表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブナケデス  作者: あるばいと
クロネコ師匠編
36/57

2-04 森までテレポート

 私たちはギルドでクラン登録をしてからエルフがいるという世界樹に出発する事にした。準備もいろいろ必要なので、出発は明日。


 クランを作っておけば、どこの国の冒険者ギルドでも仕事が出来るようになる。ただし、私たちがクランを作ったことが、その国の冒険者ギルドに連絡が届いていればだが…。各国に万遍なく連絡が届くのに最速で5年はかかる。


クラン名・・・ブナケデス


現在のメンバー

メンバー名     職業

カンザキ      旅人

カエナ       お嬢様

セバスチャン   執事

バセリオン     聖騎士

ロッサ       聖騎士

アトリーヌ     翻訳家

レグイア      奴隷(元王子)

私          スーパー黒猫


 私の職業がおかしい……納得できないが説明も出来ないので諦める。獣人なんだけど、獣人形態にも人間形態にもなれない。魔力が枯渇すれば猫の身体すら維持できないのでしかたない。


 クランを作ったら一泊だけして、すぐに出発することになる。どんな強行軍だと思うのだが時間が惜しいらしい。

 こうしている間にも、獣人たちが殺されているのだろうから急いだ方がいいのは確かだ。確かだが、私としては他人事。私の命が危険にさらされる可能性が低いからだ。そもそも獣人とバレる可能性が低い。知らない獣人が殺されても、さほど悲しくもない。ただ、いい気はしない。殺した奴を同じ目に遭わせたいとは思うけどね。


 カンザキは出発前にエルフのエリスとドワーフのドギニ、それと最高司祭ベルモンドと何か話している。

 どうやら、まずはエルフが住む森・世界樹に行くらしいので同行をお願いしているようだが、断られている。でも、なんか蝋封された手紙は貰えるみたいだ。

 ドギニも何か鉄で出来た小さなカードのようなものをくれる。ドギニと知り合いという紹介状か身分証明みたいなモノらしい。役に立つのだろうか……立つか、なんか偉いドワーフっぽいし。

 ベルモンドは今まで、この二人を連れてくるために近隣諸国に連絡を取ったりしていたらしい。それだけではなく、同盟を結んできていたとか。ドラゴンが来る前に素早い反応だが、神との対話が許されている最高司祭だから出来る荒業ともいえる。

 おかげで弱っている神聖王国に侵攻する国は皆無に近い。


 第一位司祭のデブの豚男ことカエナの父・ビギヌスは国政にかかわっている。第二位司祭レイは教会での処理に追われている。

 まぁ、皆さん、お忙しいこって!


 私たちは明日の旅立ちの準備……世界樹までの冒険を仮定すると、徒歩でおよそ一年、馬で半年、飛行ユニット(ピッポグリフ、ユニコーン、ワイバーンなど)で三か月はかかる。


(そこで私の出番ってわけなのよ、わかる低能聖騎士のロッサ君?)

「なんだと、このクソ猫!」


 カンザキが会議中、カエナ、セバスチャン、アトリーヌは買い出し中。バセリオンは元王子(現奴隷)レグイアに対応中。

 部屋に残ってるのはテンションの高いバカのロッサと私。


「クソ猫は黙って着いてくるだけだろ」

(私はスーパー黒猫よ! 魔力受け渡し(トランスファー)をかけなさいよ。魔力があればエルフがいる森までひとっ飛びよ!)

「テメーみたいな怪しい黒猫の言うことなんか信じられるかよ!」

(アンタ、私の大活躍を見てなかったの!? 聖騎士団でホワイトドラゴンと闘った時見てたでしょ!)

「ハッキリ言って、カンザキでも小さすぎてよく見えない状況だぞ?」

(そーよね~。ネコなんか小っちゃくって見えないわよね~。黒猫が大量にいたけど、あれも黒猫と認識できるもんじゃないし、私の大活躍はわからないわよね~)


 一面真っ黒に染めた黒猫の団体は遠目からは、何が起こっているか理解できなかっただろう。黒猫を何匹も見かけたとしても、あの黒の絨毯がそれだとはわかるまい。


(ふぅー。アンタごときじゃぁ魔力受け渡し(トランスファー)をかけたところで私の魔力がほとんど満たされないだろうしね~)

「そんな安い挑発に乗ると思ってるのか?」

(可愛げないわね~。でも、ちょっとくらい試してみてもいいんじゃない? 一年もかけて世界樹に行こうと思ってるならさー)

「しかたねーなぁ。簡単な魔法だし、どれくらい魔力入れればいい?」

(入れられるだけ入れて。さっきも言ったけど、本当にアンタの魔力じゃぁ全然足りないから)

「腹立たしいクロネコだ! あとで吠え面かくなよ」


 そういうと赤髪のロッサは呪文を唱え始める。魔力受け渡し(トランスファー)は文字通り自分の魔力を受け渡すだけで、許容量をオーバーしても溢れるだけで身体に害は起こらない。

 ロッサから魔力が流れ込んでくる。私の想像よりもロッサは魔力が多いようだ……が、当然満タンには程遠い。


(こんなもんかしらね~)

「マジかよ。かなり多く魔力を送ったつもりなのに全然溢れる気がしねー!」

(これなら、片道くらいなら行けそうね)

「あんだけ送って、片道分にしかならないのかよ!」

(次元を繋げるんだから当然でしょ。むしろ、人間にしては頑張った方よ?)

「おほめに預かり恐悦至極! ったく! だが、本当に行けるんだな?」

(もっと魔力くれれば、今すぐにでも見せて上げられるけど?)

