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繭のほころび  作者: 変汁
3/22

それは真弓のお母さんが彼氏を殺害したと夕方のニュースに流れたのだ。


私は直ぐに真弓と連絡を取ろうとした。


けれど携帯は留守電ばかりで私からの電話に真弓が出てくれる事はなかった。


翌日もそのまた翌日も同じだった。


ついには全く連絡が取れなくなってしまった。


事件の話題が少し収まり始めた頃、真弓の家に行ってみたが、既にもぬけの殻で、家のガラス窓も破られ玄関などにはスプレーでの落書きや人殺し等といった言葉が描かれてあった。


その瞬間、私は涙を流した。


真弓と会えなくなった事の辛さからか、それとも真弓がお母さんの彼氏からされていた事すら知らず、このような落書きを平気で出来る人間がいる事への理不尽さに対して悔しかったのか、当時から10年以上経った今でも、当時の私自身の気持ちがわからなかった。


それが1度目の涙だった。


そして真弓は中学3年を迎える事なく私の学校からいなくなった。


親戚に引き取られたのか施設に入れられたのか、それは誰にもわからなかった。


バスタオルを頭に被せ乱雑に髪の毛を拭いた。


身体を拭きながらバスルームを出る。


身体から落ちる雫など美香は気にも止めなかった。


冷蔵庫から1・5リットルの水を取り出しそのまま口をつけた。


一気に3分の1程を飲んだせいで、咽せて、口の中に残っていた水を床に吐き出した。


頭からバスタオルを取り床へ落とす。


足で踏み付けながら拭いた。


バスタオルはそのままに新たな下着をつけて、メイクを始める。


寝汗が酷いのはきっと悪夢でも見ているせいかも知れない。


アイラインを引きながら美香は夢をみた記憶がない事に気がついた。


まぁ、誰にでも夢を覚えてないのはよくある事だろう。


けれどそれなら何故、あんなにも寝汗をかくのだ?見た夢が悪夢なのであれば、うなされ寝汗もかくと思う。


なら全てとは言わないまでも、断片くらいは覚えていても良さそうなものだ。

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