幸せな日常を当たり前と思うな
母親が病で倒れた、、
高校サッカーの監督をしている親父はそんなことを知りもせずに今日も教え子の指導に勤しんでいる。
母親が倒れたことを聞いた、、
親父は一言「そうか、、」とつぶやくだけ、、
病名も聞かずお見舞いにも行かず、、
数日して母親の容態が落ち着いたことを聞かされる。
仕事人間の親父の表情が少し緩む。
こんな薄情な親父にも血が通ってるのかと少し安心した、、
次の日、親父は母親の病室にいた。
「もういいのか?」
「もう大丈夫。いつ以来かしらね?
あなたが私の心配をするのは、、」
「俺は常にお前のことを思ってる。」
「そういうのは口や態度に出してくれないと分かりません。笑」
そんな何でもないような会話に俺は涙が出てきた、、
今日も親父は教え子の指導に勤しんでいる。
やはり親父も人の子だったのか母親の無事を聞いてからはいつもより指導に熱が入る、、
ところがある日、1本の知らせを受け俺は血相を変えて親父の元へ向かう、、
「母さんの容態が急変した、、!」
「そうか、、」
「早く母さんのとこに行こう!!」
「俺はまだ仕事がある。母さんのとこへはお前ひとりで行って来い。」
それを聞いた俺は何かがはじけたように親父に怒鳴り散らした、、
怒りなのか悲しみなのか自分でも分からない感情が溢れて涙が出てきた、、
少し落ち着いてから母親の元に向かった、、
病室ではたくさんの医師や看護師がいて騒々しい、、
俺はどうしたらいいか分からずただ呆然と立ち尽くすだけ、、
そんな中、母親は一瞬だけ目を空け、俺の方を向いてニコッと笑いかけた。
ピッ、、ピッ、、ピッ、、ツーーー。
その瞬間、俺は目の前が真っ白になった、、
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ある日、親父が一緒に走るかと誘ってきた。
母親の一件以来親父とは疎遠になってたので急なことでびっくりした、、
全然見てなかったがよく見たら親父の身体は痩せ細っていた、、
親父も母親のことで思うことがあったんだな、、
そんな親父を見てたらたまにはいいかと思った。
一緒に走ってるとどこか足元のおぼつかない親父。
心配だから親父の少し後ろを走る。
時折、転びそうになる親父を支えながら親父にどこまで行くのか聞いてみる。
親父はその質問には答えず一言
「もうすぐそっちに行くからな、、」
と呟く、、
それを聞いた俺はすべてを悟って涙が溢れてきた、、
限界の近い親父の肩を支えながらある場所へ向かう。
目的の場所に着いた瞬間、親父は膝から崩れ落ちた、、
母親の墓前だ、、
親父はすべてを出し切り清々しいほど安らかな顔で眠りについた。
「待たせたな。」
俺は人目も憚らず大声で泣いた、、
人には平等に訪れる出来事です。
そこに至るまでの過程は様々ですが、結末は皆すべて同じです。
悲しみで終わらないように常に大切な人には"気持ち"を伝えてあげてください。




