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深・桃太郎  作者: けんしろう
12/20

鬼ヶ島上陸






 4人は島の一歩手前で足を止めました。


「結界か」


 その結界は鬼ヶ島を覆うように張られていました。


「この規模の結界を張れるってことは鬼の中には相当の術者がいるってことだ」(これは…俺以上の力を……)


 烏禅の言葉に神戌の顔が曇りました。


「ん~、本当は気付かれずに通りたかったんじゃが…さっき誰かさんが暴れよったからのー」


「いやうんそれは、すまないって言ってるだろう」


 桃太郎が感情に任せて軽率な行動をとったことを烏禅は攻め続けていました。



「これはまあ神戌に破ってもらうとして。始まるぞ…本気の戦いだ」



 神戌が結界に手を添える。すると、触れた部分から徐々に結界に穴が開き始めた。


「今だ!」



 4人は島へ足を踏み入れると勢いよく四方へ走り出した。




――――――――――――――――――――――

 



 作戦は3つ。


 

 1つ目、四方からの同時攻撃での奇襲。敵が混乱しているうちに敵の頭を叩いて統率を取れなくする。



 2つ目、常に敵と仲間の位置の把握。冷静に対処すること。



 3つ目、1人落ちれば一気に苦しくなる。死ぬ気で殺せ。そして死ぬな。





 鬼ヶ島は手付かずの岩がゴロゴロと転がっており、それがまた禍々しさを醸し出していた。

 

 桃太郎は予定の位置につくと合図を待った。最初に神戌の攻撃で混乱に火をつけるとのことだ。



 辺りを見渡すと、そこら中に鬼がうろついている。こちらに気付いている様子はない。やるなら今だ。


 その時、島の至るところから火柱が上がり一面に炎が広がった。


 

「神戌か、あの野郎!!」


 

 桃太郎は不敵に笑った。神戌は文字通りに戦場に火をつけた。そして、そのド派手な先制攻撃は相手を威圧するだけでなく、味方の士気を底上げした。



――――――――――――――――――――――



「(正面と左に2体、そして右に5体。烏禅の攻撃で混乱している。一気に削る!)」


 桃太郎はまず右方へ仕掛けた。初手でより多く倒さないと囲まれてしまう恐れがあるからだ。そうなると、4人がバラバラになっている今は、厳しい状況を作ることになる。



「っるぁ!!」


 鬼の右肩から左脇へかけて刀を斬り下ろす。その勢いのまま一回転、そして2体目の鬼の腹を両断した。

 近くには残り3体。桃太郎は刀を1度鞘に戻した。

 そして


「流刀三日月!」

 

 鬼に向けて飛ぶ3つの斬撃はそれぞれを的確に捉えた。

 桃太郎はお爺さんに教わった型を元に様々な技を編み出していた。その中の1つ「流刀三日月」は高速で繰り出される三連撃がまるで刃が飛んでいく様に見えるため、その形から三日月と名付けられた。


 近くにいた鬼はすぐにその攻撃に気付いた。




 そして鬼の皮膚の色が変わった。





「それが、本当の姿と言うわけか…」


 


 鬼の皮膚はまるで拒絶反応でも起こしたかのように赤くなった。この島に立ち入った者への警戒信号だ。




「グガアァァ!!!!!!」



 鬼の雄叫びがそこら中から響く。他の3人とも同じような状況であると予想された。



「うるせえ…黙れ……」



 桃太郎にとってその雄叫びは不愉快以外の何物でもなかった。

 そして、こちらに向かって突進してくる鬼を――――――斬る。一太刀で確実に捉える。残りの鬼の数を考えると無駄に体力を消耗することは避けたいのだ。

 桃太郎の通った道に鬼達が崩れ落ちた。


 時間をかけてもいられない。奇襲が意味を成さなくなってしまうからだ。桃太郎は、島の奥へと歩を進めた。





――――――――――――――――――――――







「ははははっ!燃えろ!!すべて燃えろ!!!」



 神戌は最初に一面に繰り出した炎をさらに強め、鬼を削っていった。

 笑いながら出されるその術に鬼達は手も足も出なかった。神戌の風貌は、もはやどちらが敵か分からなくなっていた。



 だが、その炎が一瞬揺らいだかのように見えた瞬間―――――炎が凍った。

 そのまま尖った氷の先端がとてつもない勢いで神戌まで伸びてくる。

 神戌の眉間にシワがよる。氷が向かってくる方向に手をかざし、先程よりも純度の高い炎を出し氷を溶かした。



「いや~、いやいや。さすがですねえ次期当主様は」



 いつの間にか氷の上に立っていたのは1体の鬼。いや、鬼の仮面を付けた人間だ。しかも神戌の村の事情を知っているようだった。



「これは人選失敗したかな~。まあ僕が意地張ったからだなあ。わざわざ、同じ術使いと戦うなんて。僕はなんて、なんて馬鹿なんだあ」


 

 仮面の上からでも分かる。のらりくらりとした口調のそいつは、恐ろしく強い。いや、本当は分かっていた。炎を一瞬で凍らせたあの術は神戌の、獅子神村の者しか使えないのだ。



「ここで何をしている…狼ぃぃ!!!」



 神戌から憤怒の炎が立ち上る。



 神戌の口から出たその男の名は《狼》。その名が付けられるのは獅子神村において重罪をおかし、村を追放された者のみ。

 そしてその時、外でも悪さが出来ないように術者5人の手によりその者の力は永遠に封印される。



「どこで手に入れた!!」


「何ですかあ。怒ってるんですかあ?あははは。はぁ…やっと会えましたねぇ……」



 狼の雰囲気が変わった。


「お前らのせいで僕は苦しんだ。お前らのせいで…だからお前らを殺す…」


 狂気に満ちたその目は神戌しか見えていなかった。



 だが、周りの鬼は片付けた。

 神戌も集中して戦える。



「てめえがそのつもりなら…全力で叩き潰す!自らの行いを後悔しろ!!」



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