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ブラッドヒューマンズ  作者: 作間 者図
第一章 トクイナヤツラ
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第四話 闇市と銃

ようやく物語がちゃんと進みます。

「いや〜〜助かったよ!やっぱり頼るべきものは仏じゃなくて小夜ちゃんだね」

 なんともまぁ悪びれもなく反省もない言葉を帰ってきてそうそう言う。

それを罪悪感もなく言えるとは、見習いたいようで見習いたくない。

しかし、レイナにとって小夜の顔は一体いくつあるのだろうか。

「助かったよじゃないんですよ、どうやったら手術中のオペ室に入れるんですか。お医者さんがびっくりなされてましたよ。」

レイナがもうどこにもいかないように小夜はレイナの手首を掴み続ける。

「ちょっとお手伝いできて嬉しかったなぁ、次はどこの内臓に水かけよっかな」

手でボトルを押す仕草をする。

「やめてください!おかげで私の仕事が新しく増えました。」

「ははは、どんま「あなたもですよ。謝りに行きます。」

腕をぐいっと引っ張って連れて行こうとするがレイナと小夜の間にはかなりの体格差があるため引っ張ったとしても動かない。

体格差のせいでもない気がするが。

「え、やだよ」「やじゃないです。わがまま言わないでください」

 眼の前にいる神縄弦が何も言わないということはこのような会話は日常茶飯事のことなのだろう。

小夜がレイナの胸ぐらをつかみ、顔を近づける。

「えーほんとにいかなきゃだめ?オペしてた人優しそうだったよ?」

「駄目です。あの人、命がかかっていることに対してはシビアなんですから」

2人がドンパチし合っているのを横目にレイが見続ける。

「こんなの見せてごめんよ」

神縄弦が申し訳無さそうに話しかけてくる。

「いや、別にこれがこの村の文化なんだって学んでるだけだ。」

「これを普通だと思わないでね?」

こいつにしては真面目な物言いだと小夜とレイナが手を止めて神縄弦を見た。

「そんな目で見ないでよ!」

「で、レイってもう外に行っていいんでしょ?じゃあ私が案内するよ、結局は私がレイの監督官になるから当たり前っちゃ当たり前なんだけどねイテテテ」

小夜にヘッドロックをかけられながらも悠々と話す。

「この人に一番任せちゃダメな奴・・・・」

小夜は遠い目をしているがレイにその理由はわからない。後でこれでもかと言うほどに理由を思い知らされることになるが彼はそれを知らない。

「ある程度のことは話せたし。それに君が持っていた斧はここ近くの武器屋に預けてあるから取ってくといいよ。」

「そういえば斧!」

あんなに大切に扱っていた斧の存在をようやく思い出したのかすこし焦る。

「じゃあはじめはそこ行くかな。ついてきて」

 そう威勢良くいうレイナを横目に小夜はものすごい形相で見つめるが、これ以上仕事を増やすわけにはいかないので口をつぐんだ。

 ドアを出て登った階段を下っていく。

まさかまたあの長い長い階段を使うことになるのだろうか。

 下っていると階段の途中で急に壁にへと向かい気が狂ったのかと思ったが、壁の一部を押すと人一人が入れるくらいの壁が下へと埋まっていったことで誤解はなくなった。

レイナの後をカップラーメンが出来上がるくらいの間歩き続けるとドアが見えた。

 下の方から少しだけ光が差し込んでいる。

ドアノブをひねり、ようやく外と出会った。

 外に出ると市場の一角に出たようでガヤガヤとしている。

こうなる前は子どもたちのための商店街だったのだろうが、今は大人のための闇市となっている。

 そのため、周りには危うい色のタバコを吸っていたり、指や目がない人もチラホラと見かけられた。

「ちょいとごめんよ〜〜」

レイナがドアの前に座っていた奴らの間をうまく通っていく。

レイもそれに従うが、慣れていなくぶつかってしまい舌打ちをされた。

 市場をよく見ると様々なものが様々な人によって売られていたが、皆赤色のネクタイをワンタッチ式のものや従来の巻くタイプのものを必ず見えるところにつけていた。

「なぁ、レイナ。俺赤いネクタイしてないんだけど・・・」

「そりゃそうだよ。だってまだ村人じゃないんだし。だからあんまり私から離れないでね」

そう言い、腕を引っ張られる。

「うげっ」 

 結構力を込められてよろめいてしまう。

身長としてはレイのほうが大きいはずだが、レイナのほうが明らかに力が強いような気がしてならない。

「あ、ごめん。」

パッと手を離してくれた。

「いや、大丈夫。ところで武器屋ってどこだ?」

