第1話 針のむしろ
初めまして、ポイドンです。
処女作なので拙いところが多々あるかと思いますが、楽しんで書いていきますので、楽しんで読んで頂ければ幸いです。
読み直しくらいはしますが、誤字があった場合は感想欄にお願いします。
勿論作品の感想もお待ちしております!!!
気持ちの良い朝、と聞いて想起するものは何だろう。
小鳥たちの囀りやきらめく暖かな日差し……人によって思いつくものは様々である。
そう……例えば「鉄格子」なんて如何だろうか?
無骨な鉄棒に区切られた、雲ひとつない真っ青な空。壁の向こうから聞こえてくる、微かな衛兵の掛け声。爽やかな朝の風が運んでくる、刺激的な鉄さびの香り。
「何でこんな事に……」
親しみすら湧いて来た鉄格子に想いを馳せつつ、俺はこの絶望的な一週間を思い出していた。
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「ーー 止めなさい!!」
急に響いた怒鳴り声に驚く間も無く、俺の体は床に崩れ落ちた。膝に上手く力が入らない。腰が抜けてしまったらしい。
「え……あ…………!?」
口から零れた自分の声で我に返り、四方八方から槍を突き付けられている事にやっと気付いた。
(なになになにってかここどこ!?!?)
いきなり殺されかけた衝撃で麻痺した脳に鞭を打って、何とか状況を思い出そうとする。
(俺はコンビニにノートを買いに……そうだ、道でいきなり白い光に包まれて……!!)
俺、世継 大和は極々一般的な高校生である。試験勉強で尽きたノートを買い足しに出かけた途中、いきなり視界が真っ白になり、目を開けた時には既に殺されかけていた。
(何処だよここ……ってかなんで刺し殺されそうになってんだよ!?!?)
全く思考が追いつかない。気付いたら殺されかけていたのだ、むしろ失神しなかっただけマシだろう。
「何をしているのですか、勇者様から槍を引きなさい!!」
状況を理解できず愕然とする俺の思考を引き戻す怒鳴り声がある。視界を覆っていた槍と鉄の塊が退いていき、俺はやっと、自分がだだっ広い石造りの広間の真ん中にいる事に気付いた。
「ここは……」
俺があげた声に反応して、また鉄の塊が槍を構えようとしていたが、先程の怒鳴り声のお陰か我慢が間に合った様だ。何かしてしまったのだろうか?
(いや、この広間?に来ると同時に殺されかけたって事は……俺の行動が原因ではない?)
未だ混乱しているのか、延々と自問自答を続ける俺の思考は、またもや先程の声によって引き戻された。
「申し訳ありません、勇者様……お怪我はありませんか?」
風鈴の様な声に導かれて、俺は顔を上げた。
読んで頂きありがとうございました。