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Ep.13 俺たちの相棒

「……おい、カイル。肝心なモンが抜けてんじゃねえか」


ガイアスが、カイルの描いた「歪な5人の肖像画」をじっと見つめ、大きな鼻を鳴らしました。

カイルから炭をひったくると、紙のど真ん中、5人の中心にある空白に迷わず手を動かし始めました。




・ 魔王の執筆:『俺たちの相棒』

「神様だろうが勇者だろうが、この屋敷の主をのけ者にして、リフォームが完成するわけねえだろ」


ガイアスの太い指が、繊細さの欠片もない動きで、ガリガリと音を立てて描き込んでいきます。


1. 描き出される「カイル」:

ガイアスの描くカイルは……ひどいものでした。目は線一本、髪はボサボサの鳥の巣、そして口は「へ」の字に曲がっています。鏡の中の端正で冷酷な神の面影など微塵もありません。


2. 書き加えられた「傷」:

ガイアスは、カイルの首筋に、小さな、けれど確かな一本の線を書き加えました。あの絶望の証。それを隠すのではなく、「お前はこれを乗り越えてここにいるんだ」と言わんばかりに、堂々と描き込みました。


3. 仕上げの「笑顔」:

最後に、ガイアスはその不格好なカイルの顔の横に、無理やり上向きの曲線を足しました。


【現在のステータス:共同制作】

* 作品名: 『ボロ屋敷の6人衆』

* 画力: マイナス(ガイアスもカイルに負けず劣らず下手くそです)

* 価値: 金貨100万枚(非売品)




・ 6人揃ってこその「家」

「……ほら。これで完成だ」

ガイアスがドヤ顔で指し示した絵には、下手くそな5人に囲まれて、同じくらい下手くそに描かれた、けれど世界で一番幸せそうに笑っている(ように見える)カイルがいました。


* フローラ:

「わぁ! 勇者様だ! ガイアス、上手……じゃないけど、勇者様がいる!」


* セシリア:

「ふふ、ようやくこの部屋が、本当の意味で『満たされた』気がしますね」


* リリィ:

「ちょっと、カイルが真ん中なんてずるいわ! でも……ま、いっか。主だしね!」


【カイルのステータス:魂の帰還】

* 精神: 「全快」(鏡の破片さえ、今はただのキラキラした飾りに見えます)

* 状態: 「本当の家族」

* 特性: 『描かれた居場所』



カイルは、ガイアスが描いた自分の不細工な似顔絵をじっと見つめ、思わず吹き出しました。


「……ひどいな。鏡の中の僕の方が、まだマシな顔をしていたよ」


苦笑しながらそう呟きましたが、その声にトゲはありません。むしろ、ボロボロの線で描かれた「自分」が、今の自分の情けなさと温かさをそのまま映し出しているようで、不思議と誇らしくさえありました。




・ 泥臭い「契約」

「……でも、まあいい。この下手くそな6人が、この屋敷の新しいあるじだってことだな」


カイルがそう言うと、ガイアスは満足げに鼻を鳴らし、レオンやリリィは「じゃあ、この絵を汚さないように屋敷をピカピカにしないとね!」とはしゃいでいます。


【現在のステータス:家主】

* カイル: Lv 1 / 似顔絵にされた男

* 状態: 「安堵と空腹」

* アイテム: 銀貨5枚銅貨 50枚(ポケットの中でチャリンと鳴っています)




・ 銀貨5枚銅貨50枚の祝杯

「……さて。腹が減ってはリフォームもできない。残りの金を全部使って、町で一番安い『串焼き肉』でも買い占めてこようか」


カイルが提案すると、フローラが「お肉! フローラ、お肉がいい!」と尻尾を振り、リリィが「ビール……はまだダメよね、安物の炭酸水も買いましょう!」と盛り上がります。


1. 町への行進:

6人で連れ立って、幽霊屋敷から町へと繰り出します。ボロボロの服を着た、奇妙で、けれど誰よりも楽しそうな一団。


2. 市場の喧騒:

銅貨50枚を握りしめ、屋台のおじさんと交渉して、山盛りの串焼きを手に入れます。


3. 屋敷での宴:

掃除が終わったばかりの広い広間に車座になって、みんなで肉を頬張ります。


【リフォーム進行度】: 40%(「腹ごしらえ」により、作業効率が2倍になります)

【残金】: 0枚(またすっからかん!)




・ 宴のあとの「現実」

お腹がいっぱいになり、みんなが満足そうに雑魚寝を始めようとした時、ふとカイルは気づきました。


「……あ、明日の朝飯、どうしよう」


金貨も銅貨も、一分も残っていません。



「……よし、決めた。明日の朝飯のために、誰が一番稼げるか勝負だ!」


カイルがそう宣言した瞬間、だらけていた5人の目が、かつてないほど鋭く輝きました。金貨0枚の極限状態が、最強パーティの「集金本能」に再び火をつけたのです。

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