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ブナケデス  作者: あるばいと
クロネコ師匠編
44/57

2-12 ゴーレムNo.03の生態

 洞窟のちょっとした空間の暗がりにいる女性型ゴーレム。


 彼女自身の身体から魔瘴気が噴き出していたためにどんな姿か分かりづらかった。だが、よく見れば見た目には20代前後に見える容姿。

 髪は短めでウェーブのかかった金髪。目はダークブルー。理想的なスタイルはゴーレムだから好きに作り変えてあるのだろうか?

 ただし、右手、左足が大破している。というか、引き千切られている。


 彼女の体から出ている魔瘴気を何とかしてもらわないといけない。

 紳士的に自己紹介でもした方がいいだろう。


「俺の名前はカンザキ。で、この肩に乗っているのがクロネコ。実は頼みがあって来たんだ」


 ゴーレムがいるとは思ってなかったけど、原因を何とかしてもらおうとは思っている。


 座ったまま、こちらを見つめ返すゴーレム。相変わらずギィギィと関節を動かすたびに、軋む音がする。若干、怖い。呪いの人形っぽい。

 呪いの人形こと、女性型ゴーレムが口を開く。


「私の名前はナンバーゼロスリー。後方支援、回復用ゴーレムです。頼みとはあなた方の回復でしょうか?」

「どっからツッコミを入れるべきだ……。ナンバーは名前じゃないだろ。あと、回復用のお前が壊れているのはどうかと思うし、俺たちは見てもわかる通り、怪我もなければ疲れてもいない」

「申し訳ありません。私には怪我の状況を判断する機能が欠如しているため認識が出来ません」

(本当にツッコミどころ満載のゴーレムね~。何? はじめから怪我の判断ができないの?)

「はい、私自身は破損すれば、それで終わりです。修復する必要性はありません。他者は自己申告にてお願いしております」

(死にそうな相手で喋れない場合は?)

「その場合はどちらにしても、回復魔法では間に合わないでしょう」

「シビアだなぁ。まぁ、今はその話はどうでもいい。03、お前から洩れている魔瘴気を止めてくれ。できないのなら、お前を破壊しなければならない」

「私を……破壊……? 私も黙ってやられるほど甘くはありませんが宜しいですか?」

「そんなボロボロな状況なら簡単じゃないか?」

(どーかしら? 彼女の身体、破壊された場所から見える骨の部分、たぶんオリハルコンよ。外装は大したことないかもしれないけど、骨格だけで動けたら相当ヤバいことになるわね。それにあの魔瘴気量も見逃せないわよ?)

「それに私は神聖魔法を使用することができます。先程も申しましたが、後方支援・回復用ゴーレムですので。私を破壊しようとするなら、抵抗する意思はあります」

「ゴーレムなのに!? えっ神様信仰してんの!? こんな魔界っぽいところで? 邪神?」


 邪神信仰なら本格的に破壊しないと不味そうな気がするんですが……。俺の知る神様と対立するんだろうし……あれ? アイツが邪神かもしれないぞ? いや、そもそも神じゃない可能性もあるんだっけ。


「信仰による神聖魔法を使用するわけではありません。正確に申しますと神聖魔法を神から借りるのではなく、一部ですが自ら作り出すことが可能だということです」

(それって、滅茶苦茶すごいことじゃない!)

「よくわかんないけど、凄いのか? 普通の魔法が使えるのと違うん?」

(全然、違うわね。簡単に言うと、彼女……と言っていいかわからないけど……神に近い能力を持っているってことよ)

「ふむ、凄いことは分かった。じゃぁ、その魔瘴気を止めてくれ」

(止められるなら、とっくに止めてるでしょ!)

「わかりました、私の破損状況を確認して修復してみます」

(止められるのかよ!)


 それから、破壊された手や足の部分を見比べている。明らかに壊れているが小首を傾げて何度も眺める。

 なにか、理解が出来ていないようで尋ねてくる。


「自分が壊れたときのことを想定されていないので、破壊の具合が曖昧です。大まかな修正は可能でしょうが隙間などが出来るため、魔瘴気が漏れると予想されます」

「てーか、魔瘴気を何とかできないの? 封じ込めたんじゃぁ、また破損したら漏れるんだろ?」

「止めることは可能ですが、現在のまま止めると私の機能が停止してしまいます」

(破損具合がわかればいいんでしょ? 少し私も手伝ってあげますか!)


