ぽっぽ
第1話 ぽっぽ
ある街の近くにある名もない森の中に、ぽっぽと3人のこびとたちは住んでいました。ぽっぽは、10歳になったばかりの赤い髪を三つ編みにした可愛い女の子。こびとたちは、ぽっぽが物心ついたころから一緒に住んでいました。
「ねぇねぇ。ぽっぽ、今日は森でかくれんぼして遊ぼ?」
青い帽子をかぶった、「りゅね」という名前のこびとがぽっぽを遊びに誘います。
「だめだよ。りゅね。今日は、ぽっぽは、木登りをするんだから。」
赤い帽子をかぶった、「ぽるん」という名前のこびとが横から口を挟みます。
「もう、りゅねもぽるんも、昨日わたちが決めた事もう忘れてる!今日、ぽっぽはみんなと一緒に街に行くんだったでしょ。」
ピンクの帽子をかぶった、「りさりさ」という名前のこびとが二人の話を遮ります。
「そうだね。りさりさ、今日は初めて街に行くんだったね。ぽっぽは、おぼえてたよっ!」
ぽっぽは、りさりさの言葉を聞き、準備を始めようとする。しかし、今まで、街に行った事が無いぽっぽは何を持っていけばいいのか分からなかった。
「ん~。ねえ、3人は何を持っていくの~?」
ぽっぽは、3人のこびとに街に行くのに何を持っていくのか聞いた。
「そうだね。ぼくは、絵本と、ラッパかな。」
りゅねが、まず答える。
「なんで絵本とラッパなの?」
ぽっぽは、りゅねに理由を聞くと、
「んとね。絵本は、道中何かないと暇でしょ?ラッパは、何かあったときとか、迷子になったときとか鳴らせばわかるじゃない。」
りゅねは、ぽっぽにそう言いながらリュックに絵本とラッパを詰め込んでいる。
「ぽるんは、なに持っていくの?」
ぽっぽは、ぽるんに聞いてみる。何となく答えは分かるのだが、予想通り
「ぼくは、おにぎりと、おにぎりと、おにぎり!!」
「うん。そうだよね、ぽるんはおにぎりってきっというと思ってた。おにぎり好きだもんねー。」
「うん。ぼくは、おにぎりさえあれば幸せだよ。」
ぽるんはそう言うと、山のように握ったおにぎりをリュックに詰め込んでいる。
ぽっぽは、りさりさのほうを向くと、りさりさは、地図や人数分の水筒とお弁当、帽子や、着替えの洋服、棚にためていたお金など集めてリュックに詰め込んでいた。
『うん、さすがはりさりさだわ、何となくりさりさの荷物のほうが正しいのは分かるわ。』
ぽっぽは、そう考えると自分も準備を始める。
「んと、お菓子と、おもちゃと、みかんと、スマホと、キャッシュカードと・・・。」
ぽっぽは、持っていくものを選びリュックに詰め込んでいった。