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Endless KILL  作者: ユズリ
08.The Sin シン
94/253

Remembrance.13

…………………………



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

クロムレカ国・首都リエ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




三日と約半日砂漠を歩いたところで、ミルフィーユたちはシイア国の東に存在するクロムレカという小さな王国にたどり着く。そこの首都リエへと入ったところで、五人はこれまでの旅の疲れを癒そうと、真っすぐ宿屋へ向かった。




「……やっと体洗える……」


宿へ入り部屋を取ったところで、ミルフィーユはげんなりとした顔でそう呟く。


今までずっと砂漠を歩き、そして魔物と戦いながら夜は野宿の生活。正直体中砂っぽいわ汗でベタつくわで、ミルフィーユは早く体を洗ってさっぱりし、そしてゆっくり休みたいと思い続けていたのだ。もちろんそれを思ったのはミルフィーユだけじゃないだろう。リオやソフィルア、リコリスさえも疲れを隠さない表情を浮かべている。しかし一人アツシだけは元気一杯の顔をしていた。



「それじゃアツシさん、俺は一足先に部屋で休んでいます」


宿屋のロビーでみんなに「これからどうする?」と声をかけたアツシに、ミルフィーユは小さく手をあげてそう言う。ミルフィーユのこの言葉を聞いて、リオやソフィルアも次々に部屋で休むと言った。


「あー、わかった。リコちゃんも休みてぇって顔してるし、とりあえずこの後は自由行動にしよう。休みたいやつはゆっくり休んどけ、な」


「休みたい奴はって……アツシさんは?」


アツシの言葉に少し疑問を感じたミルフィーユは、彼へと問い掛けを向ける。するとアツシはニヤリと笑みを浮かべ、「俺はちょっと街の中見てくるぜぃ」と答えた。


「げ、元気過ぎでしょ……」


ガハハハと大声で笑うアツシを、ミルフィーユは呆れを通り越して尊敬すらしながら見つめた。












「……はぁ、さっぱりした……」


宿屋の風呂場から部屋へと戻ってきたミルフィーユは、ふかふかのタオルで念入りに髪の毛を拭きながら、幸せそうな表情を浮かべる。


やっとべたつく体を洗えて、そして部屋に用意してあった白いシャツとズボンに着替えることも出来て、先程呟いたようにとてもさっぱりした。

体を洗うだけでもだいぶ疲れが消えるもんだなと思いながら、ミルフィーユは真っ白なシーツの敷かれたベッドに腰掛けた。そのままミルフィーユは体を横に傾け、白いシーツの上にダイブする。


「なんか、ねむ……」


体を横にすると、途端に睡魔がミルフィーユを襲う。今日は二人部屋と一人部屋を取り、アツシとソフィルアが二人部屋になったので、ミルフィーユは一人でこの部屋を使える。寝るには少し早い時間だが、どうせ邪魔は入らないのならこのまま寝てしまおうかと、ミルフィーユはうつらうつらしながら目を閉じかけた。

しかしミルフィーユが睡魔に身を委ねようとした途端、それを邪魔する強いノックの音が扉の向こうから聞こえてくる。ミルフィーユはハッと目を開けて、慌ててベッドから身を起こして立ち上がった。


「は、はい……!」


ミルフィーユはドアへ向かい、頭にタオルを引っ掛けたままの状態でそれを開ける。


「あっ……あ、ミルフィーユさん」


「リオ?」


ドアの向こうにいたのは、こちらもミルフィーユ同様服を着替えたリオ。彼女はミルフィーユの姿を見て、「お休み中にごめんなさい」と言った。


「あ、あぁ。いいよ別に。……どうしたんだ?」


「うん……」


何か浮かない顔をするリオに、ミルフィーユは不思議そうな顔をする。


「……あ、部屋入るか?」


「ううん、ここでいいです。……あのミルフィーユさん、ボクらはここでまた二人旅に戻ろうと思います」


「え?」


突然のリオの言葉に、ミルフィーユは驚きの声をあげ、そして続けて「どうしていきなり……」と問うた。リオは少し困ったようなはにかんだ笑みを浮かべて、「うん……」と曖昧に頷く。


「あまり長く一緒にいて、みなさんにご迷惑をかけちゃいけないかな~って思いまして」


「そんな、迷惑だなんて……」


ミルフィーユが思わず首を横に振ると、リオは笑みを消して僅かに目を伏せた。


「……すいません。これはボクの勝手な考えです。ちょっとまた、ソフィーと二人で旅をしたいなって思いまして……」


「そ、そうか」


そう言われてしまうと、ミルフィーユも無理に引き止めることが出来なくなる。彼は淋しげに微笑み、「わかった」と頷いた。


「それじゃあ後で、アツシさんにもそう言っておくよ」


「……すいません」


リオは再び困ったような笑みを浮かべ、「短い間でしたが、楽しかったです。ありがとうございます」と言って頭を下げた。


「あぁ、俺も楽しかったよ。君とは二度も偶然出会ったんだし、もしかしたらまたどこかで会えるかもしれないな」


「……そう、ですね」


"偶然"という言葉を耳にし、リオの表情が僅かに強張る。しかし彼女はそんな微かな動揺を悟られぬよう、柔らかな笑顔でそれを隠した。


「それじゃあ、明日にでもソフィーと出発します」


「明日か……わかった」


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