心の旅―車―
いつもの道。いつもの車。代わり映えのない毎日。
でもその日はどこかいつもと違う。
何が違う? 私の心。
深夜2時。家族が寝静まったのを見計らい、そっと玄関へ。
ドアにかかった鈴が鳴らないよう、細工する。
『チリン』なってしまった。
でも、家人には気づかれなかった。
愛犬もぐっすり寝ているのか、吠えない。
家の駐車場に止まっている愛車。
黒い、スポーツカー。
エンジン音が響く。
暖気もせず、すぐに発進させる。
深夜2時。車通りはまばらだ。
近くのコンビニに止まり、急発進させた愛車を労わる。
ついでにMENTHOLのタバコと、café au laitを買う。
一服し、また車を発進させる。
何処へ行こうか?
何処でもいい。
車を走らせられる場所なら。
でも、明日も仕事。近場が良いな。
すぐ近くを走る高速へ。
この時間、走っている車はそうはいない。
ゆっくりと、それでも素早く、確かめるようにシフトをあげていく。
5速MT。フルパワー。
気持ちがいい。
求めていたものはこれかな?
町乗りじゃぁ味わえない感覚。
前の車が止まっているかのように突っ込んでくる。
わざとらしくかわして、また走る。
あっという間に終点。
今度は一般道を走ろうか。
ゆっくり町乗りを楽しむ。
さぁ、帰ろう。
そして寝よう。
明日も仕事。
また、そのうち走れば良いさ。
やっぱり1時間程度の現実逃避。