表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブナケデス  作者: あるばいと
クロネコ師匠編
43/57

2-11 休みなく洞窟を下っていく

 オークと言う魔族がいる。

 魔族の中でも最下層に位地する。かといって、一般人よりは強い。が、ベテラン戦士よりは弱い。駆け出し戦士レベルである。


 豚型獣人とは違う、豚型魔族である。見た目には似ているが知性と魔力の差がある。

 豚型獣人は人間形態になることができる。それに比べてオークは人間形態になることは出来ない。

 好戦的で同種族以外の対等以下の動くモノを壊したがる傾向にある。なんでも食らい尽くす。村人にとっては脅威だが、兵士にとってはそれ程でもない。


 似た種族にコボルトと言う種族がいるが、彼らと共存することはない。別種族で力が拮抗しているために殺し合い、貪り食うからだ。どちらか一方が残ることになる。

 ただし、オークの王やコボルトの支配者がいる場合はこの例に当てはまらない。


 さて、ハイドロビュームの洞窟だが、ここの上層階にもオークがいる。

 下層階には自分たちより強い魔物がいるので向かうことはない。かといって、洞窟内に食料があるわけではないので、グレン平原に出て食料を探す。

 この草原には、小動物から中型動物までいる。場合によってはエルフの住む森もある。そこに行けばエルフの子供や、獣人の子供を運よく捕まえられるかもしれない。いることだけは確認しているが捕まえるまでには至っていない。エルフや獣人の大人に手痛い目にあっているが、オークたちは懲りない。

 数匹 殺されたところで、百数十匹といるうちの一割にも満たないからだ。


 大人よりも子供の方が美味い……オークたちの認識はそうであった。

 そうであれば、今、目の前から洞窟の中にやってくる人間の子供は、ご馳走であり、肩に乗っている黒猫はデザートだ。


 (ことわざ)で言うなら『鴨が(ねぎ)をしょってやってきた』と言う状態だった。

 ヨダレを垂らしたオークたちが我先にと、大きな剣やこん棒を持って走り出していた……。


 ◇


 彼 是(かれこれ)20匹くらいオークを倒したかなぁ、と思っていた。向こうから灯りを見つけて襲って来てくれる。洞窟内を一掃するにはありがたい……が


「隅から隅まで探し出して、魔物を退治していかなきゃならないん?」

(そんなわけないでしょ。この辺の雑魚は大雑把でいいわよ。あと、この辺 魔瘴気無いからそのマスク外しなさいよ、みっともない。ってーか、マスクなくても大丈夫だって言ってるでしょ!)

「お前の言うことなんて、信じられるか!」


 洞窟内をマスクとライト付ヘルメットで移動する。洞窟探検なのによく使うヘルメット。サバイバルゲームで使う迷彩模様がはいっている。

 前から、後ろから、オークが次から次へとやって来るが『龍撃掌・二式』で切り裂いていく。一式より殺傷力が高いのでコストパフォーマンスがいい。


「で? 結局、何すればクリア? ダンジョン最下層にボスでもいるの?」

(アンタ妙なところ詳しいわよね~。最下層にボスまたは魔力を発する()かを止めれば、このダンジョンの魔物はだいたいいなくなるはずよ)

「ボスか、原因究明ってわけだ。でも、魔瘴気の無いダンジョンにもオークっているだろ?」

(魔瘴気は魔族、魔物にとっては力に変わるのよ。そもそも魔力の元となるものだからね。だから、自然とそういう魔族が集まって来るの)

「魔瘴気が止まれば集まりづらいってことか。ダンジョンを住処にするのは変わりないにしても……」



 クロネコと俺だけで、洞窟内を探索することになった。

 カエナ達には、地上で家の建築やら道を作ったりやらをお願いすることにした。大まかな指揮はバセリオンが行い、現場監督はロッサ。エルフたちとレグイアは肉体労働、セバスチャンはレグイアの監視も兼ねている。

 カエナとアトリーヌは食糧管理。俺が100m以上離れる可能性があるので、カップラーメンとかコーラは無理と判断。神聖王国で買い込んだ保存食などを置いていく。

 カエナが駄々をこねたが、洞窟内に行くよりは地上でコーラを我慢するそうだ。


 あとは、戦闘準備をさせておく。近隣諸国が攻めてくることはないが、エルフの情報だと森に獣人が、かなりの人数いるらしい。話し合いで解決するようアトリーヌに言ってあるが、早々 上手くはいかないだろうから戦闘準備だけさせておく。

 裏目に出る可能性も考えた。『戦闘準備をしておいて、話し合いだと! 笑わせるな!』となるだろう。だが、バセリオンに言わせれば、力無い者の意見も聞かないだろうとのこと、特に人間は問答無用で殺しにかかってくるハズだって……。


 地上に戻ったら、獣人たちに支配されてたら嫌だが、任せるしかない。俺とクロネコを分散する案もあったが、どちらが洞窟に行くにしても一人というのは問題がありそうなので断念した。

 バセリオン達の他にエルフたちもしばらくいるので大丈夫じゃないかという判断。


 エルフたちは家を建てるために来ているが、2~3日で完成することはない。1軒だけじゃなく10軒近く立てるから、一ヶ月以上は共に行動することになりそうだ。

 こちらとしてはありがたいが、エルフたちはあからさまに、不満そうだった……コーラを振る舞うまでは……。

 今は比較的、仲がいい。



(ここが下に降りる階段ね)

「……」

(なによぉ?)


