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ブナケデス  作者: あるばいと
カンザキ師匠編
21/57

1-19 買取価格

 武器屋のオヤジに『W B( ホワイトボックス)』を売ってくれとせがまれた。当然、売らないし売れない。


 そんなことより、武器・防具の買い取りをお願いした。

 渋々、武器などを鑑定。その間、店の中に飾ってある同じような武器の値段を確認すると、ショートソードで1万Gする。俺の現在の全財産より上だ。

 俺が思っていたのより物価は高いようだ。

 でも5人の食事代が4500Gと考えれば、それの2回分……妥当なところか?


 売り物は

 ショートソード、ロングソード、フレイル、スモールシールド2個


 ロングソードは10万G、フレイル7万G、スモールシールド2万G


 売値で言えば23万Gになるわけだが、そのまんま売れるわけがない。

 そもそも、状態も悪い。いくらになるか想像がつかない。


 青髪の聖騎士ことバセリオンに聞いてみようと思った時、それよりも早く鑑定結果が出た。


「1万5千Gだな」

「1万5千かぁ」


 小銀貨5枚と中銀貨1枚が机の上に乗せられる。


 さすがに半額は無理だと思ったが、一割にも満たないのか。もっとも元手が只なので問題ないのだが、ちょっとガッカリな値段だ。


 交渉して、もう少し値段を上げてもらう手もあるが、値切ったりするのは苦手なのでその値段で納得する。1万5千G、只で入ったと思えばむしろかなりの儲けだ。

 ゴブリン退治が一人3千Gなのだから。


「うんじゃぁ、その値段でお願い」

「まいど。 もっと粘るかと思ったが諦めがいいんだな」

「適正な買取値段を知らないからな。もう少し色々なところで売ってみてからじゃないとなんともいえないだろ?」

「ガキのくせに多少は考えてんだな。売りに来る客は大抵、店で売ってるものの半額くらいで買い取ると思っている奴が多くてかなわない。そんな値段で買い取るわけないのにな。持ち帰って色んな店に持ち込んでみてまたココに売りに来る奴も多いくらいだ」

「まぁ、商売のプロじゃないだろうから仕方ないんじゃないか」

「仕方ないんだが、文句を言うやつが多くて正直、嫌になるぜ~」


 なんでこのおっさんは子供相手に愚痴っているんだ。


「売りに来ただけじゃないんだ。買い物もしたい」

「へい毎度あり……で、どんなものをご所望で」

「魔法の物品」

「予算は?」

「1万5千G」

「今、入ったお金じゃないか!」

「あんまりお金は持ってないからなぁ、俺の全財産は2万に満たないぞ」

「はっきりいって、2万で売れる魔法の武具はねーよ」

「俺もないと思う。無いと思うが、もしかしたら……万が一……ひょっとして、あるかもしれないから聞いてみた」

「安心しろ、売り物は全部 店に出してる」


 店のオヤジは壁にかかっている武器を指さす。

 魔法の武器が並んでいるのだろう。俺の魔力感知能力が低いのか魔力はあんまり感じない。魔力感知能力が俺に備わっていない可能性もある。魔力もあるんだか無いんだかわからないくらいだしな!


「バセリオン。これって魔法の武器?」


 バセリオンに確認してもらっている間、値段の0の数を確認する。うぉおい! 数千万Gしますけど!なにこれ? 買う人いるの? フェラーリとかそんな気分? こんな値段で武器として使うとか考えられないんですけど! だってこれが壊れたらどーすんの!?


「魔法の武器ですね。僅かですが淡く光って魔法がコーティングされています」

「おっちゃん、これどーやって作るの!?」

「はっはっは。魔法の物品の作り方はわかってねーんだ。うちでは買い取りだけだ。エライ魔法使いとか悪魔とか天使が作るって噂だが実際はわからねぇ。冒険者が洞窟や遺跡から発見されるのが(ほとんど)だ」

「殆? ってーことは、そうじゃないモノもある?」


 そこで口を挟むのがバセリオン。


「高司祭なら武器・防具に魔力を一時的にではなく半永続的に付加出来るモノもいる」

「すげーじゃん。そっりゃー大金持ちになりそうだ!」

「ただ簡単に出来るモノではない」

「だろうな。簡単にできるなら、このオッチャンにバンバン売り付ければいいわけだから……。どうすればいいの?」

「極秘となっていて、上層部しか知らない。数千万 払えば付加してもらえるぞ」

「なら、神殿で頼んだ方が新品でいいな」


 それじゃぁ、武器屋はいらない……かというとそうでもない。さすがに武器屋の方が2割くらい安いらしい。数千万の2割だ、これはデカい。1千万なら2百万程安いわけだからな。さすがに中古品で十分だろう。


「魔法の籠手(こ て)がほしいなぁ。指が動かしやすくて強度があるヤツ」

「魔法の籠手……ねぇ」


 カッコよく鉄甲術のような拳を主体とした戦い方したい。もっとも無くともできるのだけど籠手を着けている方がカッコいいじゃん? それにひょっとしたら威力が上がるかもしれないし、火とか水とかの魔法がかかっていれば属性効果も上がるかもしれない。


