ヴァリュームからの脱出
さすが軍馬と言ったところか。
昼過ぎには街に到着した。
騎士団とは街の入り口で別れ、俺らは早速ギルドに報告に行くことにした。
ケツ痛え。
ギルドに入るとコンシェルジェさんのほかにキリシュ達もいて、起こった出来事を報告する。
もちろんルースミアがハイオークから聞いた情報は言わなかったよ?
英雄願望のない俺にとって面倒ごとはゴメンです。
それにどう説明するよ。
報告が終わるとスレイドのバカが昨夜の激戦を自分がいたかのように喋り出し、無駄に時間を費やしてしまった。
ギルドからは相当な危険な目に合わせてしまったと高額報酬で金貨10枚(100万円)をくれたが、ルースミアの財宝見てるし、ある程度自由に使わせてくれるため、正直フーンって感じだったが喜んだふりはしておいた。
ギルドを出ると俺は次いで武器屋を目指すことにした。
「なぁサハラ、まさかお前そこのボッタクリ武器屋に行く気か?」
「うぇ、ボッタクリだったの?」
「まぁ質は悪くはないがな」
「なら近いしあんまり時間かけたくないからそこでいいや」
「サハラ、何をそんなに急いでるの?」
「いやね、俺の予想だと騎士団が領主に報告したら、呼び出し喰らいそうな気がしてね。
出来ればその前に街を出たいと思ってる」
「えー!今日うちに泊まらないの?」
「何が嫌なんだ?
領主様に会えて感謝されるなんざ誉なことじゃねぇか」
「それが嫌なんだよ。
だから準備出来次第出発したい!」
「勿体ねぇなぁ。
まぁリーダーがそう言うんじゃ従うしかねぇな」
「むー」
店に入ると俺を覚えていた店主が揉み手でやってくる。
また前回と同じ物を頼むと喜んで用意しだした。
ルースミアもリストブレードが気に入ったらしく同じ物をやはり2つ購入した。
壊れたリストブレードを店主に渡すと驚いた顔で、どうやったらこんな壊れ方するんだと言ってたな。
俺は用意してくれた棒を確認するとお金を渡して店を出た。
よし!脱出準備完了だ。
不貞腐れるレイチェルを引きずるように街の出入り口に向かい、街から出ようとした時だった。
「サハラ殿ですね?
街を出るのは少々お待ちください。
騎士団の方に待たせるように言付かっております」
門番の兵士に止められてしまった。
こうして俺のヴァリューム脱出は失敗に終わったのだった。
しばらくするとギャレットが笑顔で現れる。
「サハラ君、見つかってよかった。
あの後領主に報告をしたら是非にサハラ君に会いたいと言われましてな。
祝宴を行うとのことなので、領主の館に来ていただきたい。
もちろんお仲間も一緒にどうぞ」
俺は会いたくねぇんだよ!
こういう時ってどうせ杖術を見せろだ、部下になれだ、厄介な頼みと言う名の命令をされるに決まってる。
「ギャレットさん、俺達はこれから街を出る予定でしたのでお断り「祝宴!」「ウメェもん食えっぞ」「奴隷ですが大丈夫でしょうか」」
お前ら行く気満々だな…
「サハラ、諦めろ」
ルースミアが肩をポンと叩いて言ってきた。
美味いものが食えると言うスレイドの言葉を聞いたためか、ルースミアの口元にヨダレが見えた。
お前もか!この食いしん坊ドラゴンが…
では行きましょうとギャレットに連れられ、用意してあった馬車に乗せられドナドナされる事になった。
諦めがついた俺は、領主の館に到着すると今の自分達の格好の事を思い出し、ギャレットにその事を確認をとると冒険者だと分かっているのでそのままで構わないと言われた。
当たり前だが武器だけは入り口で預ける事になり全員渡して館に入った。
この後領主と会って食事をする事になるわけだが、客間のような部屋に案内されそこで待っていると領主が現れる。
心配だった自己紹介をするが、ルースミアの名前が出ても何も反応を見せなかった。
はっきり言って権力者に興味も無ければ関わりも持ちたくなかった俺は、余計なことは喋らず極力聞き手に回った。
領主の名前はゲプシタラ=ノミナオシュ…と言い、爵位は伯爵と言っていた。
五爵、確か公・候・伯・子・男だったよな。
まぁ領主でいいか、が、今回のオーク討伐を詳しく聞いてこようとしてきた時は、必死に戦っただけで状況を把握出来なかったようにごまかす。
まぁ実際必死だったわけだしな。
話をしていて、決して悪い領主とかそう言うんじゃないと思う。
むしろ友好的な…フレンドリーに接して来るぐらいだ。
だが下手にこういう人達とパイプを持つと、爵位を与えられたりして自由が利かなくなったりする。
ルースミアの事もあるし、なにより俺自身その後領地を与えられたりとかは絶対に勘弁だった。
故に褒美の話が出た時は、丁重に断っておいた。
しばらくして食事の用意が出来たらしく食堂のような場所へ移動する。
長テーブルがあり、それぞれ座る。
俺たちの他には領主とその妻だけで、気を利かせてくれたんだろうか?
豪華な料理が並べられていて、スレイドとルースミアは目を輝かせていた。
味はすごく美味しかったが、普段通りスレイドはガツガツとルースミアは手づかみで食事をしている姿を見て、俺以外に領主達まで顔を引きつらせ苦笑いしていた。
食事をあらかた済ませると領主がやはりと言うような事を話し出した。
「そなたらに一つ頼みがあるのだが」
うわ〜い、頼みと言う名の命令が来たよ。
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