第七話 争いの火種
1~7話の書き方を少し変えました。
近々時間があれば更新しようかなー、と考えております。
「な、何で服を着ていないのかなー?」
若干頬をひきつらせながらティアラに尋ねる風文。
風文の疑問はもっともだ。食堂に行く前にちゃんと服を作るやり方を教えたのに。
しかし、ティアラは平然とその質問に答えた。
「裸になってミヤビときゃっきゃうふふなことをしたいわけではありません。ミヤビが魔力を送ってくれないからです」
裸のロリ少女ときゃっきゃうふふなことをしたら俺に手錠が掛けられるぞ。
「ミヤビ様、魔力供給をしていないのですか?」
「魔力供給……そういえばやってない気もする」
「そりゃー雅が悪いよー!」
「もしやミヤビは私の裸で興奮する類の人間ですか?」
「違うよ! 俺はそんな特殊性癖を持った覚えもねえよ!」
「私だってあんな感じだよ、雅ー!」
「お前は俺を変態にしたいのか? て、服に手をかけるな風文!」
「私には無理です……私には……」
「夜院さんも違うから!」
「そんな恥ずかしがらなくてもいいですよ、ミヤビ。私はあなたの精霊ですからきゃっきゃうふふなことも要求できますよ」
「お前は一回黙れええぇぇぇぇぇぇえ!!」
その後、回復した魔力を送り、ティアラにはきちんと服を着てもらった。
「とりあえず、今日はもう帰っていいよな?」
「んー、まだ駄目だと思うよー?」
「そんなことは知らない。俺は俺のやりたいようにやるだけだ」
「ちぇー。せっかく雅に会えたのに、もうお終いー?」
「お終いお終い。じゃ、またな、風文と夜院さん」
「バイバイ、雅」
「さようなら、雅様」
二人と別れ、記者部にバレないよう裏口から出る。幸い、裏口には誰もいなかったので、すんなり保健室を出ることができた。
――そういえば風文と夜院さんは大丈夫なんだろうか? 俺の見張り役じゃなかったっけ?
いや、今は自分の身の心配をしなければ。
……俺は大事なことを見落としていたようだ。
裏口を封鎖しないなんて、あるわけがないよな。
数十メートル進んだところで、複数の人間に囲まれていることに気づいた。おそらく、記者部の面子だろう。……記者部の面子しかこんなことはしないだろう。
「高等部一年四組の如月雅君よね?」
「人違いです。まずその如月雅は精霊を持っていないだろ? 俺は自慢の精霊を持ってるんだよ。行くぞ、ティアラ」
「その如月雅が今日精霊を入手したという情報を得てね。しかもその精霊は小柄の女の子って聞いてるわ」
墓穴を掘ったな。記者部の人達はそういう情報を得るのが人一倍凄い。
当然、俺が精霊と契約したことを知ってるし、それ以前に、顔を覚えられているだろう。
「……何を聞きたいんだ?」
もうこうなったらとことん答えてやる。
半ば自棄になった俺は、あからさま適当かつ悪意を込めて言った。
すると、一人の女の子が一歩前に出る。
この子は見たことがある。確か、記者部の部長で序列も高い……名前は忘れた。
「面倒だから一つだけ聞くわ」
冷たい――それが似合うような声で、目で、雰囲気で、彼女は言った。
「如月雅、あなたは序列争いに参加するのかしら?」
体感温度が二、三度下がったように思えた。
多分、脅威になりそうな俺が参加するかどうかが気になるだけだろう。そして、出てほしくないだけだろう。
俺は彼女に全く怯まず、素直に答えた。
「出るつもりはない。面倒なことはやりたくないからな。元々俺が最下位に居続けているのは、闘いたくないからだ。それなのにわざわざ自分から行く理由がない」
その時。隣に居たティアラの体が、ピクリと動いた――もとい何かに疼いたような気がした。
いや、気のせいだろう。何も気になる単語を出したわけでもないし、こいつを怒らせる発言もしたつもりはない。
「だったらいいわ。でも、私の予感ではあなたは参加するでしょうね、序列争いに」
「……何を根拠に?」
出てほしくなかったんじゃないのかよ。いや、あくまで俺の勘だけど。
「私にもわからないけど……その精霊が気になるだけよ」
俺は頭に疑問視を浮かべ、隣のティアラを見た。
去っていく記者部の部長を見るティアラの目は、何処か獲物を見つけたような、そんな恐ろしい瞳だった。
遅い&質が落ちた&短い、と三つも駄目な点がありますが、許してください。
プロローグ、一話~六話でお気に入り登録してくださった方々、七話で幻滅させてしまったのなら申し訳ない。
しかし、この作品を読んでくださった方々、更にお気に入り登録してくださった方々。ありがとうございます。
作者名を変えました、夜謎 迷子より