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Endless KILL  作者: ユズリ
06.LostEDEN ロストエデン
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A wish 18

「リオっ!」


ソフィルアの叫びと同時に、地面にリオが持っていたはずのランプが落下し、硝子が砕け散る破損音が辺りに響いた。


灰色の床に、ランプに炎を燈していた燃料が大量に零れ広がる。そこへ、落ちたランプの炎が引火。

橙色の炎は瞬く間に零れた燃料を支配し、そこだけ小さな炎の海と化した。


皮肉にもそのことで視野が広がり、闇を大きく照らすオレンジの明かりの中を、ミルフィーユたちはリオの悲鳴が聞こえた方向へ視線を向ける。

そして彼らが揺れ動く炎の明かりの中で見たものは、彼らの想像を大きく上回る、未知なる恐怖だった。


「な……なんだ、あれ……」


驚愕に目を見開き、ミルフィーユの唇は自然と動く。

大きく見開かれたミルフィーユの瞳は、おそらく3メートル以上の高さはあるだろう室内の天井一杯にうごめく、赤黒い色をした"何か"を見た。

それは一見すると人の足程の太さの、何か植物の蔦のように見える。しかしその色は植物らしい緑色でもなければ、綺麗な花を咲かせているわけでもない。

ただ強靭な太さの蔦らしきものが、腐敗した悪臭を放ちながら団子状に絡み合い、そして不気味にうごめいていた。


「っ……」


そのあまりにも異様な光景に、リコリスは恐怖したように一歩後ずさる。

しかしその蔦の数本に体を拘束されて、宙づりの状態で気を失うリオの姿が明かりの中に浮かび上がると、反対にソフィルアは「リオ!」と叫びながらその異形の植物へ向かって駆け出した。


「そ、ソフィルアさん!」


果敢にも異形の植物へ向かうソフィルアを、ミルフィーユは咄嗟に止めようと大声をあげる。しかしソフィルアはミルフィーユの声になど聞く耳を持たず、リオの名を叫びながら彼女へと近づいていった。


「リオッ! ……くっ!」


するとあの不気味な蔦は、無防備に近づいてきたソフィルアの体にも巻き付き始める。


「クソッ……!」


彼の両足にまず絡み付いた蔦は、瞬く間に体、そして腕へとその太い蔦先を伸ばしていく。


「ソフィルアさんっ!」


ソフィルアまで植物に捕らえられた状況を見たミルフィーユは、剣を鞘から引き抜いて、彼もまた二人を助けようと一歩踏み出しかける。

しかしそんなミルフィーユを、「待て!」という強い声と共に、いつの間にか背後に立っていたアツシの手が止めた。


「何ですか、アツシさん!」


肩を掴むアツシの手を邪険に振り払い、ミルフィーユは苛々した様子で後ろを振り返る。

アツシは真剣そのものといった表情でミルフィーユを睨み付け、こう口を開いた。


「落ち着け。むやみやたらにアレに近づいても、ソフィルアと同じようになるだけだ!」


「でも、早く二人を助けないと!」


焦りを苛立ちに変えて、ミルフィーユは叫ぶ。しかしそんなミルフィーユの訴えを、アツシは冷静な態度で否定した。


「だからってお前がこのままアレに突っ込んでも、やはりお前もあの蔦に拘束されて終わりだって言ってんだろ」


「だったらどうすればいいんですか!」


「いいか、あれは"エルプ・ト・ケル"という魔界の食人植物だ」


落ち着いた声で説明するアツシの言葉に、ミルフィーユは苛立ちの表情を再び驚愕へと変える。


「魔界……? しょくじん、植物……それって!?」


「あぁ。あれは主に人と、それに人の持つ負の感情エネルギーを好んで食し、そして成長する化け物植物なんだよ。あの巨大さからいって、あいつは相当人間やら人の負のエネルギーを喰らって成長してやがる。ありゃだいぶ厄介な大きさだ」


「って言うか、人食ってことは人を食うってことで……だったら尚更今すぐ二人を助けないとっ!」


「あ、おいっ……!」


蒼白な顔色となったミルフィーユは、アツシを振り払って、捕われた二人の元へと駆けていく。


「リオ……ソフィルアさん……っ!」


「っ……ミルフィ……」


ミルフィーユはまず、手近にいたソフィルアの元へと向かう。

すると案の定あの不気味な赤黒い植物の蔦が、ミルフィーユの体にも強く巻き付いてきた。


「う……っ!」


強く締め付けながら、足元から忍び寄る異形の蔦。

それはミルフィーユを逃がすまいと、彼の体を他の二人同様に、あっという間に拘束してしまう。


「クソッ!」


腕を引きちぎる勢いで締め上げる蔦に、ミルフィーユは忌ま忌ましげに舌打ちし、そしてこのまま食される気など微塵も無い彼は抵抗を始める。

彼は右手に持っていた剣を逆手に持ち変えると、まず左手首に巻き付いていた比較的細めの蔦にその刃を向けた。


「これで……どうだっ!」


ミルフィーユは力の限り腕を動かし、蔦に右手の自由を奪われながらも、左手首に巻き付いていた蔦の一本を切り落とすことに成功する。


「やった!」


蔦はいくら異形の形状で自由自在に動こうと、やはり剣で簡単に切り落とせる程度の強度しか持ち合わせていないらしい。

それを知ったミルフィーユは、自分を拘束する他の蔦も切り落としていこうと、剣を自由になった左手に持ち替えた。

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