオナで拗ねたような表情をしてそっぽを向いていた。

 何でだよ。



「あのさ…二人共ちょっと離れて話そうよ」

「ごめん。会えたからちょっと浮かれてしまって…」


 シスイは手を放して少し離れたが、カナリアは移動して俺の左腕を抱き締めるだけだった。

 カナリアにとっては腕を抱き締めるくらい普通なのだがシスイにとってはそうではない。

 だがカナリアのまるで当然といった表情を見て何を思ったのか、対抗して俺の右腕を抱き締めてきた。

 まさに両手に花なのだが……当人は何が起こっているかさっぱり分からない。

 もしかしてモテてるのか?

 そうだったら嬉しいが。


「ケーキ屋行くみたいなんだけどシスイも一緒に行く?」

「うん!行く行く!」

「でもシスイさん学校に用があったんじゃないの?」

「ううん、シャロルに会いに来ただけなの」

「ふふ。シャロルモテモテ~」


 カナリアは俺の頬をつっつきながら笑った。

 シスイが俺の事を好きだと仮定したとしても、お前は別に俺が好きな訳じゃないだろう。

 あくまで友達として仲が良い程度だ。

 シスイも仕事に疲れてしまっているから俺に甘えてくるだけで、特別な関係という訳ではない。

 ……そんな関係になれるはずもない。

 現実世界の百合はそう甘くないだろうよ。



 ケーキ屋は人通りの少ない道にあった。

 ウッドデッキにテーブルが幾つか置いてあり、外で食べられるようになっているようだ。

 周囲の景色は良くない上に顔が広く知れているシスイがいるので外で食べる事に何の魅力も感じないが、室内スペースがないなら仕方がない。

 全員違うケーキを注文して席に座る。

 紅茶だけはシスイもカナリアも俺と同じ種類にしていたが、それはカナリアとシスイがシャロルは紅茶に詳しいと思っていたからだと思う。

 まああまり知らない人間よりは詳しいのは本当だ。

 リセリア様が茶葉をくれたりあの紅茶は美味しかったとか話をしてくれるからな。

 フィオナも同席が許され、彼女だけが俺とは違う紅茶を選んだ。

 後で少し飲ませてと言うとシスイとカナリアから一瞬不穏な空気が漂う。

 何なんだお前ら。



「最近、公国の方に行ったの」

「…へえ。レベッカ達は元気にしてた?」

「シャロルと会えなくて皆寂しそうだったわ。

 向こうにはユーリックっていう人もいるみたい、知ってた?」

「ああ。入れ違いになったんだってね…来るって言ってくれればよかったのに」

「ユーリック・シュラウドなら知ってるわ!槍の名手でしょう?」

「あとは…レベッカが剣聖の弟子になったとか聞いたわ。

 ポワルちゃん達は知らないけど、元気だと思う」

「「剣聖の弟子!?」」



 大ニュースだ。

 そんな事誰からも聞いていないぞ。


「あ…ええと、そうだって聞いたけど…。

 息子よりもレベッカの方が才能があるとか言ってたそうよ」

「……そんな事、よく言えるなあ…」

「でもトウヤマキバって武闘大会で優勝してるよね?

 それよりも才能があるって…どういうこと?」

「トウヤが優勝したのは一昨年だよ。去年は…誰だったか知らないけど」


 名前も覚えられないような人だったはずだ、……多分。

 とにかくレベッカの才能が認められたってのは素直に嬉しい事だ、魔法の才能は全く持ってないから伸びしろは良くなかったが、もしかしたらこれで伸びるかもしれない。

 何たって最強剣士の指導だからな。

 トウヤよりも才能があるって言葉が気になるが、次会った時に手合せすれば何か分かるかもしれない。

 今は特に思い付かないからなあ。

 トウヤの波動というポテンシャルが強すぎて、レベッカのポテンシャルが見当たらない。

 波動を使うよりも強力な才能なんてあるのか?

