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深・桃太郎  作者: けんしろう
13/20

共闘







 神戌と狼の戦いが始まった。術と術の競り合いが行われるその戦いは、まさに―――――異様。





「昔からお前は!僕の…僕の全てを邪魔してきた!!」




 狼の周りから炎が吹き出し、それが神戌に襲いかかる。




「ああ?すまねえが何の話か検討つかねえな」




 神戌はその場に巨大な渦潮を発生させ炎をかき消した。




「くっ、強い。強いですねえ!いいですねえ!ははっ!倒しがいがある…!!」





 神戌は、ここで違和感を感じた。


 狼の感情についてだ。先程から感情の浮き沈みが激しすぎる気がする。


 昔を思い返してみたが、神戌と狼は今までそれほど関わっていないのだ。共にした時間はほんの僅か。神戌の記憶ではそのはずだった。



 だが狼の、神戌へ対する恐ろしいほどの憎悪は、少なくとも偽りではないと思える程だった。




「(何がそこまで…)」




「あはー!まだまだ付き合ってもらいますよお!!!」


  


 狼は叫び、神戌の方へ突進してきた。

 戦いが近接戦闘へと移行した。そしてそこでも術の競り合いとなる。



 狼の腕に無数の刃が現れ、その刃のついた腕で殴りかかる。


 神戌は足元から土の壁を作り出しそれを防ごうとしたが狼はそのまま打ち砕き神戌を殴り付けた。



「きたきたきたー!!」



 神戌は大きく飛ばされ地面に片膝を落とした―――――が、





「1つ言っておく。その土には大量の火薬を混ぜておいた」





 そう言うと神戌は一握りの炎を狼の周りに散らばる土に向け投げつけた。




「……な!!?」




 巨大な爆発音が島中に響いた。狼はその爆発の真ん中で盛大に巻き込まれたのだ。





「ガハッ…!グッ……!!」





「死なねえか…」






 神戌は本当に殺すつもりでやっていた。が、耐えた。おそらくは爆発寸前に何かしらの術で自らを包み、ダメージを抑えたのだろう。





 やはり、神戌は何か引っ掛かっていた。




「(これほど、現実に現れるほどの幻術を、いったいどこで…予想より厄介だな……)」



 

「ハァ……やってくれるねえ!!けどお、次は僕の番だあ!!!!」



 

 狼が両手を高々と掲げると上空には数千にも及ぶ氷柱が出現した。




「避けれねえよお…こいつはな!!!」




「くっ…!!」




 神戌は焦りを見せた。

 急いで狼に向けて攻撃を繰り出す。物凄い勢いで溢れ出させた水を一点に集中させる。それは水の柱と化した。






「バァ~カ!当たらねえよ!!」





 狼はその攻撃を避けた。

 術者を先に倒すことで上空に展開された術を解除するという考えだったが、それが避けられてしまった。





「甘いんだよお前は!終わりだあ…神戌ぃ!!」












「確かに、終わりだ…なあ、桃太郎」










「なんっ、だと!!!!」













    流刀十六夜の月『水の陣』












 狼の後ろから桃太郎が切りかかりった。







「くっ、くそがあああああああ!!!!」






 



 神戌の発した水の柱は狼に避けられたのではなく、避けさせたのだ。

 桃太郎はその水流を利用し、神戌との戦いで見せた技を使った。


 一度戦った2人だからこそ、互いの特性を理解し上手く共闘することができた。




そして見事、狼を倒したのだ。





 術者を倒したことで上空にある氷柱は崩れ始めたが、一歩遅かったのか消えずにそのまま落ちてきた。



「桃太郎来い」



 神戌は桃太郎を急いで呼びつけると2人の周りに球状になるように術を回らせた。

 落ちてくる氷柱はその表面に触れると砕け、溶けていった。




「何故こっちに?」


「ふっ、お前がやられそうだったからな」


「いやまあ、このくらいは最初から防げたんだがな」



「焦って見せたのは演技か?」



「騙し合いが術者の基本だろ」



「さすがだな」



「さあ、袁摩と烏禅のところへ行くぞ!」



 2人は拳を叩き合わせ、そしてその場を後にした。






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