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ブナケデス  作者: あるばいと
クロネコ師匠編
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2-09 エルフ女王の第二の試練

 楕円形闘技場(コ ロ シ ア ム )での模擬戦が行われてから、およそ一週間の日にちが過ぎた。


 その間にバセリオンとカエナが女王たちと会議を毎日のように開いていた。

 俺? 俺は参加してないよ。クロネコも……。面倒なことは彼らに任せている。そのおかげで、何でもエルフの国から何人か手伝いを出してくれるとか。


 ロッサは俺以外の子供たちが不甲斐ないということで、剣術、槍術、弓術を全員に教えることにしたらしい。とくにレグイアが酷いとか……一番 素早く動いていたようだけど我流過ぎて話にならないということ。


「あいつ元・王子なのに剣術学んでなかったのか?」

「うんにゃ、習ってたらしいけど、全然 話を聞いてなかったぽいな。一からやり直さなきゃ話にならんね。あんな剣でよくクソガキに切りかかったもんだ。もうちょっとマシになったら切りかかるように言っておく」

「切りかからない……ってー選択肢はないんだ~」


 どうやら、俺に切りかかることはロッサ的には『アリ』らしい。むしろ彼らを弟子として俺に一矢報いるように教えているとか。自分がやられた仇を取るようにと……。そーいえば、成り行きとはいえ前にロッサをぶん殴ったっけ。

 お前が一矢報いろよ。弟子にやらせんな。いや、一矢報いろうと思うな! やめてほしい。


「話は変わるが、目から光線出す娘を覚えてるか?」

「んぁ? ぁあ、忘れるわけがない。あんなインパクトがあるエルフ。たしか、牢屋に入れられてるんだっけ?」


 無許可で色々問題を起こしたらしい。

 そもそも楕円形闘技場(コ ロ シ ア ム)では連戦の予定ではなかった。そのため、謝罪として建国するのにエルフの人材を派遣してくれることにもなってきている。他にもエルフの国のみで通用するお金もかなりもらえた。ここで色々調達していいということだろう。

 あの怪光線エルフ・パルミラ・パラリスは、特別なエルフらしい。

 説明があったが、聞き流した。


「で、アイツを俺たちの仲間にしたいんだがどーだろう?」

「いいんじゃないか?」

(ってー、ちょっと待てぇ、アンタら!?)


 横で丸くなって寝ていたクロネコがツッコミをいれる。


「ぅん? なんだ?」

(『なんだ?』じゃないわよ! なんで『歩く破壊光線』を仲間にするわけ!)

「ロッサがしたいならいいじゃないか? 今のところ、国民は少ないんだから一人でも多い方がいい」

(確かにそうだけど、だいたい、本人が納得するの? それにあれだけの戦力をエルフの女王様が手放すとでも? さらに、扱いづらそうだし、問題山積でしょ!)

「うるせークソ猫だな! とりあえず、本人確認はこれからする。それにエルフの女王にはバセリオンに頼んでおいてある。扱いづらいってーいっても、アイマスクさえしてりゃーただのガキだろ! まぁいい、クソガキが問題ないなら早速 牢屋にいってくらぁ」


 ロッサは一刻も早くと言った感じで席を離れていく。その際、レグイアも連れていく。あんなの連れて行って何の役に立つのかは知らん。武器は携帯させていないようだから、突然切られることはないだろうけど……。


(カンザキ~、なんであんなの許可するのぉ? 面倒事がふえるだけよ? とくにこれから国を建てようと思うなら……)

「来る者は拒まず、去る者は追わず……ってところかね~。国ってそういうもんじゃない?」

(そういうもんじゃない! ってーか、まだ国にもなってないから! 王様がそんな考えでいいの?)

「王様……かぁ。誰が王様やるか考えないとなぁ」

(アンタでしょ!? 何言ってんの!?)

「俺じゃないよ。俺がやったら不味いし……」

(アンタが『国を建てる(キリッ』って言ってたじゃない!)

「俺は王になる……とは言ってないだろ?」

(建国した人が王でしょ!)

「なら、バセリオンやカエナとかが王でもいいわけだろ? それにまだ建国できてない」

(屁理屈を言うな!)

「お前が王でも良い訳だが?」

(仕方ないわね~。私が女王となって国を盛り立てていくわ!(キリッ)


 上手く誤魔化せた。

 実際、俺が王になるつもりはない。この世界の人間でもないし、王になれば元の世界の技術も取り入れかねない。そうなれば、大変なことになるのは目に見えている。時代のスピードと合わない技術の進歩は人間も魔族も全て滅ぼしかねない。


 できればこの世界が良い方向に向かうようにしたいと思っていれば、俺が王になるのは悪手。今は守りの一手を考えるべきだろう。

 手堅く穴熊。

 手駒を集めて、守りを固める。そのためには怪光線のエルフもいるならいるに越したことはない。


(でも、実際は怪光線出すエルフは欲しくないんじゃない?)

