第九話 普段は弱々しい序列最上位
少ない文字数になってしまいました……反省しております……
御鏡さんはそわそわして、俺はなんて言ったらいいかわからず、ティアラは興味がないのかボーっと考え事をしてい……るのかな? 魔力供給をやめたら、魔力切れたので帰りますね、と言って消えてしまいそうだ。
沈黙が場の空気を重くしていったので、俺は仕方なく口を開くことにした。これ以上はさすがに耐えられない。
「あ、あのさ、御鏡さん。さっきのは宣戦布告とかそういうものじゃなくって、こうなったら頑張らないとなーって思って適当に口走ったとかそういうものだから、気にしなくていいよ」
俺が声を発した瞬間、御鏡さんの肩がビクッとしたような気がしたんだけど……もしかして怖がられてるのかな? でも序列一位を取るほどだから、いくら戦闘とそれ以外で性格とか言動とかが変わるとはいえ、俺が話し始めただけで怖がらないだろ。御鏡さんにか弱そうなイメージを抱いたから目の錯覚が起こったのかもしれないし。
心の中で勝手に結論を出した。
「そ、そうなんですか? わ、私をいじめないですか?」
……やっぱり怖がられていないか? さすがにここまで怯えながらそんなことを言われたら、嫌でもそう思ってしまう。彼女に怖がられるようなことをしたつもりはないんだけど……。前の大会でも精霊が使えないから対精霊用の剣で闘ってボロ負けしたはずなんだけど。
とりあえず彼女を安心させよう。まずはそこからだ。
「大丈夫だよ、俺も実際弱いし、俺の隣にいるこの精霊も全然怖そうに見えないだろ?」
ポンポンとティアラの頭に軽く触れながら、なるべく優しい声で、口調で話しかける。本当のことを言えば、もう一体の精霊――レオは顔や喋り方が少し怖いけど。
彼女は安心したのかホッとした顔で、よかったと口にした。えっ? そんなに怖がられてるの、俺? それはそれで結構悲しいんだけど……。まあ、御鏡さんが怖がらなくなったからよしとしよう。
「そ、それでですね。私はき、如月君をさ、捜していたんです! じょ、序列最下位で精霊をしょしょしょ所持していなかったのに精霊と契約したってきき聞いたから!」
頑張って言いました感がする。でも今の話を聞くと、ただ俺を貶しているだけなんだけどなあ。
俺の考えが態度に出ていたのか顔にでていたのか、御鏡さんはまたおろおろし始めて、
「ご、ごめんなさい……」
弱々しい声で呟いた。謝られるとこっちが悪いことをしたんじゃないかと思えてくる。そんなことはないのに。
「いや、なんかこっちこそごめん。でも序列最上位の精霊使い、御鏡さんがそんな理由でわざわざ俺を捜していたのか?」
「き、如月君本人は知らないかもしれないけど、この学園で魔力量が一番多いのはき、如月君なんだよ?」
そうだったのか? 俺の魔力が多いことは知っていたけど、まさか学園一とは思わなかった。それで精霊を一体も持ってないですってのは面白い話だな。
「わわわ私は、き如月君が次の序列争いで一番の強敵になると考えています! な、なので次の序列争いをどう立ち回るか訊きにきたんです!」
「そんな無理して大声出さなくても……」
「はぅ……ごめんなさい」
「い、いやなにも悪いとが言ってないからな? ちゃんと聞こえてるってわけで」
ともかく、俺が次の序列争いで一番を目指すって言ってしまったし……どうしよう?
この後、俺と御鏡さんは一言も喋らず、それぞれ寮に帰っていった。ティアラはいたのかわからないくらい終始無言だった。
プロローグ~第八話でお気に入り登録してくださった方々、九話で幻滅させてしまったのなら申し訳ない。
しかし、この作品を読んでくださった方々、更にお気に入り登録してくださった方々、評価してくださった方々。ありがとうございます。
迷宮より