 クロネコが肩で不満げな声を出す。

 いや、俺は不満じゃないんだが、一直線で降りる階段まで辿り着いている。もちろん、別れ道もいくつもあった。が、的確に近い道を選んできているのだ。


 なぜか。

 答えは簡単。

 地図があるからだ。

 クロネコは呪文で空中に光の線で描かれたハイドロビューム洞窟の地図を出していた。


「なんで、入ったことのない洞窟の地図がだせるんだ?」

(スーパー黒猫だから?)

「2~3発ぶっとばしていいってことか?」

(冗談よ、冗談っ! まったく近頃の若者は、すぐキレるんだから~。空間魔法よ。魔力が洞窟内に留まってるでしょ? それを感知してマップを作り出すの。そんなに難しい魔法じゃないわ……天才の私にとってはね!)


 なるほど『気圧差で空間を特定する』みたいなものか……滅茶苦茶スゲーんじゃね? あの言い方だと、オリジナルンの魔法なんだろうか。これじゃぁ、隠し扉など意味がないなぁ。


 そんなことを考えつつ地下2階。

 なんか、青紫の霧みたいなものが出てきた。これが例の魔瘴気なのだろうか? そこまで霧は濃くは無いが、確かに水の中に潜っていくような気分にはなる。


「これが?」

(そうよ。魔瘴気……よっと!!)


 肩に乗っていたクロネコが、猫パンチで俺のガスマスクを外しやがった!

 不意だったので思わず息を飲んでしまった……が、『気』を張っていたおかげだろう、命に別状はないし、苦しくもない。


「お前、俺を殺す気か!」

(ね、簡単でしょ? マスクを外すの……。っと殺す気あるお客さんがいらっしゃいましたよ)

「あれは、オーガってやつか?」


 ゴブリンを筋肉質にして巨大化させた感じ。身長は3m近くあるんじゃないだろうか。日本で言う鬼に近い。

 が『龍撃掌・二式』で一撃で倒して進んでいく。


(アンタ容赦ないわよね~。初めて見た相手を一撃で倒すとかって……)


 どんどん洞窟を進んでいく。

 お宝とか無いなぁ。ダンジョンといえばお宝だろうに……。お金でも魔法の物品でもいいんだが、これからの国造りに便利なモノはないんだろうか……と思っている間に、地下3階。2階の魔物はオークとオーガが主だったが、歩くのに支障なし。


 地下3階。

 ここにはどんな魔物が……。まぁどーでもいいか。


 途中休憩して、地下10階まで到達。およそ20時間ノンストップで!


(アンタ、タフねー。寝なくて大丈夫なの?)


 そういうクロネコは俺の肩で途中寝ていた7階あたりで……。おかげで7階は迷子になった。

 あっちにウロウロこっちにウロウロ。

 出てきた魔物はファントム。霊体で物理攻撃が効かないアンデットだった。が『気』は十分に効果を発揮した。『気』が効かなかったら俺に倒す手段がないところだった。


 クロネコが7階で6時間ほど俺の肩で睡眠。結局、彼女が起きるまで7階を突破できず罵られる。

 そこから、さらに3階層降りて地下10階。

 予定ではココに元凶があるはずなのだが……。


(この階の中央に少し大きめの場所があるみたいだけど?)

「そうなると、そこが怪しいか。お宝もないし、さっさと片付けて帰りたいな」


 クロネコは魔法の地図を空中に広げて、現在地と広間の最短距離を俺に示す。

 魔瘴気が濃くなってきて若干 見ずらい。魔界ではこんな濃い魔瘴気の中、暮らしているのだろうか? そう思ってクロネコに聞いたところ


(こんなに色の濃い魔瘴気は珍しいわね)


 とのこと。


 この階層では魔物に遭わない。

 嫌な予感がしながら、大広間の鉄の扉を開ける。この扉は誰が作ったのだろうと、疑問に思いながら部屋の中に入っていくと、人影が見えた。


「人か?」

(魔瘴気の中には人間は生きられないわよ。とくに、これだけ濃かったら悪人でも死んでるでしょうね)

「俺をそんなところまで、よく連れてきたな」


 警戒しながらゆっくりと近づいていく。

 錆びたブリキが軋むようなギィギィギィという音がする。ハッキリ言って不気味だ。クロネコが息を飲んでいる。珍しくクロネコが緊張しているようだ。

 先に声をかけてきたのは相手だった。感情の無い少女のような声。


「そこにいるのは誰ですか? 私に何か用ですか?」

「アンタがこの洞窟の元凶だろ?」


 近づくことで相手の姿が見えてきた。

 相手は座っている女性だ。が、何かおかしい。よく見れば人でも魔族でもない。女性は身体のあちらこちらがひび割れ、煙を吐いている。右手と左足なく、地面に転がっている。


(ゴーレムかしら?)

「はい、私はゴーレムに分類される魔族です」


 ゴーレムって魔族じゃないだろ? どちらかといえば、魔法の物品とかに近いんじゃないか? 本人の意思がある場合は魔族でいいんだろうか?


「どうする、クロネコ? コイツを破壊すれば終わりなわけだろ。敵意が見られない相手を破壊するのは心苦しいんだが?」

(気軽に言ってくれるわね~。彼女、そんな(やわ)な相手じゃないわよ? それにあの破壊面から洩れている煙が魔瘴気の元凶みたいね。10階層ある洞窟を満たす魔瘴気……並みのゴーレムじゃないわよ)


 そんなこと言われましても、ボロボロですがな。

 待てよ? 彼女の割れ目を塞げれば魔瘴気は何とかなるんじゃないか?

 ひょっとしたら、話し合いで解決できるかもしれないぞ?

壊れたゴーレムって治せるか?

セメダインとかか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