捜査開始
ブックマーク30超えしました。
ありがとうございます。
オーク達の襲撃なく迎えた翌朝、俺が目をさますとすでに起きていたエラウェラリエルが魔法の本を見て魔法を記憶していた。
俺が目を覚ましたのに気がつくとエラウェラリエルは魔法の本を閉じて背負い袋にしまう。
「おはようございます」
「おはようございます。
魔法の記憶はもう終わったんですか?」
「ええ。
今日はもしもに備えた魔法を集中して記憶しておきました」
ソーサラーとウィザードの一番の違いはこの使用する魔法を選択して記憶しないといけないところにあるが、ソーサラーが攻撃的な魔法が主だっているのに対して、ウィザードは補助的な魔法や日常的に使える魔法など痒いところに届く魔法も多くあるとエラウェラリエルが教えてくてた。
なるほどと聞いてはいたが、ルースミアは回復魔法まで使っていたのを見ているため、人間ではないのでソーサラーとはやっぱり違うのだろうなと思った。
やがてみんな起き出し朝食を食べるとエンセキとキリシュ達はヴァリュームへと引き返していった。
「俺たちも行くか!」
俺の掛け声で歩み始める。
見覚えがなんとなくある森にたどり着いたのは昼ごろだった。
「この辺りのはずだな。
どうするリーダー、手分けして探すか?」
「ハイオークの事もあるし、こう言う時別れて行動すると大抵危険に晒されるのが定番だから、効率は悪くてもみんなで行動しよう」
「なんじゃそりゃ?」
まぁいいからと言って、手分けして探すのは避けた。
ホラー映画じゃないけど、ああいうのは参考になるはずだ。
手分けすれば効率は確かに上がるがその分パーティの力は分散し、余計なものに遭遇する率も上がるのは当たり前だけどな。
当然ながらいつまでもゴブリンの死体が放置されているはずもなく、あたりをうろつくしかなかった。
そもそも俺には捜査とか言われても何をすればいいのかも分からない状態だしな。
「あちらの方角から腐臭がします」
犬だな、マジで。
カイの指し示す方角へ向かってみると、虐殺されたようなゴブリンの死体が山のようにあった。
「臭!なんだこれ!」
「あ、サハラ吐かないで平気?」
いやレイチェルさん、死体見たら吐くのが普通みたいな言い方やめて…
「報告とはちと違うが、こりゃオークで間違いないと思うな。
ただオークは魔法は使えないはずだが」
オークでいいです。
深入りして余計なものが見つかっても困る。
「スレイド、昨夜のハイオークのこともあるし、間違いないんじゃないかと思う。
下手にこれ以上調べてまた昨夜以上のオークに出会ったらキリシュ達もいないし危険だよ」
「何言ってんだ、ならなおのこと日中光に弱い時を狙ったほうがいいだろ?」
うぐ。
分かってるさ。
オークは太陽の光を嫌う。
日中は何処かに潜んでいるはずだろう。
住処がわかれば燻り出して一網打尽にすることも出来るかもしれない。
だがなスレイド、犯人はオークじゃないんだ。
「あそこ!」
突然カイが声を上げる。
カイの指し示す方角を見ると、巨大な狼に跨ったハイオークが3匹こちらを伺っていた。
「スレイド、ハイオークは陽の光の影響を受けないみたいだ」
マズいな、カイとスレイドは何とかなるけど、レイチェルは恐らく戦えない。
「どうするよリーダー。
ハイオーク、1匹見たらオーク100匹って言われてるから、300匹いるかも知れねぇ」
ゴキブリかよ!
「昨日で50匹以上だろ。
何なんだ、一体何が起こってやがる」
え、50匹以上だったの?
まぁ素人の目算だから間違えたか。
それよりも今どうするかだ。
今ならあのハイオーク3匹だけ倒せば良いんじゃないか?と思ったが、一定の距離を保とうとしているだけで襲ってはこない。
小説とか映画だったら主人公ってどうしてた?
くそ!一つしか浮かばない!
「スレイド!冒険者の先輩として聞く。
こう言う時どうする?」
「こう言う時だけ先輩かよ。
そりゃまぁ危険度が非常に高いと予想した場合は決まってんだろ。
逃・げ・るんだよ!」
やっぱりか。
「逃げずとも返り討ちにすればいい」
ルースミアが敵前逃走を嫌がってか追跡してでも戦うことを選択する。
スレイドが困った表情で俺を見てくる。
「ルースミア、これは逃げるんじゃない。
戦略的撤退だ!」
キリッと顔をさせて俺は言う。
一度言ってみたかったんだこのセリフ!
俺が言ったからなのか、言葉が通じたのか分からないが、ルースミアは渋々ながら逃げることを了承してくれた。
カイに背負い袋の荷物を必要最低限まで廃棄させる。
「逃げ足なら負けないわ!」
元気にレイチェルがそう言い、全員でユックリとその場を離れた。
「俺の予想では夕方頃からオーク達を引き連れて追跡が始まると思うから、それまで体力温存でヴァリュームへ向かおう」
「それじゃあ追いつかれちまうぞ?」
「どちらにしても追いつかれるから、夕方になったら一気に走るんだ。
昨日の野営地に着く頃には夕方になるし、もしかしたら誰かいるかもしれない」
話しながら早歩きで進んで行く。
俺はルースミアのそばに行き、日本語で小声で話しかける。
「チチョペリ」
「ん?言語翻訳」
さすがルースミア。
すぐに俺の意図を読んでくれた。
『どうした?』
『追いつかれたら俺とルースミアで迎撃だ。
皆んなを逃すんだ。
今話すと移動をやめたりして、距離を稼げなくなるといけない』
『なるほどな。
それなら我も全力を出せるというものよ』
他の仲間に会話自体も聞こえないように打ち合わせをしておく。
日が落ち始めた頃、俺たちは野営地にたどり着いた。
野営地には他に誰もいることはなかった。
俺たちが先ほどまでいた森の方角から、不気味な狼の遠吠えが聞こえてきた。
やっぱりここまでだったか。
俺は意を決して仲間に告げる。
「先に行っててくれ。
ここは俺とルースミアで抑える」
いつもありがとうございます。
おかげさまでブックマークが30件超えました。
感謝を込めて更新してしまいます。
今後もよろしくお願いします。
次回更新は明日の17時ごろの予定です。




