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深・桃太郎  作者: けんしろう
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獅子神村





 桃太郎は雉が住み込んでいる雉天宗本寺で一晩泊めてもらいました。そこで2人は様々な話をしました。

 桃太郎は小さな村で育ち、そこには年寄りが多かったため、同じ年頃の者と話せたのはとても珍しく喜ばしいことでした。




----------------





「やあ旦那、久し振りじゃの」


 2人は刀を預けた鍛冶屋へとやってきました。


「雉か……やはり着いていくんだな」


 袁蔵は雉の事情を知っているようで、目を細めながら言いました。


「やはは、旦那には敵わんのう」


 そう言うと雉は桃太郎と猿の戦いのことを袁蔵に話始めました。すると袁蔵は急に黙り込みました。それに伴い雉はニタリと何とも言えない笑みを浮かべました。


「旦那、僕らぁこれから獅子神村へ行こうと思うんじゃ」

 

 袁蔵はしばらく口を開かなかった。


「……あそこは危険だぞ」


「百も承知じゃ」


 雉が向かうと言った獅子神村は桃太郎も聞いたことがある程有名な村でした。他を寄せ付けず独自の文化と文明を持っているという話です。

 そこで桃太郎には1つ引っ掛かることがありました。


「え、その村って……俺も行くのか?」


「当たり前じゃ、鬼倒す言うてる奴が行かんでどうする」


「行く意味はあるのか?」



「厄介なのは確かだが…あそこの者は力になる」


 袁蔵が言いました。


「ほら、袁蔵の旦那もこう言っとる」


「……わかった、だがまだ刀が出来てないだろ」


 桃太郎がそう言うと袁蔵は鍛冶屋の奥へと入っていきました。


「桃の字のは出来てねえが。ほら、お前のなら出来てるぞ」


 袁蔵が雉に渡したのは五尺を越えんばかりの錫杖でありました。


「桃太郎、今回は僕が一肌脱ごう。僕の力も見ておきたいじゃろ」


「……まあ、わかった」


 

----------------

 


「それで戦えるのか?」


 2人は山道を獅子神村に向かい歩いていました。


「やはは、なめてもらっちゃあ困る。まあ後は、お楽しみじゃ」


 しばらく歩くと小さな村が見えてきました。


「あれか?」


「あれじゃのう」


 その村へ近づくと桃太郎はすぐに異変に気付きました。


「人が…いない……いや、気配がまるでない」


「そういうところじゃ、待ってな」


 そう言うと雉は懐から1枚の呪符を取り出し、それを空中へ貼り付けた。


「人の気配がしないのは結界のせいじゃ、それを今から破っちゃる。」


 雉は呪符を前に印を結んだ。すると空間が弾け飛ぶのが桃太郎にも見えた。


「…お前」


「僕に破れない結界はない。それが例え鬼ヶ島じゃろうとな」


「ふっ…心強い……」


 雉はニヤリと不気味な笑みを浮かべました。雉が仲間になったのは桃太郎にとって大きな意味を持つことになりました。

 



「何者だ!どうやってここへ入った!」


 村へ入ると黒い頭巾と覆面を被る男が2人の前に立ちはだかった。


「門番か。桃太郎、僕の後ろにいろ」


 一瞬だった。男が1歩目を踏み出す前に雉は男の横に移動し、そして錫杖を振り下ろした。男は一撃でその場に倒れこんだ。


「弱いやつに用はないんじゃ」


「お前は…何者なんだ……」


 呆気に取られている桃太郎に雉が答えました。






「僕ぁ雉じゃ」





----------------


 


 

「ぬぅ…結界が…破られよった……」



「大爺様、これはいったい!」



「何者かが……2人…」



「いかが致しますか」



「如何なる者であろうと、この地に足を踏み入れた者を生かしてはならぬ…」



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