肥満の種は届かない
君の体は太っているか?
痩せているか?
もし太っているなら、言いたい事がある。
いや、単なる悪口じゃあない。真剣な話なのだ。
デブは世界を破壊する。いや、人類を破滅へとみちびく存在なのだ。
これは、デブがよく食べるから食糧危機になるだとか、吐き出す二酸化炭素が温暖化の原因になるだとか、不健康により医療のひっ迫を引き起こすとか、そんな誰でも思いつく様な話ではない。
俺が実際に体験し、そして気が付いてしまった、人類社会の根本的な問題なのだ。この話を聞いてしまったなら、君はもうデブではいられないだろう。
だから、今なら引き返しても良い。体質によりどうにもならない人だって、当然存在する筈だ。
俺だって、そんな人間に絶望を突き付けたくはない。
君は今すぐ回れ右して、死んで転生して俺強えしてハーレム作ってキャッキャウフフな楽しさ全開の世界へ行けば良いのだ。
行かないのかい?気になるんだね?では話そうじゃあないか。責任は取らないけどな。
かく言う俺も、ついこの前までは体重100キロオーバーのデブだった。細かく言うと108キロだったね。
身長?まあいいじゃないか、そんな些細な事は。170センチはないとだけ言っておこう。
だが、加齢と共に襲ってくる各種の病魔達、具体的には糖尿病や高血圧達によって、減量を余儀なくされたのだ。まだ死にたくはないからね。
ん?自分は若いから大丈夫だって?はは。そう言っていた時期が俺にもあったよ。
結果から言うと、俺は減量に成功した。
今では体重85キロのスマートボディだ。食事制限に運動。死ぬ気になれば30キロ近い減量も、2ヶ月半で実現可能なのだ。
いや、痩せた事を自慢したい訳じゃあない。痩せた結果、人類にとっての重要な、ある事に気が付いてしまったのだ。
減量もひと段落した、ある朝の事である。成人男性としてまだまだ現役の俺は、布団から身を起こして違和感を覚えた。ナニに?
股間にだ。
俺の分身である息子さんは、俺が起き上がるよりも先に、今日も元気に立ち上がっていた。
それは良い。それは良いのだが、、
長い。
え?お前そんなに背、高かったっけ?
いやいや、成長期ですね、少し見ないうちに大きくなったね〜なんて、親戚の叔父さんが言う様な台詞は出てこない。だって毎日見てるもの。
具体的には、握り拳1つ分。
5センチ程か。測りましたよ?それが何か?
とにかく異常事態である。病気か。病気なのか。と疑い始めたその時、俺は気が付いてしまったのだ。
違う。伸びたんじゃない。錯覚だ。
そいつは元々何も変化などしていなかったのだ。
勘の良い君なら気が付いただろうか。
そう。肉だ。我が息子は、長きに渡り、肉に埋もれてしまっていたのだ。それが、急激に痩せた事により、本来の姿を取り戻しただけなのだ。
デブの息子は肉に埋もれるのだ。当たり前だ、と思うかも知れない。
確かに、コミック等で描かれるデブのナニは、特殊な趣味のモノを除いて大抵小さく描写されている。
デブに対するイメージからその様に描かれているのだと、そう俺は思っていた。だが、大きな間違いだった。
事実が描かれていただけなのだ。
デブのナニはミートに埋まり、それ故に、我々の目には矮小に写るのだ。
だからどうしたって?考えてみてほしい。
女性だって太るのだ。その場合、その深淵は、より深くなる事だろう。
そして男は矮小化する。
結果どうなるか?そう。距離である。
「種」が到達する為の距離が、飛躍的に長くなってしまうのだ。
唯でさえ何億もの生存競争を勝ち残らねばならない「種」達の、泳ぎ切らなければならない試練の道が、絶望的な難易度になるのだ。
届かないのだ。宮に。
もうお気付きだろう。現代の世界が抱え、そして解決策が一向に提示されない難題。
そう、少子化である。
少子化の原因は、この世界の一部の地域、特に先進国などと呼ばれ、飽食なる世界を手に入れた国に発生する、デブ。
デブが子孫を残す事は、物理的に難易度が高いのである。
我々人類は、デブ化する事で自らの首を絞めていたのである。
今こそ、我々は立ち上がるべきなのだ。怠惰を捨て、迷いを捨て、そして重さを捨て去るべきなのだ。
そう、重さを捨てよ。
さすれば病魔も捨て去る事ができる。遺伝子を残すことも容易になるのだ。
社会問題も一挙に解決。君の重さに人類の、世界の是非がかかっているのだ。
踏み出すのだ。この俺の様に。
体重計への一歩を!
あ、ちょっとリバウンド…
※本内容は、あくまで個人の感想です。特定の人物を蔑めたりする様な意図は一切なく、科学的なエビデンスもありません。日常での出来事の、単なる感想ですので、悪しからず。