表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/12

鏡の前に立たないと映らない

莉子と別れてから、しばらくアプリを開かなかった。


でも一週間が過ぎた頃、また開いていた。


誰かが自分をわかってくれるはずだ、という感覚が戻ってくるのに時間はかからなかった。


この頃には、誰かを誘うことに抵抗がなかった。


画面を見て、指が勝手に動く。


まず丁寧に挨拶。


次に相手のプロフィールから一つ拾う。


質問は一つ。感想は短く。


返信が来たら、相手のわかる質問をしていく。




相手のペースに合わす、返信を待たない。


冷めないうちにデートに誘う。


段取りも、会話の流れも、体が覚えていた。


それに合わない人は捨てていけばいい。


相手もそうしてる。




純さんから借りてきたものが、いつの間にか自分のものみたいになっていた。




岡本沙織、松本亜希、伊藤千夏。


三人と連絡を取り、会って、閉じた。


誰かとやり取りすることが、呼吸みたいになっていた。


沙織は返信が速い。


「既読ついてるのに返事くれないの、不安」そう言われたとき、僕は胸が動く前に、指が動いた。


安心させる文章を打って、絵文字を一つ足して、送った。


正解の返事だった。


沙織はすぐ笑った。


僕はその笑いを見ながら、次の予定の候補日を三つ考えていた。




亜希は返事が遅かった。突然タメ口になる日があった。


返信の時間を見て、こちらも時計を見た。


間隔を少し空けて返した。


タメ口が来たらタメ口で返した。


それだけだった。




千夏は夜中に電話をかけてきた。


急に会いたいと言った。


夜中の着信で、胃が先に起きた。


一度だけ「今日は無理」と返した。


翌日、何事もなかったように連絡が来た。


そういうものだと思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