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深・桃太郎  作者: けんしろう
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 2人は村の奥へと向かい歩いていました。途中、幾人かの村人と交戦しましたが雉の相手ではありませんでした。


「何とも異様な村だな……」


 桃太郎は周りの建物を見渡しながら言いました。初めて見る造りの建物や、何を目的にし作られたものなのかわからないものがそこら中にあるのです。


「ここは他との関わりを一切遮断して独自の進化を遂げた村じゃ、驚くのも致し方あるまい」


「…おい、来るぞ」


 今までの者とは違いとても強い殺気を放つ者が数人、桃太郎達の前に現れました。


「ぬぅ、雉めが……何をしに来た…」

 

「これはこれは大爺様、久し振じゃの」


 雉はこの村の長老らしき人物に挨拶をしました。丸腰である桃太郎は余計なことはせず、ただ雉の隣に立っていました。


「単刀直入に言うが…犬の力を借り受けたい」


 雉がそう言うと、数人いた男のうちの1人がこちらを睨み付けてきました。桃太郎はすぐにその男が犬であるとわかりました。


「何故、俺が貴様ごときに手を貸さなきゃならねえ」


「雉ぃ…どうゆうことだぁ……」



「鬼の討伐じゃ」


 雉のその言葉を聞くと大爺様を含む村の男たちの動きが固まった。


「そして作戦は少数精鋭での奇襲、犬が適任っちゅう訳じゃ」


「てめぇ!頭にのってんじゃねぇぞ!」


 犬とは違う男がこちらに近付いてきた。雉が動こうとしたが、それを桃太郎が制止し前に出た。男が詠唱を唱えようとすると桃太郎は瞬時に男の口を手で抑え地面に叩きつけた。


「ぐあっ……」


「大爺様、急いでいます。話を聞いてくださいますか」


「むぅ…」


 桃太郎は本気であることを見せつけ無駄な争いはしたくないということを目で訴えました。


「目的は一緒のはずじゃが?」


 雉が笑みを浮かべて言いました。


 大爺様は少し考えると決断を下しました。


「……よかろう、連れて行けい」


「なっ…大爺様!ご冗談を!」


 犬が反論をすると大爺様が手のひらを犬に向けた。その瞬間犬がその場に倒れた。


「雉よ、早く連れて行けぃ…」


「やはは、流石じゃの」


 雉は犬を抱えると桃太郎に帰るぞと指で示しました。


「恩に着ます」


 桃太郎は大爺様に礼を言いその場を立ち去りました。




----------------


 3人は雉の住んでいる寺で一夜を明かすことにしました。


「そいつは、犬は、使えるのか?」


 桃太郎がまだ気を失っている犬のことを雉に問いました。


「この村の者は、僕らとは違う力を持っちょる。鬼を倒す言うんやったら必要な力じゃ」



 そろそろ寝ようと蝋燭の火を消すところで犬が目を覚ましました。


「がはっ、ここは……なっ貴様ぁ!」


「落ち着けよ、夜中だぞ」


「あっ、すまん。じゃない、どうゆうことだ!俺は仲間になるなんて一言も言ってないぞ」


 犬は目が覚めて早々騒ぎ立てるのでした。


「おい雉!コイツは誰なんだ」


 犬は桃太郎を指で差しました。


「おいおい、これから付き従う頭に何て口の聞き方じゃ。桃太郎さんと呼んだらええ」


 雉が言いました。


「百歩譲って鬼を倒すってのには協力してやらんでもないが、こんなどこの馬の骨とも分からん奴となんか御免だね!」


「なら勝負するか?」


 桃太郎が言いました。犬が言いたいのは、桃太郎が着いていくに値する実力を持っているのかどうかということです。その意図をくみ取り桃太郎の方から吹っ掛けるのでした。



「望むところだ」


 そう言うと犬の目付きが変わりました。


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