 うーん、分からない。


 真剣に考えようとし始めた俺を見てシスイの顔は若干戸惑いの色が浮き出た。

 そういえば剣や魔法の話はシスイには出来ないなと思い一度考えるのをやめ、別の話題を作る事にする。

 時期的にも夏休みの話が丁度良いかもしれないな。

 もうすぐ夏だ。



「二人共、夏は何か予定入ってる?」

「うーん…特に何も。お仕事はあるけど大仕事はないし、ゆっくりするわ」

「それよりも、もう少しで武闘大会があるじゃない。

 夏休みよりまずそっちよ」

「……あれ、武闘大会って夏休み前だっけ?」

「そうだけど…」


 一回戦負けばかりですっかり忘れていた。

 一年の時はユーリックにボコボコにされ、二年の時は貴族院襲撃があったから不戦敗してるからなあ…。

 今年こそ一勝くらいしたいが、今年はコリュードに留学してしまっている。

 この場合公国の選手として出るべきか、コリュードの選手として出るべきか悩んでしまうな。

 もしかしたら出れないという可能性もある。



「フィオナ、私はコリュードの選手として出るのかな…」

「恐らくは。公国の生徒として出るのは…難しいかもしれませんね」

「フィストランド校の校長は頭硬いからねー。

 留学だろうが何だろうが、コリュードにいる限りはコリュードの生徒として扱われると思う」


 なるほど。

 でもまあ……いいか。

 同じ学校同士の生徒は初戦で戦わないようにトーナメントが組まれている、だから俺がコリュードの生徒として出れば初戦で知っている相手と戦える可能性は高い。

 それはそれで楽しそうだ。

 …ああ、去年の不戦敗はレイちゃんだったが、あれは自分がシードだったからだ。

 二回戦以降は同じ学校の生徒でも当たるようになる、俺にとっては一回戦だったがレイちゃんにとっては二回戦だっただけだ。

 まあ間違いなく今年はシードにならないだろう。

 成績は並だし、武闘大会で良い成績なんざ一回も出してないからな。

 評価される理由がない。


 何名が選ばれるかは開催地によって左右される。

 俺が選ばれるかどうかもまだ分かっていないので、まずはそれが決まってから色々と考える事にしよう。

 選抜されてから特別な授業があるかどうかチェックも忘れない方がいい。

 公国にはあったからな、そういうの。



「今年は一勝したいね」

「シャロルにしては随分と小さな目標だね…」

「武闘大会の時に限ってシャロル様は色々とありましたからね。

 今年は何もなければいいのですが…」

「私は選ばれればいいかな。コリュード人らしくない卑猥な戦い方してるし」

「ああー…そういうのもあるのか」

「厳しいからねえ。魔族ってだけで選ばれない人もいたくらいだよ」



 シスイやフィオナが魔族だというのにカナリアがそんな話を持ち込むが、俺はシスイがしゅんとしている様子にも気付かず何故“そうなのか”を考えていた。

 コリュードが魔族を嫌う理由は何なのだろう。

 セルートライを嫌う理由は戦争をしていたからと聞けば納得できるけど、魔族に関しては納得できる要素が一つもない気がする。

 神代の英雄イズミは魔族を作り、コリュードにはイズミと親しい剣士ホミカが住んでいたはずだ。

 ならイズミの思いを理解し、魔族を助長すると思うのだが……。

 何らかの心境の変化があったのだろうか。


 ケーキを食べ終わり、話が切れ切れになってきた辺りでケーキ屋を出た。

 美味しかったと全員満足顔で帰路を辿る。

 両腕抱き締められてちょっと顔が喜んでいる俺を見てフィオナは少々呆れ顔だが、まあたまにはこういうのも悪くない。

 しかし武闘大会か……。

 今年こそは、トウヤを叩きのめしたいな。



「あー!シャロル、シャロル!」


 前から声がした。

 青い大きな弾丸が俺の腹に直撃する。


「…ポワル?」

「えへへ、シャロルの匂いだぁ…」


 左右と来て次は前から抱き締められた。

 後ろにいるフィオナに助けを求めようとすると、服の端を握ってくるだけだった。