まかせて、と今までで一番頼りになりそうな顔でレイナは先に進んでいく。

 ついていきながらあたりをキョロキョロと見ていると明らかに目線が冷たい。

睨んでいるような、警戒心を持っているような、

緊張感を感じてしまう。

少し嫌だが仕方がない。

よそ者には厳しいのが関の山だ。

「で、ここがそうだね。」

 少し奥まったところに大量の銃やナイフが並べられたカウンターの前に立つ。

そのカウンターの奥には背を向けてラジオに目をおとしているおじさんがいた。

 ラジオの内容まではわからない。

この馴染んだ感じや、雰囲気から察するに古株のようだ

「おーい。おっさん!」

レイナが慣れたように呼ぶと面倒くさそうにこちらを向いた。

「んだよ、このクソ娘。またなんか壊したのか?」

 気だるけそうな感じと汚い作業服を太った体にまとい、適当に二の腕に薄汚れた赤色のネクタイを巻いている。

 アクセサリー代わりなのかもう一方の手にはでかい酒が握られていた。どうしてか右手が機械になっている。

口調は荒いが目の奥には彼らのような冷たいものはなく安心する。

「クソ娘ってなにさ」

「いちんちに五回も来たらそう呼びたくもなるわい。」

「相変わらずの酒臭さで安心するよ」

カウンターに腕を置いて覗き込む。

 酒臭い口で笑っているとレイのことを見つけた。

「なんだぁこのガキ。また新顔か?」

酒を煽り、強く置く。

「ダイジョーブだよこのおっさん、慣れりゃ優しいから」

そうレイナはレイに向けて言う。

「こいつは「いや本人の口から聞かせろ。流石にそれくれぇはできんだろ」

酒のボトルをレイナの前に出し静止させる。

この頑固者めと言いつつも、レイナは口を紡ぎレイにバトンタッチする。

「あっと、レイです。不法滞在しました。」

少しだけ場が凍りつくがおっさんの笑い声で溶けた。

「名前をそんなホイホイ言うんじゃねぇよ。しかも不法滞在か!よくそれでこの村の外で生きてこられたな。あー酒がススムわススム。」

また大声で笑われ、酒の肴にされてしまう

少し恥ずかしい。

もう、やめてよおっさんとレイナが止めるが笑い声は止まらない。

「斧を取りに来ただけなんだ。あるだろ、返してくれないか」

あの斧がまだあるというのならば、取り返したい。

「修理代には研磨とか結構使っちまったからな、あんちゃんの手持ち全部出すぐらいじゃないとぁ・・・」

そういって椅子の背もたれに体重をかける。

「神縄弦からの頼みなんだからただでしょーが」

レイナが言ってくれるがここで引いてはいけない。このような社会では弱腰を見せてはいけないのだ。

「手持ちも何も無い。出世払いでどうだ。」

「命知らずが、それなら」

目の奥で何か怪しげなものが光る。

「この穀潰しの不良品を持っていってくれたらいいぞ。」

カウンターの下から銃を取り出してカウンターの上に置く。ホコリまみれで久しぶりに光を浴びただろうに。

 少し形が異なり大きいのが気にかかるが、デザートイーグルが原型となっていることがわかる。デザートイーグルといえば威力も高く、速射性にも優れる。

 それに斧だけでは心もとないと思っていたところだった。しかし、なにか裏があるとしか思えない。

「・・・タダでいいのか。」

探るようにおっさんのことを見るが裏があるようなないようなそんな感じだ。

「もちろんだ。あつかえるかどうかは知らんがな。」

ゴツゴツとした手でホコリを払われ、この銃が右から左へ流していいほど価値のないものではないことがわかる。

「何かあるのか?」

「それを言っちまったら面白みにかけるだろうがよ、これを持った前任たちがただでは済まなかったとだけは言っとこうかね。」

呪いでもかかっているのだろうか。

試しに持ってみても何もわからない。空の弾倉を見たり、構えてみたりしても異変も何も無い普通の銃だ。前任たちというのだから弾が悪かったわけではないのだろう。

「ま、当たって砕けろだ。もらってくよ」

そう銃に手を伸ばすと先に銃を奪われてしまった。たとえ歳が過ぎたとしても、スリで鍛え上げられただろう技術は衰えない。

「なんだよ。そっちが言ってきたんだろうが」

「落ち着けって、ちょっと待ってろこの銃の弾と斧を持ってきてやる」

少し満足げな表情で酒の代わりに銃を手にし、重い腰を持ち上げて奥の方へと行ってしまった。

「ほんとに大丈夫なの?」

今まで口を出さないでいてくれたレイナが待ちくたびれたようにレイに声を掛ける。

「なんとかなる。いざとなったら当たって砕けるだけだ」

「それは大丈夫って言わないでしょうが、といっても使わなければいいだけの話だしね」

まぁな、と相槌を打っていたらおっさんが戻ってきた。