「どっちでも……って感じだな。それよりロッサの方か?」

(なんで、怪光線を手駒にしようと思ったか……ってことでしょ? さしずめ、自分と境遇がにているとか、そんな辺りでしょ。聖騎士とか司祭って意外と孤児出の人間が多いからね)

「ロッサも孤児だったのか?」

(さー、知らないわ、興味もない)

「俺もだ、孤児であろうとなかろうと、使えればそれでいい」

(今の怪光線は使えないけどね。エルフの女王でも御しきれないんだから……)

「まぁ、ロッサに任せましょー」

(他人事ね~。ところで、他のメンバーは?)

「バセリオンとカエナはエルフの女王と会議。セバスチャンとアトリーヌはエルフの町で買い物と情報収集。ロッサとレグイアは怪光線少女に会いに……。俺とクロネコは部屋でゴロゴロ」

(遊んでるのはウチらだけね~。あんたも働けば?)

「働きたくないでござる。それじゃなくとも、日に12時間くらい働いてるしなぁ」

(アンタがそんなに働いているの見たことないけど?)

「見えないところで、コツコツと働いてんの。働かされること社畜の如」

(シャチク? シャチと関係が?)

「鯱とは関係ない。 それはそれとして、もう一つの試練」

(何? もう一つの試練って?)

「俺たちを見定めるのにエルフの女王が提案したものが2つの試練。一つは精鋭と楕円形闘技場(コ ロ シ ア ム)で闘って力を見せただろ? あと1こ あるわけだ」

(あぁ、あれね。なにをするか、当ててみようか?)

「心当たりがあるのか?」

(グレン平原だからね。最近魔物が出てくるようになった洞窟があるのよ。だから、国を建てるにしても、エルフたちにとってもその洞窟は邪魔。魔物の殲滅、あるいは出現の阻止)

「そんなこと可能なのか?」

(あの場所に国を作るなら必要なことでしょうから、出来るかできないかじゃなくってやらざるを得ないって言った方がいいでしょうね)


 そして、後でバセリオンから聞くことになるが、エルフの女王から出された試練はまさにそれだった。


 ◇


 次の日に出発。

 その日に到着……いくら世界樹から隣の平原といえども、3~4日はかかる。ましてや子供の足ならなおさらの距離だが、クロネコの転移魔法陣展開により、1~2分で到着。


 ついでに、家を建ててくれるというエルフも10人前後連れてきているし、木材も運んできている。


「超便利クロネコだな」

(なにせ、スーパー黒猫ですから!)


 カエナなどは無駄に魔法陣を行ったり来たりしていた。


 怪光線エルフはまだ決心がついていないらしく、こっちには来ていない。

 ロッサ曰く『クソネコがいるから、何度でも交渉に行けるから問題ない』とのこと。送ってもらう相手に『クソネコ』と呼ぶのはどうなんだろう?


 小高い丘の前にいる。平原と言うわりに、小高い丘が多い。更地にするのが面倒そうだ。その丘にぽっかりと大きな口を開けた洞窟がある。


「さて、この洞窟についてだが……」


 バセリオンとカエナが、エルフの女王から聞いた話を始める。


「エルフの小隊を何度か送り込んだが、行方不明になっているらしい。おそらくは、もう戻ってこないだろう。名前はハイドロビューム洞窟。相当 危険な洞窟だ」

「そんな洞窟にガキどもをいれるのか? このクソガキはともかくとして?」


 ロッサが俺の頭をグリグリと撫で回す。力が思いっきり入っている。絶対悪意がある。

 アトリーヌが疑問を口にする。


「洞窟の名前ですが、なぜ そんな名前が?」


 最近はアトリーヌは疑問を口にするようになってきた。昔は王子に虐げられてきたために質問はしないことが身についていたのだ。

 その問いに、答えられないカエナ。


「さぁ? エルフの女王がそう言っていただけだから、そこまでは知らないわ」

「たしか……古代下位語でハイドロは液体や水をあらわし、ビュームは美とか美しさとかじゃなかったかと思うのですが……」

(じゃぁ、見たんでしょ)

「何をですか? 綺麗な液体?」

(違うわよ。この洞窟に入って戻れない本当の理由……魔瘴気(ましょうき)……溢れる魔界の空気よ)

「「魔瘴気?」」


 初めて聞く言葉に、みんな何のことかわからない。

 どっかで聞いたことがあるような無いような……。


 俺たちのことをよそに、大工さんエルフたちは家を建て始める。場所や大きさなどの指定だけして、あとはまかせっきりだ。何故なら、ちゃんとした国になってきたら、たぶん取り壊すし その場しのぎのモノだから……。

 大工さん達をよそに、洞窟内の探検方法を考えている。


(魔瘴気……吸い込めば、即死する魔界の空気よ)

「洞窟、潜れないじゃん!!」


 洞窟に入る前に行き詰るとは思いもしなかった。

1-7 異世界の神話? にて ちょっとだけ魔瘴気について触れています

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