 店のオヤジは奥から籠手を持ってきた。


「魔法の籠手だ」

「あるじゃん! 店に全部、飾ってあるって言った癖に! 嘘吐き野郎!」

「口悪いクソガキだな。あるにはあるが、高いうえに防御力が普通の皮の籠手と一緒だ」


 そう、少なくとも見た目的には皮の籠手だ。しかも、防御力も変わらない。


「効果は?」

「まるで籠手を着けていないかのように細かい作業ができる」

「微妙な効果だな。悪くはないけど……」


 バセリオンも顔をしかめている。

 普通の籠手の値段なら買うが魔法の物品はアホみたいに高い。ちなみに普通の籠手は1万G。


「値段は?」

「500万」

「高すぎる……防御力も普通なのに……普通の籠手が500個 買える」


 膝を付きうな垂れる俺。

 ちょっとカッコ良くしようとしただけなのに……。

 

「だから、店に出してない。滅多にはいるもんじゃないから安くは売れねーし、かといって、買い手が早々見つかるわけでもねーし……。そんなもんをディスプレイするほど余裕もねーわけよ」

「しかたない。普通の皮の籠手をくれ」

「毎度」

「いずれ、魔法の籠手を買ってやる!」

「籠手マニアってーのはどうかと思うぞ。他の武器にしておけ。勇者ならごっこなら剣がお勧めだ」


 バセリオンに諭される。

 いや、籠手マニアじゃないんだが……だが、他の武器に『気』を乗せることも視野に入れた方がいいのも確かだな。


 売買を成立させて店を出る。

 他にも武器・防具の店はあるので暇ができたらそっちも確認してみよう。魔法の物品が格安で手に入るかもしれない……ないな。

 だが、物価を知っておくのは重要だ。あとは売り専の場所とか、買い専の場所とかも決めたいなぁ。冒険者になると色々できそうだなぁ。依頼さえあれば……。


 そんな夢を見ていると、バセリオンが水を差す。


「もう道具屋は閉まっているでしょうからいけませんよ」

「マジで?」

「マジで」

「仕方ない教会に戻りますか……」


 日が落ちていて辺りが暗くなっている道をテクテクと歩いていく。まだ覚えていない道なので、道のりが長く感じ、バセリオンと話さないと間が持たない。


「なー」

「なんですか?」

「自分で素材集めて武器・防具屋で格安で作ってくれたりしない?」

「あまり一般的ではないですね。作ってくれる方もいるかもしれませんが、効率が悪いですから格安にはなりづらいでしょう。ただし、工房に直接行けば別かもしれませんが、あまりそういう人はいませんね。それに工房は気難しい人が多いらしいですから……」


 時間の無駄になりかねない。その分、自分を鍛える。聖騎士たちの性分としては、いまある物を最大限生かせるよう己を鍛える方に時間を費やすらしい。その方が正しい気はする……が、自分専用とかって強くなれそうな気がするからいいんだよね~。カスタマイズとか大好きなんだ。

 専属ドワーフとかいないかなぁ。


 夜道は暗くなってきており、バセリオンは明かりの魔法を使い光の玉で周囲を明るくする。半径10m位までLEDライト並みに明るい。


「やっぱ魔法は明るいなぁ」

「カンザキ様も魔法を使えるんじゃないですか?」

「ん~。俺の方は誰でも使える灯りだからなぁ。はい」

「なんですか、この棒?」

「懐中電灯。ここのボタンを一度押すと点いて、も一度押すと消える」

「は?」


 『W B(ホワイトボックス)』から出した懐中電灯を手渡し俺が点けて見せる。


「うわっ、正面だけに灯りが! これなら光が拡散しせず、正面のみが明るくなり見やすい! 魔法のランタンのようだ! すごい! しかも魔法詠唱もいらないうえに取り扱いが簡単だ」


 点けたり消したり何度も繰り返すバセリオン。

 カエナもセバスチャンもはしゃいでたなぁ。おれも具体的原理は知らんのだけどな。


そしてライトが映し出す先を黒猫が横切る。

 分からないが……わからないが、嫌な予感がする。


 黒猫が過ぎ去ったあと、鎧がひしめく音がする。一人 二人じゃない。10人前後いる感じの鎧の音。

 ゆっくりとライトを上げていく。

 そこには真新しい鎧に身を包んだ兵士が10人立っていた。


「これはこれは、聖騎士殿」

「王国兵士団……」


 最高司祭が国王かと思ったが、おそらく最高司祭と国王とは別みたいだ。もし、最高司祭が国王なら最高司祭も聖騎士を使う可能性が高い。

 それにセバスチャンが『上』といったとき『王、宰相、最高司祭』と別にしていた気がする。


「いったい何の用です?」


 若干、腰が引けている青髪の聖騎士バセリオン。人数的に負けているし、そもそも彼らも弱いわけではあるまい。


「『何の用』? 決まっているではないですか。その小僧をこちらに渡してください。ただちに国王陛下の御前に連れて行きます」

「彼は我が教会の客人ですよ!」

「ここでことを構えても我々はよろしいですが?」


 隊長らしき男は大げさに手を広げると、後ろの兵士たちが柄に手を伸ばす。柄に手をかけた時点で戦闘開始なのだろう。いつでも抜ける格好だけだ。

 1対10。俺が手伝えばいいんだけど、それはどーなんだ? 俺としては教会の味方……ってわけでもないしなぁ。

 仕方ない、とめるか。


「わかった。俺が王様に会いに行く。それでこの場を収めてもらおう。明日、教会に返してもらえば問題ない」

「小僧が来るというなら、この場は収めてやろう。ただし明日 帰れるかどうかは陛下次第だ」

「ま、待て!」


 バセリオンが止めよとしたが、俺は10人の王国兵士たちと城に向かうこととなった。

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