 そういうと、クロネコは口の中をモゴモゴし始めた。

 何してんだ、反芻か? ネズミかコオロギでも吐き出すのか、気持ち悪い……と、思っていたら、もっと気持ち悪いものを吐き出した。


「!? うぉおいっぃ!?」

(うるさいわね~。ゼロスリー、アンタの目玉をこの目玉と交換しなさい)


 クロネコの口の中から出てきたのは人間の目玉だった!


(魔族の目玉よ)


 魔族の目玉でした~。早とちり……いや、どっちにしても怖いですから~!!


「視覚は十分に確保されていますが、クロネコ?」

(いいから付け替えて見なさい)


 03は自分の目玉を抉り出す。

 怖い……スプラッターすぎる。血が出ないのがせめてもの救いだ。いや、血が出なかったらスプラッターとは言わないか。意外と簡単に外せているなぁ。ロボットだから? マシンだから? いや、ゴーレムだった。


 目玉を付け替え、上下左右と動かす03。

 03って呼びずらいなぁ。クロネコも03も名前としての認識があるようだが、普通に番号だろ。


「……。視覚を集中すると%数字が表れます。これは何ですか?」

(何だと思う?)

「おそらく破損率ですね。私の失われた部位は100%で表示されています。私のほとんどの部分は20%~60%。大破と言って過言ではないレベルです。クロネコとカンザキは0%。」

(それで、どこを直せばいいかわかるでしょ。自分の体の見えない部分でも、ゼロスリーの身体に馴染んでいれば、どこが大破しているか部位と%表示されるわ)

「人間にもこの機能がついているのですか?」

「人間にはついてないよ、そんなの……。痛覚で〝痛い″ってーのがわかるから、どこが悪いかわかるんだ」

「不便ですね」

(アンタなんて今までどこが壊れているかもわかんなかったじゃん!!)

「しかし、〝痛い″というのは〝辛い″のではないですか?」

「まぁ、その話はまた今度。とりあえず、自分を直してくれ」

「かしこまりました。放っておいたら、あと20分で機能が停止するみたいですから……」

(悠長に話してる場合か! 急げゼロスリー!)


 『かしこまりました』と一言 言った後、なにやら長い呪文詠唱を始める。詠唱だけで1分くらいある。戦闘中には使えないだろうなぁ。剣での攻撃なら10回くらい切られるぞ。

 それから03の身体が光出し、低い音を立てながら回復していく。腕や足もくっついて、ひび割れた部分も元に戻っていく。

 回復魔法って、ゴーレムにも効くんだ。いや、彼女特有の魔法なのか?


(直るまでずっと光ってんの? ってーか、どれくらいで治るの?)


 『直る』なのか『治る』なのかは、判断が難しい。


「直るまでは、光の魔力が元の状態にしていくため光り続けます。治るまでの主要時間はおよそ5時間」

「長っ!」

(あんだけ壊れてたし、仕方ないんじゃない? それより、カルカン出して、食事にしましょう。ゼロスリーは何か食べんの?)

「修復中は行動が制限されているため無理です」


 行動が制限されてなければ、こいつ、何か食うんだ。エネルギー源は魔力じゃないのか?


 カルカンと俺の食事を出す。ペヤングカップ焼きそば……ペヤングだけで3種類買ってある。普通のと、ハバネロ味とペペロンチーノ味。


 どうしても、保存がきくモノを買わざるをえない。ナマモノとか1日、2日で食べることができない。こっちの世界のことを考えれば生でもいいが、向こうのことを考えると致し方ない。


「猫や人間はそう言ったものを食べるのですか? そもそも、肉や魚、野菜とは違うモノみたいですが……」


 光に包まれ、回復中の03が疑問を投げかけてくる。

 カップ焼きそばは、ゴーレムでも不思議に思うのかぁ~。もっとも、俺はゴーレムも魔族も何を食って生きているのかしらないけど、この言い方からすると、肉とか魚なんだろうなぁ。

