2-08 ハーフエルフ ただし魔族との・・・
おはようからお休みまで暮らしを見つめる神崎です。
クロネコを肩に乗せたまま戦闘終了、と思ったんだが、また一人誰か入ってきた。誰だ!? 連戦なんて聞いていないぞ!?
すでにウチの降参組と倒したエルフの精鋭部隊は退場している。
今いるのは、謎のエルフの少女と俺とクロネコ。
(連戦なんて聞いていないけど、どーいうこと?)
「さー? でもあの娘は、鎧も盾も剣もないから戦闘じゃないかもしれないぞ?」
(本当にそう思ってる?)
「まー殺気が気のせいなら、戦闘じゃない可能性もあるんじゃないかなーという希望的観測」
武器防具をつけていない彼女。
背は小さい。エルフの年齢はわからないが10代前半じゃないかなぁ?
エルフっぽく金髪だが、目の色はわからない……目隠し、ようするにアイマスクをしている。真っ黒で皮かなんかで出来ているんじゃないかなぁ。
淡い黄緑色のローブを着て、いくつもの指輪を付けている。
そして、ただならぬ気配。
「なぁ、あのアイマスクは魔法の物品か?」
(そう見える?)
「そうとしか見えない」
(魔法の光を放ってるもんね~)
その通り、アイマスクが淡く光っている。何らかの魔法の物品と考えるのが妥当だろう。
(けど、あのアイマスクは魔法物品じゃないわよ)
「するってーと……」
エルフの少女がアイマスクを外す。さらに閉じていた瞼も開く。
俺はとっさに飛び退いた。
だが、飛び退かなくても良かった。見当はずれな方向が爆発している。目からレーザーのような一直線の熱線が放たれ続けている。ってーかレーザー?
「魔眼持ちか!?」
(あんた、よく魔眼なんて知ってるわね。感心するわ~)
楕円形闘技場の壁が一直線に壊れていく。観客席の方にも視線が向けられていく。観客席側の魔法障壁にあたり、そこで魔眼の力が爆発しているがどれくらいの強度があるかわからない。
魔法障壁は防弾ガラスに似ている。魔法か衝撃が来るとそこで止まるが、やんわりしたものは通してしまう。あの熱視線は魔法障壁にに当たるらしい
「うーん、まぶしくて、よく見えないぃ」
エルフの少女が視界を振ると爆発があちらこちらに転位していく。エルフの観客たちが避難していく。
なんでそんな危険な奴と闘わせようとしているんだ!
(早めに方を付けないと視界が確保されたら、必中になるわよ!)
クロネコの言葉にちょっとだけ焦りが増す。確かに熱視線がこちら側を捕え始めている。身体を動かさないと命中するくらいにはなってきている。
この調子だと俺が見えれば必ず当たることになる。
「『虎撃拳・二式』!」
身体の内側の『気』を使い筋力などを増強させる。視界にとらえられなければ当たりはしない!裏に回り込み、接近戦で片づけるのがセオリーだ。遠距離戦はこの魔眼の得意分野だろう。見ただけで爆発するんだから……いや、近距離でも見られたらアウトか……。隙がねーな!
だが、あっさりと後ろに回り込む。エルフの少女は俺を見失っている。
キョロキョロと周りを探し、楕円形闘技場の壁を破壊していく。
間合いを詰め一撃で仕留めようとした。
(退いて!!)
「ちっ!」
何があったかわからなかったが、クロネコの言葉に大きくバックステップを取る。先程いた場所に激しい炎が上がり火蜥蜴が笑っている。
「いつの間に詠唱を!? 精霊魔法だろ? 無詠唱か?」
(無詠唱を疑うなら他の要因を疑った方がいいわ。無詠唱で呪文が完成するのは、石を金に変えるより難しいわよ)
「じゃぁ、なんで……って、あれか」
(あれね)
アイマスクが魔法物品じゃないとすれば、指輪の方だろう。あれに精霊が詰まっていると考えるのが妥当。
指輪いくつつけているんだ? 一つの指に3個とかはめてたりするんですけど……え? あれ全部精霊の指輪とかいうことないよね?
(ヤバい、見つかった!)
俺の身体が吹っ飛び煙を上げる。煙に乗じて姿をくらます。
見た瞬間に爆発するってどんなメデューサだよ!威力が弱いから死ななかったが、肩から血が噴き出している。石化しなかっただけマシか。
(あのエルフ赤 目の血が混ざってんのよ。たぶん)
「レッドアイ? 地対空ミサイルシステムのこと……なわけないな。カクテルでもないだろ」
(魔族以外によく思いつくわね~。バカなの? バカなんでしょ! 魔眼を持った魔族よ。目から熱光線を放つ魔族! 彼らは異常なほど視力が強くてアイマスク越しでも周りを見渡せることが出来るらしいわ)
「へー。対抗策は?」
(やられる前にやれ! 目が光になれたら躱 せないからね)
「仕方ねーな。遠距離で撃ち合うか! 『龍撃掌・一式』!」
不可視の攻撃なら熱光線で破壊されないだろう。
煙を引き裂きながらエルフの少女に向かう『気』で囲った空気の塊。殺す気はないので加減して放っている。
が、それも手前でかき消される。
(シルフね。知ってる?)