 フィオナさんそういうヒロインみたいなのはいいので助けてくれると嬉しいです。



 ポワルの後ろには知った顔が数名いた。

 ポワルと契約した最上位精霊スウィフトハート通称ココロちゃん、剣聖の弟子になったレベッカ、ブラックディアというギルドを設立したユーリック、後輩のレイちゃん。

 どれもこれも公国にいたはずの人ばかり…。

 皆留学?……そんな訳ないか。



「皆、どうしてここに?」

「私達は大会の選抜決まってるからオズマン先生が早く開催地に行ってシャロルに会いに行くと良いって言ってね!でね、来ちゃったの!」

「全員お前に会いに来たんだよ、クライム学園の後輩も一緒だ」



 ユーリックは後ろにいた自分達の後輩を紹介する。

 魔法使いの“庭師”アヤカ、球針(きゅうしん)使いの“駒玖珠(こまくす)”アマンダ、機械剣使いの“闘剣”リクルド。

 相変わらずコリュードは二つ名が好きだなと笑うと、国柄だからなと返された。

 球針というのが何だか分からないが……全員ユーリックが実力を保証するくらいの面々であるようだ。

 今年は強豪揃いなわけか、楽しみになってきた。


 ただ残念なことにユーリックと俺は別のトーナメントになってしまっているようだ。

 俺は下級生トーナメント、対してユーリックは上級生トーナメントである。

 同級生ではあるのだがユーリックの通うクライム学園は六歳ではなく七歳から入学なので、年齢でトーナメントが分かれている武闘大会ではそういう問題が起こってしまうらしい。

 一年の時にズタボロにされた恩を返してやろうとしたのに残念だ。

 対して向こうは上級生トーナメントには強い奴が少なそうだと言って余裕の表情を見せている。

 来年、覚えてろよ。



 宿を取りに向かっていたようなのでポワル達とは一度別れ、カナリアやシスイとも途中で別れるとフィオナと二人きりになってしまった。

 何だか今日は物静かだったけど随分拗ねていたなと思いつつ顔色を伺う。

 長い付き合いなだけあってちょっとした雰囲気の違いには気付くようになっていた。

 


「何か怒ってる?」

「いえ。皆様と仲が良いのを見て、少し驚いてしまいました」

「コリュードではフィオナに色々家の事を任せっきりだからね……ごめん」

「ああいえ、謝ってほしい訳ではありませんよ」


 俺はフィオナの様子を伺いながら聞いていた。


「少し考えていただけです」

「考えていた?」

「彼女達と私、どちらが幸せかということを考えていたのです」

「……そう。どっちが幸せだと思った?」

「私に決まってるじゃないですか」


 彼女の心境の変化は分からないが、今日一日で何か思う事があったようだ。



「じゃあ、その幸せをもっと膨らませに行こうか」

「……もっと、ですか?」

「うん」


 家の前まで辿り着くと外ではアキレスがハルバードを振っていた。

 自分の左腰を少し叩いてアキレスに合図し、訓練用のゴム剣を受け取った俺は“あの時”のように強く念じる。

 高まる魔力は具現化し姿を変え、俺の後ろに大きな鎧騎士が見え始める。

 光神レグナクロックスだ。


「…今年の武闘大会は優勝を手土産に持って帰るよ」


 あの頃の俺とは違っていた。

 降魔術の発動は留学前後で練習していた。

 完璧とはいかないまでも期待できる能力付与は簡単に行える。

 アキレスとは何度も対戦している為、レグナクロックスを呼び出している俺を見るだけで嫌な顔をするが、降魔術を無事習得できたのはアキレスのお陰だ。

 今回はこの技術がある。

 そう簡単に負けやしない。


 ポワル、レベッカ、トウヤ、レイちゃんに続き、ユーリックの後輩三人組。

 今年は去年戦えなかった分暴れ回ってやろう。

 ……実に楽しみだ。


三度目の武闘大会。果たしてどうなるのでしょう。

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