 オークとかは、肉魚を食うし……畑とか荒らすし野菜も食うのか、ビタミンも必要なのかぁ。


「何なら喰ってみるか?」

「興味はあります。修復が終わりましたら是非、食べさせてください」


 あとで何か食べさせることを約束してやる。

 それにしても5時間とはかなり時間がある。

 だいたい今の現状について03に話してやる。真祖のドラゴンが来て大暴れで、獣人を地上に迎え入れるか否かで、俺たちは国でも作ってみようかなぁ~? って思っているみたいな話を延々と5時間。


「面白そうなので、よろしければ私も手伝いましょう」

(アンタ、ここで使命があるんじゃないの? それと何で壊れていたのかも気になるんだけど……)

「私の使命は壊されることでした」

「壊されることが使命?」

「はい。私は私の姉を破壊し、姉のパーツを奪って強化すること。そして妹と闘い勝つことが目的でした」

「そーすると、お前の他に01,02,04がいるってことか」

「よくわかりましたね」

「ぅん……まぁ、わかるわなー」

「新しいゴーレムと古いゴーレムが戦い、勝った方が相手のパーツを奪うのです。奪われた方は機能を停止します」

(じゃぁ、アンタを壊したのは妹? ゼロ……なに?)

「04だろ。妹だからな。だが、機能が停止しているようには見えなかったが? 復帰したのか?」

「妹は私のパーツの一部しか持っていかなかったのでしょう。彼女は優しかったから、私を停止させることに戸惑いがあったのかもしれません」

(ちょっと待ってよ。アンタでも十分強いのよ。 それ以上って……)

「現在の私にはコレがあります」


 と、腹の部分を引き裂いて体内から指輪を出した。

 怖ぇーなぁ。なんでこんなホラーなことすんのこと人……このゴーレム。


「何か魔法の物品?」

(超レアな魔法の物品よ。魔瘴気の原因はコレだわ……名前からしてまんまだからね。『魔瘴気の指輪』)

「本当にまんまの名前だな。ってーかこれを止めてもらえばいいのかよ! いや、止めたら死ぬのか?」

「大丈夫です。修復は完了しました。ですが『魔瘴気の指輪』が無ければ強力な力を発揮することは出来ません。ですから、魔瘴気がこの身体から洩れなくすることはもちろん、普段は『魔瘴気の指輪』の能力を使わないようにします。それでいかがでしょう?」

(たしかに『魔瘴気の指輪』を捨てるなんてとんでもない。誰かに拾われたら危険だし、あれば便利だからね。それにしても、どこで手に入れたの?)

「機能が停止しそうな私に妹が置いていったものです。現在の出力は当時の私を上回ります」

「だったら妹04が使えばいいんじゃね?」

「彼女は魔力・魔法を使用しません。というか、私からその機能を奪いませんでした。ですから、現在 私が機能しているわけです」

(ってーか、魔力無しでアンタを壊せるってどんだけよ。……後方支援と回復役じゃぁ攻撃手段がないの?)

「神聖魔法に攻撃手段はあります。ですが昔の私には魔力許容量が足りずほとんどの神聖魔法を使うことができませんでした。奇しくも今回、妹から『魔瘴気の指輪』を貰い受けることでパワーアップした形になります」

「まぁ、国造りを手伝ってもらえるなら、それに越したことはないけど……」

(信頼できるかどうかよね~)

「信頼できない要因は何ですか? 魔族という点は否めませんが、現在、私があなた方に勝てる可能性は20%未満です。もし私がアナタたちに敵対するなら、アナタたちと行動を共にしないことがベストです。あたなたちの不意を衝こうと思っても勝率は40%にも満たないでしょう」

(たしかに……って、私たちの戦力が高いって見抜いているわけね)

「この階層までくるのに無傷ですので、その能力は簡単に想像が出来ます」


 そう言ってから彼女は高い天井を見上げて、呟くように言った。


「どうやら、早めに地上に向かった方が言いようです。悪い予感がします」


 『悪い予感』ってーのは良く当たるからな。

 早く戻ると言っても、14時間以上かかるだろうけどな。

ちょっと更新ペースが落ちるかもしれません

落ちないかもしれません 念のため

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