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夢の続き

初めての方は初めまして、読んでいる方は久しぶりです。少しでも楽しめれば嬉しいです。

 

 重だるい(まぶた)を、なんとか開けつつ朝食をとる。


 現在俺は一人で暮らしている為、朝食を作るのも自分でやらなくてはならない。

 

 両親はすでにいなくて中学の時から祖母に世話になったが、その祖母も高校入学後に施設に入ってしまったので、今は安いアパートに暮らしている。

 

 隣の部屋との壁はべにや板で区切られているのかと思えるぐらい薄いので、友達を呼んで騒ぐことも出来ない。

 

 だが昨日の夜は、両隣がいなかったのでゲームを存分に楽しめた。


 いっそのこと隣の住人が二度と帰って来なくてもいいと思っているのはこのアパートに住む全員が思うことである。

 

 お金もバイトで稼いだ金と両親の残してくれた遺産を崩しながら生活をしている。

 

 ほとんどの高校生は俺のような生活をしていないだろうが、俺はこの生活にはそれ程不満はない。


 成績は十分とれているのでバイトをしても問題ない。


 仮に教師に見つかっても学校から許可がでているので堂々することも出来る。

 

 そして今日も学校が終わってからはバイトがある。

 

 その後はいつも通り一世代前の安くなった中古ゲームを楽しむだけだ。

 

 だからこの話を友人らに言うといつも自由で羨ましいと言われる。


 でも俺はいつもお前らの方が羨ましいけどな。

 

 朝食を終え、身支度(みじたく)を整え部屋の鍵を閉めて学校に向かう。


 自転車を運転しながら今日の夢を思い出す。


 あまりにも興味のあるいい夢だったので強烈に覚えている。


 (異世界から勇者を召喚してみせます!)と言ったあの少女の言葉が頭から離れない。


 異世界召喚が本当にできるなら行ってみてぇなと素直に思えるほど俺は異世界に興味があるが、このことは誰にも言わない俺だけの秘密だ。


 ――――――だって痛い奴だと思われるからな。


♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢

 

 学校に着くとほとんど生徒が登校していた。


 来ていないのは部活を終えてこれから来る生徒ぐらいである。

 

 俺は自分の席に座って少しでも寝足りない分を取り戻そうと、周りのクラスメートがスマホをいじって話し合っている中でも机に伏せて目を閉じる。


 中にはゲームについて話合っている奴らもいるが、今は休息が第一である。

 

 少しして担任の教師が入ってきたので俺は体を起こして連絡事項(れんらくじこう)を聞く。

 

 俺の担任はいつもどおり連絡を終えると授業まで静かにしていてくださいと言って教室からすぐに出て行く。


 その為また机に伏せて眠ることができるので、とてもいい担任だと思っている。

 

 時間になり授業が始まりいつも通り授業を聞く。


 ここで、下手なことをするとバイトが出来なくなることも考えられるので、質問されれば答えて、読めと言われれば読み、問題を解けと言われれば解いていくだけだ。


 そして、順調に授業が終わり時間は昼休みとなった。

 

 今日はやたら狙われて、寝不足と疲労で頭が少しクラクラしている。


 その為いつも一緒に飯を食っている友人らに今日は行けないと伝えてバイト先からもらった総菜(そうざい)を食べてまた、机に伏して寝ることにした。

 

 気づくと、俺はまたあの夢を見ていた。


 まるで続きのように同じ視点から魔法陣があるこの薄暗い部屋を見ている。


 しかし今は部屋の中には誰もいない。


 静まりきったこの部屋だけを見ているだけで何も起こらない。


 しばらくすると誰かが部屋の中に入って来た。


 あれは、昨日の――――。


 朝に見た少女が部屋に入って来て魔方陣の中央にある何かに触れた。


 ペンダントか……?

 

 何やら金色に光るそれは、初めて見たのにどこか懐かしい気がした。

 

 少女は全く知らないのになぜだろうか、分からない。


 「やっとこの日が来たわ。あとは、私次第ね……」

 

 異世界召喚か‼と素直に思ってしまう。


 目の前で行われそうな儀式に、興奮気味になっているとまた誰かが入って来た。


 あれは、朝見た時にいた仮面の奴じゃないか?


 入って来てすぐに少女を呼んで何やら話している。


 朝同様何を言っているのか聞こえないので、とてももどかしい。


 そして話が終わって少女が魔方陣の真ん中に来て何かを唱えている。


 それに反応するように、魔方陣も紫の光を発光しながら輝きを増していく。

 

 やったー!これから何かが起こる。


 俺の直感(ちょっかん)がそう言っている。何が出る!?何を見してくれるんだ!


 しかし期待している時間は短い間だけだった。


 急に視界が揺れ始め、それに合わせて世界も揺れる。


 ちょっと!やめて!もう少しなのに!


 右肩を揺さぶられ目を覚ましその方向を向くとどうやら、先生が授業を始めようとしていたので、なかなか起きない俺を先生に見つかる前に隣の生徒が起こしてくれたようだ。

 

 俺はすぐにお礼を言って授業に集中する。


 それにしてもまた、いいところで終わったな。


次話にヒロインが登場します。

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