「あーどっこい、」

手に持っていた銃と斧をカウンターに置いた。

銃は変わりないが斧は刃についていた血がなくなり元の黒色にへと返り咲いたが、流石に持ち手の血は落ちなかったようで少し変色してしまっている。

「おらよ、弾入れてやったから持ってきやがれ」

使ったエネルギーを補給するためにまた酒を傾けた。

「ありがとう」

銃と斧を手にしてその場を去っていった。

「これからどうするんだ?」

「とりあえず・・・」

歩くたびに光が反射して自らの凶暴性をちらつかせているレイの斧と銃をちらりと見て少し考え込む。

「なんだよ」

「いや、絶対に武器を表に出さないほうがいいなって」

「といわれても・・・普通じゃないのかこういうのは」

そう言いレイはあたりを見渡す。

明らかにレイ以上にやばい奴らはごまんといるだろう。

「なんつったらいいかな、神縄村って治安いいとこと悪いとこの差が激しくてさ。治安いいとこはほんとに普通の人が住んでるから」

「とはいわれても、入れるものがない」

「確かに、そうだちょうどいいものがあるついてきて」

レイはせめて銃は隠そうとポケットにつっこみ、斧は刃が出ないようにそして怪我をしないように腕で持等としている間にもう先に進んでしまったレイナを小走りで追いかけた。

 しばらく歩いていると路地裏で立ち止まった。

レイナが入っていき、レイは覗き込んだ。

 ゴミの巣窟と言うのにふさわしく、数々の不用品が押し込められている。

そこの奥からガサガサと何かを取り出したレイナが戻ってきた。

「ほい」

と出されたのは腰に巻くことのできる武器ホルダーだ。銃を入れるところは右横にあり、つけるとちょうど背中であろう所には長方形の入れ物が斜めについてあり、ちょうど斧を入れられそうだ。

意外と丈夫にできていて、捨てられて良いものではないとは思う。

「どうしたんだ?これ」

「それ私の。でももう使い道ないからさ。あげる」

「こんないいものどうして」

レイは困惑しかできない。

「いや〜ね?ここに来て武器デビューしようと思ってナイフとか銃を買ったんだけどさ使うとどうしても壊れるんだよね。もっと頑丈であれよって感じ。」

「どんだけだよ。使い方が下手なだけじゃないのか?」

「ほんとに壊れるんだってば。ボロボロとさ」

レイナの話の意味がわからない。

そんなに簡単に銃は壊れないし、ナイフもそうだ。

「そっか、知らないのか私の特異点」

 路地裏に入っていくと大きめなサイズの石を持ってきた。

強く振り下ろされたらただでは済まなそうな赤色の角があるがきっとそういうことだろう・・・

 レイナはそれを片手で持ってもう一方の手でその角を掴む。

「よいしょ」

角を持った手を動かすとパキンと角を折ってしまった。

 眼の前の光景に唖然としているとついでに角を素手で握りつぶした。

音を立てながら小さくなっていく角の断末魔が聞こえる。

「私、力が強くて。力を入れすぎるとこうなるんだよね〜」

石の破片を払って残りの石を地面に落とし、足で軽く踏み潰した。

 なんと缶のゴミ収集に欲しい人材であろうか。

「もう慣れて力加減とかもできるんだけど、戦うと入れ過ぎちゃうし。ナイフとかいらないし、やっぱり力っていいね。」

「は、はぁ・・・」

かなりすごい光景である。

そう簡単に石を砂にされると自分でもできるんじゃないかと思ってレイナが壊した石の小さな破片を同じようにやってみるも手が切れただけだった。

「だから、遠慮なくもらって」

どうぞどうぞとレイに押し付ける。レイはそれを渋々受け取り、斧と銃を入れていく。

「それにしても、どうしてこんなところに・・・・」

「それは私がここで寝てるから」

あまりにも野生児すぎる。

「来たばっかで家がないんだよね。流石に家は準備してくれないらしいし、野宿でもいいんだけどやっぱり屋根は欲しいな」

「ちょっとまて、どういうことだ。住むところがないのか?」

 腰に巻くきおえるが驚きのあまり不格好なあり様だ。

「うん。だからお金稼いで何処かにすむばしょさがさないと、寝る場所ぐらいは安全な所が良いじゃん?」

レイの服を見かねたレイナが整えてあげる。

「そんなものか」「そんなものだよ」

なら、どうにかして金を稼がなくてはならない。

 ちょうどいい機会だ。これで仕事をこなしてお金も手に入り、評価も上がれば将来につながる。

狭い空を見上げて、あちらこちらから伸びる煙柱を目で追いかけていく。

次の目標が見つかった。


展開が急だったり、漢字ミスや送り仮名ミスなどが見つかりましたら教えて下さい。

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