「無理を承知で言いやがって! バセリオンと俺でなんとか一往復ってことか……。うん? 待てよ。俺らじゃなくても魔力受け渡し(トランスファー)出来ればいいんだろ?」

(まぁ、そーねー。でも私たちのクランには魔力が多そうなのはアンタとバセリオンくらいなのよ。回復ポットとして頑張って!)

「酷い言われようだ! それはともかくカンザキはどうだ。あいつに神聖魔法の魔力受け渡し(トランスファー)を教えれば魔力量は凄いんじゃないか? それこそ100往復とかできそうじゃねーか!?」

(あー、私も初めはそう思ったんだけどね~。ドラゴン戦で判明したんだけど、アイツ魔力ゼロなのよ)

「は? 魔力……ゼロ……誰が?」

(カンザキよ。あの子よ)

「ありえないだろ? だってこの世のすべての生物が魔力なければ死んじゃうだろ? 魔力なんて食事や水なんかと同じように取り入れなきゃならないモノじゃないか」

(まったくもって、その通り。あんたじゃぁ理解できないだろうけど酸素と一緒)

「酸素?」

(空気よ。空気も人間吸わないと死んじゃうの。それは置いておいたとして、魔力も体内に取り込まないと通常の生物は死ぬのにあの子は取り込む場所が無いの。空気と一緒に肺には取り込むけど、そのまま吐き出す。意味がわからないわ。あの子は他の原理で動いている一種のゴーレムみたいなものかもしれないわ。あの不思議な『気』とかいう魔法も、そのせいかもしれないのよ……っと、話が反れたわね。そんなわけで、カンザキからは魔力がもらえないわ)


 ロッサは口をあんぐりと空けたまま固まっている。まぁカンザキがゴーレムかもしれないなどという突拍子の無い話をすれば当然か。



 次の日の朝、すぐに出発することになる。カンザキは夜中いなかった。寝たと思ったら寝室はもぬけの殻だった。どこで何をしていたのかわからないが、朝には帰ってきていた。


(どこで、なにしてたの?)

「旅が長くなりそうだから、食料を調達しに」

「そんなのは私たちがやっておいたわ! ねぇセバスチャン! アトリーヌ!」

「左様、このセバスチャンめが抜かりなく」

「干し肉とお水とワインを用意してあります」


 それぞれがバックパックいっぱいに荷物を詰めている。

 みんなバックパックいっぱいなのにカンザキは手ぶらだ。私は猫だから許されるとして……。


「お前もなんか背負ったら?」

(アンタが持てよ!)

「俺は……」


 そう言って指を鳴らすと、白いあまり大きくない箱が突然出てくる。


(なにそれ?)

「俺用リュックっといったところかな?」


 箱をガバッと空けると見たこともの無いようなものが色々出てくる。そして見せるだけみせてまたしまう。

 最後に籠手を出す。


「俺さー。ドラゴン戦でこの籠手使ってカッコよく戦う予定だったんだけど、突然現れたんではめてる時間が無くってさー。せっかく買ったのに……初めて買ったモノなのに……」


 今さら、手を突っ込んでムギュムギュと感触を楽しんでいる。そしてファイティングポーズなど取ったりしている。


「使う機会が無かった……なんで使うの忘れたかなぁ~」

(……あったま、悪ぅー)

「さらに、ダサー」


 カエナが私の後に付け加える。心の底から蔑むように……。


「いや、だってカッコいいじゃん!」

「どーでもいいから、行くぞクソガキ!」

「いや、どーでも良くねーよ!」

(はーい、空中に転移用の魔法陣を展開しまーす。世界樹まで行く方はお早めに~)


 カンザキが籠手を使って仮想訓練をしているのを無視して、転移魔法陣を扉のように作り出す。

 真っ先に入ったのはカエナ、セバスチャン、アトリーヌだった。怖いもの知らずだ。私だったら、まず信用しないだろうに……。私が展開しているので続いて私が入る。次はロッサ、バセリオン、レグイア。最後に哀愁漂う5歳児・カンザキ。


 神聖王国から世界樹まで1秒かからずに到着。


「長い旅だったぜ!」

「あの……一瞬でしたけど……」

「でっかい森ねー。見渡す限り木しか見えないわ!」


 すでに森の目の前、遠くに一際 大きい木が立っている。何百mあるかわからない。途中、雲がかかっている。普通にある城なんかよりも遥かに大きいことはここからでもわかる。


「とりあえず、あれを目指してまっすぐ行けば着きそうですね」


 バセリオンが巨木を眺めながら言う。直線距離でも半日はかかりそうだ。


「直接、世界樹には出られなかったのか?」

(木の中にいる可能性もあるけど、それでよければ……ね。森の中でも十分危ないってことよ)

「『壁の中にいる』……ってことか」

(いや、木の中よ?)

「俺の知るテレポートの危険性の話だよ。」


 そんなたわいのない話をしていても、先程からレグイアは一言も言葉を発しない。ふて腐れているという表現がピッタリかもしれない。彼はアトリーヌの荷物を強制的に運ばされている。初めは拒絶していたが、カンザキがロッサとバセリオンに命じ鉄拳制裁を行ったためだ。あまりいい傾向とは思えない。が、彼の今迄の行動から考えれば生ぬるいだろう。そんな回りくどいことをせずにもっとこう……。


「そんな目でレグイアを見るな。彼に更生のチャンスを与えているんだから……」

(無理ね、アイツは。絶対後で仇なすから処分しておいた方がいいと思うわよ~。出来るだけ苦しむ方法でね♪)


 私とカンザキの意見は真っ向から対立する。だが、今はあのゴミの話は後だ。エルフたちがいるという世界樹を目指すため森へと入っていった。

気付いている方もいると思いますが、その通りです。

ミンナニナイショダヨ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