ぽるん
ぽるん
食べられそうになっているぽるん!早く助けてあげなくっちゃいけないのに、唯一対抗できる妖刀「孤月刀」を持っているぽっぽは、大きくなった胸をゆっさゆっさと揺らして喜びの舞を踊っている。
「ぽっぽちゃーん!!たすけてよぉぉぉぉ~!!」
ぽるんは、モンスターにガジガジされている。もう涙目になりながら、ぽっぽに助けを求めるがぽっぽには聞こえていない・・・。
その時、リュックから、一個のおにぎりがぽろっと落ちてしまいモンスターの口の中に入ってモンスターが食べてしまった。
「あっ・・・。やばいかも・・・。」
その様子を見ていた、りゅねが青ざめながら少しずつ大蛇から後ずさりをしていく。
おにぎりを食べられてしまったぽるんは、静かに怒りをためていっている。大蛇の牙に挟まれたぽるんの体が少しずつ変化していく。
ごりごり・・・ごきばきっ・・・ぼきっ!
丸っこくて小さいこびとの体が、徐々に大きくなりぷにぷにしていたその皮膚も、鋼鉄のようにごつごつと固くなっていく。
すでに、大蛇の口には収まらない大きさとなり、大蛇の顎が外れてしまい大地にドスンッ!っと落ちたぽるんは、2メートルほどの大きさになっている。
「よ・・・よぐもっ・・・!!僕のおにぎりをっだべたなぁーーー!!」
鉄色だった顔は、怒りで真っ赤になっている。
「こっ・・・これはいよいよヤバいよっ!ぽっぽちゃん、はるるちゃん!逃げるよっ!」
りゅねは、まだ自分の姿で遊んでいるぽっぽと、ぽるんが変身することを初めて知って驚いている、はるるの手を引っ張りその場から逃げる。
ぽるんは、大蛇のどってぱらにパンチを繰り出す。いつものゆっくりとした動作からは想像できないくらいの連続パンチである。
大蛇の胴体は、どんどんボロボロになっていき衝撃に耐えられず、
「グギャァァァ~~~!」
どどっどぉーん!
大蛇は、倒れ痙攣している。ぽるんは、その胴体を細かくちぎっては投げちぎっては投げしている。息絶えた大蛇の腹部にをちぎろうとしているときに、胃袋がもぞもぞしているのにぽるんは気づいたが、気にせずちぎって投げようとしていた。
大蛇が倒れたため、りゅね達はまた元の場所に帰ってきて、もぞもぞ動いている胃袋を遠くに投げようとしているぽるんを止めて胃袋を切り裂く。
「ぶっはぁ~~~~!!たっ助かったよぉ!!!君たちありがとう!!」
胃袋から、少し恰幅のいいおじさんが出てくる。
「隣の領地の視察に行ってたら、蛇に襲われてしまってねぇ。私はうさぎが好きなもんだから、まさか、ジャイアントシャーだったとは・・・。」
恰幅のいいおじさんは、胃液でどろどろの体を手で払うとサラッとまるで洗濯したかのような奇麗な姿になる。魔法が使えるようであった。
ぽっぽたちの名前を全員確認したおじさんは、ポケットから名刺を取り出し全員に配る。
【ハヤテ王国 国王 セイリウス・ハヤテ】
ぽっぽたちが受け取って名刺には、今から行く街のさらに先にある王国の王様の名前が書いてあった。
「ん??まさか、おじさ・・・ゲフン・・・王様なのですかっ!?」
りゅねが驚きながら確認すると、セイリウス国王は笑顔でうなづく。
「助けてもらったお礼は存分にするが、今手元にはポケットに金塊が4個しかないから取り合えず、一つづつ渡しておこう。」
りゅね達は、ずっしりとした金塊を受け取りそれぞれリュックに詰め込む。
王様は、近衛兵の待つ領地のほうへと魔法で出したじゅうたんに乗って飛んでいった。