「風の下位精霊だろ」
すぐにその場から離れる。見つかったら、あの爆破が来る。熱光線が来る方向はわかりやすい。爆音を響かせているからだ。が首を振るだけ視線を動かすだけで爆破してくるのだ。速い、速い!
しかも彼女の周りには精霊が何匹もいる。近づくことも遠距離攻撃も防いでくる。
(『龍撃掌』を思いっきり撃つってーのは?)
「彼女が死にかねんだろ」
(このままじゃ、こっちが死にかねないけどね)
「お前の魔法で何とかしてくださいよ!」
(さっき魔法の矢でほとんど魔力使い切っちゃった! てへっ!)
「腹立たしい! なんて腹立たしいクロネコなんだ!」
そう言って指を鳴らす。
(を!? 『W B』? カルカンでもくれるの?)
「お前が何とかしてくれるならな!」
(バセリオンもロッサも大した魔力量じゃなかったから……。あいつらのせいね)
クロネコの言い訳を、途中から聞き流し『WB』から懐中電灯を取り出し、エルフの少女に向ける。ちょうどエルフの少女の目線とと懐中電灯の明かりが交わり合う。
激しい音がして懐中電灯が爆破する。手が血みどろだ……が、
「うわっぁあぁ、目がっぁ、目がっぁあ!!」
ちょっとの間、時間稼ぎ。
目が良過ぎるため、強い光に弱いのだろう。
次なるものも『WB』から出しておくか……あーこっち先にしておけばよかった。
◇
目を開けた途端、私の周りにいた精霊が爆発する。何が起きたのか私には理解できなかった。
まぶしい光が目に入り、目を瞑ってしまった。
そして、男の子がいるであろう辺りを見たら、突然、私の傍の風の精霊が爆発したのだ。
「え?」
私が戸惑っていると、降伏をするよう男の子が促してくる。
男の子の方を見ると、私の周りに着弾し爆発する。
……鏡!?
「視線てーのは光の収束だから、光を飛ばしていると考えるのが普通だよな。メデューサも鏡で視線を掻い潜ることが可能なんだからな。諦めて降参しろ。お前の熱光線のスピードは精霊たちじゃ避けられないだろ?」
私の視線の攻撃をあっさり看破した。普通は看破する前に倒せる。
アイマスクを取ったばかりだと、まぶしくて視界が定まらず1~2分程度、目標を上手くとらえられないが、それ以降はよほどの速さか、よほどの距離が無い限り爆破できる。一撃は大きな威力は無いがおおよそ5発前後、時間にすれば30秒くらいで相手を倒すことが出来る。
それまでに初見で弱点を見破られる可能性は少ない。たとえ見破られたとしても鏡を持っていることなどありえない。用意しようとしている隙に、さらに視線を浴びせ続けられる。
瞳を閉じる。
アイマスクをする。
これで熱光線を封じられる。
アイマスク越しにまわりを見渡す。壁も結界もボロボロになっている。私の熱光線のせいだ。
私にはエルフの国で活躍する場がない……戦争でも私が戦場に出れば敵も味方も危険になる。
レッドアイと言う魔族自体が他人と一切関わりを持たない。レッドアイ同士でも離れ暮らす……というか、放浪している。一定の場所に住まず、一定の時間とどまらない。
私はそんなことが我慢できない。一人で生きて行く自信がない。エルフの国では邪魔者扱いされているわけではないが、役に立たなければ捨てられてしまうかもしれない。なにせ危険人物なのだから……。
なんとか私の力が有用だとを示したい。
いてもいなくてもいい存在ではなく、エルフの国に必要にならなくてはいけない。
その焦燥感が、私をこの場に駆り立てていたのだ。
エルフの精鋭を倒した人間を追い払うことが出来たなら……と。
まだ負けたわけじゃない。精霊の指輪を使える。私の熱光線でやられた精霊も魔力が回復すれば再び使える。数は11匹。やられたのは2匹。残り……えーと11-2で……9匹?
とにかく、まだいっぱいいる。熱光線を食らわなければ、精霊たちもそう簡単にやられない。
「もう、十分じゃないか? 互いに強いことは証明できたんだし……」
十分じゃない。私は負けるわけにはいかない。みんなに必要とされなければいけないのだ。
彼は一人になる怖さを理解していない。
まだ戦える……そう思った時、女王の近衛兵の隊長が入ってきた。
私は負けを宣告されてしまう……まだ、戦えるのに……。
「そこまでだ、パルミラ!」
「いやぁ!まだ戦えるぅ!私ぃ、絶対勝つから、止めないでぇ!」
近衛隊長の方を振り向き懇願するが、背後に気配を感じゾッとする。
(いいえ、お終いよ。パルミラ……だったかしら? いつでも首を掻き切ることも出来るんですもの)
私の肩に黒い猫が飛び乗る。
この猫が喋っている!? あの男の子の使い魔? なんで精霊がこの猫を攻撃しなかったの?
色々なことが私の頭の中を駆け巡る。
クロネコに首を狙われ、近衛隊長にやめるよう勧告され、これ以上 戦いを続けることは出来なかった。
マイナーな魔族・レッドアイ
知っている人が どれくらいいるのか・・・
魔族と分けていいのかも怪しいですね




