草むらから現れたモンスター
草むらから現れたモンスター
ぽっぽが、草むらに向かって声を投げかけると、
ぴょこっ!
っと、角の生えたスモールラビットが現れた。
「なんだ~!うさぎちゃんじゃないの~!」
ぽるんは、小さなウサギだと気づくと両手に持っていた槍を地面に置いて近づいていった。
・・・!!だめだよーーーー!!!
ぽるん以外の仲間たちが声を揃えて、ぽるんが近づくのを止めようとしたが時すでに遅かった。
・・・ズルッ・・・ズルズルズルッ・・・ズゥヲォォォ!!!
ガプッ!
ぽるんには、目の前にいた小さなウサギがすごい勢いで上空に上がっていくように見えた。そのあと、ぽるんの身体を何かが挟み、ぽるんも上空へ飛んでいくような感覚を覚えた。
ぽっぽは、ジャイアントシャー(別名:偽うさぎ)と呼ばれる3メートルはある大蛇の巨躯に噛みつかれて上空に連れ去られてしまったぽるんを眺めるしかなかった。
「ぽっぽ、眺めててもぽるんは助からないよっ!戦うよっ!」
りゅねは、唖然としているぽっぽのおしりをたたき目を覚ませる。
「おぉぅ・・・。そ・・・そうだねっ!んと、ジャイアントシャーは火の属性魔法に弱いけど・・・。
・・・。誰も使えないじゃないのっ!」
ぽっぽは、ジャイアントシャーに有効打を出せるメンバーが誰もいないと、いじけて座り込んでしまった。
「んーそうだね~。火属性の攻撃がないと厳しいねぇ。
ん?なに?セイレーン。
・・・ふむふむ・・・なるほどなるほど・・・はいはい・・・。」
はるるが、ぽっぽの頭をポンポンしながらなだめていると『セイレーン』がはるるに話しかけている。いつも、『セイレーン』は、何か話があるときは、はるるの耳元で囁く。はるるが言うには、『セイレーン』は、人見知りの恥ずかしがり屋さんで、対人恐怖症だということだ。
「あのね、セイレーンが言うにはね、ぽっぽが持ってるその妖刀は「狐月刀」(コゲツトウ)って言って、ぽっぽの姿でもわかるように狐が憑いているんだけど、その能力は火属性の能力らしいわよ?」
『セイレーン』は、女神であるため物の属性を見抜くことができるらしい。
「まっじでぇぇ!!やっばいじゃん!でも、どうやって使うんだろ?」
それを聞いた、ぽっぽは一気に顔が明るくなる、使い方が分からず短剣を裏表上下とみていると、柄の下に赤いボタンがある。
「あ、これかな~!?」
ぽちっと、ボタンを押すと妖刀「孤月刀」が形を変える。徐々に大きくなっていき、八股の青い炎のような形に変わっていく。
「すっごーい!これがこの刀の本当の形かぁ!」
ぽっぽは、刀の変化に興奮して飛び跳ねた。すると、いつもは感じない、プルンプルン!!と胸に妙な重力を感じるしかも、なんか視界が変わった気がする。
足元から驚いたりゅねの声が聞こえる。
「ぽっ!!ぽっぽちゃん!!大きくなってるよっ!いろんなところが!!全体的にっ!!」
そう、妖刀「孤月刀」の変化と一緒に、ぽっぽの体も大人の体に変わっていた。
「この妖刀ヤバい・・・。そして大人の私ダイナマイトバディだわっ!!」
ぽっぽは、だいぶ長い時間、妖刀を変化させたり体の変化を喜んだりしており、ぽるんが食べられそうなことはすっかり忘れていた。