旅のはじまり
装備品が一応整い、残ったこの山の財宝をどうするのか尋ねると迷うことなく持っていくとのこと。
どうやって?は愚問だろう。
定番とも言う『魔法の大袋』と言うのがやはりあるそうだ。
『魔法の大袋』は大きい巾着袋で、価値は収納力で変わる。また、背負い袋、大袋、小袋、鞄と種類がある。
もちろんルースミア所有の大袋は底なしらしい。
と突然何かと思えばローブを脱ぎ出し、しまう前に財宝浴びをしておきたいと…
元のドラゴンの姿に戻ると動物が清潔のために行う砂浴びのように楽しみだした。
俺はというと腹が減っていたので、財宝浴びを始める前にルースミアに尋ねたら、ここに来た連中の持っていた魔法の鞄にある保存食を渡された。
財宝浴びを眺めながらクソまずい保存食と格闘した。
「ルースミア、この大量の財宝を魔法の大袋に詰めるって相当な時間かかるかと思うんだけれど」
俺は食事を終え思ったことを言ってみる。
そもそもドラゴンって奪った財宝どうやって運ぶんだ?
大袋って言ったって、あの巨体で入れられるのか?それとも大袋自体がメチャクチャデカイとか?
そんな事を考えているとあれだけあった財宝が一瞬でなくなる。
「え?財宝は…」
「大袋に入れたぞ?」
「どうやって…」
「竜族の秘密の力だ。これは教えてはいけないと教わったので説明はできんぞ」
うん、なんかご都合っぽいな。
[どうしても思いつきませんでした]
でも、確かにそういう力が無いとドラゴンが財宝を奪って持っていくって無理そうだ。
とルースミアを見上げてみると一本の牙に大袋がぶら下がっている。
「ずいぶんとスッキリしたな。
主は頭に乗れ、一気に地上に出る」
俺はローブを拾うと頭を下に降ろしたルースミアに乗る。
龍じゃなく竜だけどタ◯ノコタロウみたいだなとか思った。
「しっかり掴まれよ。
人を乗せて飛ぶのは初めてだからな」
「わかってる。
けど、ルースミアも絶対に安全飛行してね」
ハッハッハッハッハと笑うと翼を羽ばたかせたと思った瞬間、ドシュン!といった感じで半垂直に急上昇しやがった。
「落ちる落ちる落ちるー!
無理無理、無理だー」
周りを見る余裕も無い、コースター系嫌いの俺は必死にしがみつき目を瞑るしかなかった。
こうして俺は交通事故で異世界まで跳ね飛ばされ、レッドドラゴンと遭遇し共に旅立つことになった。
第1章の完了です。
書き溜めもここまでなので、これ以降はスローペースになると思います。
何度も見返しはしましたが、誤字等ありましたら申し訳ないです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。