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凡人の異世界転移物語  作者: 小さな枝切れ
第一章 洞窟と竜
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ドラゴン

ダンジョンの奥深くで日がな一日山のように積み上げられた財宝の上で寝ている。

生物の頂点に立つドラゴンである我の邪魔するものなどそういるはずはない。


だが、ごく稀に我の財宝を狙ってくる愚か者がいる。

中には己を英雄だ勇者だとか言うものがいたり、時には大群で押し寄せてくることもあるが、その時はことごとく容赦なく蹴散らしていった。


他の同族達は知らないが、我はこの世に生まれ出て今日まで人間の領域に手を出し、わざわざ平穏無事に過ごせなくなるような事をした覚えは一度もなかった。

にも関わらず存在を知った連中は富だ名声だ、中には勝手に危険視して討伐などと現れる。


まぁ数年に一度程度しかそういう輩は来なかったため、軽い運動程度に思っていた。

だがここ最近は年に数回も現れるようになった。

こう頻繁になるとおちおち腹を満たしに出かけることもままならない。

留守の間に財宝を奪われでもしたら、食後の楽しみの一つである財宝浴びが出来なくなる。

どうしたものかなどと思案している時だった。


突然1人の人間が我の近くに吹っ飛ぶように現れそのままぶっ倒れる。

ありえない状況につい警戒すらせずに見下ろしてしまった。

その人間が瞼を開け目が合った瞬間、目を見開き凝視した後やがて諦めとも取れる表情で我を見ている。

ここまでたどり着ける武装どころか見たこともない格好をした人間をただただ見入ってしまった。


「アチョペリ…」


今何か言った!間違いなく喋った。

それと同時に顔をしかめてしまう。

人間が使う言語であれば共通語と呼ばれているものが普通だが、目の前の人間は共通語どころか我の知らない言葉を使ったのだ。

素早く言語翻訳の魔法を使い聞き直す。


「主、今何と言った?」


声をかけたが、その人間は意識を失ったようだった。

普段であればこのまま殺してしまうところなのだが、見たこともない武装と聞いたこともない言語に興味が出た我は、そっと顔を近づけ様子を見た。

見た目には目立った外傷は少ないようだが苦しそうに呼吸をしている。

怪我でもしていたのか?回復の魔法を唱えておくか。

これで持ちこたえなかったらそこまでだったと諦めよう。


やれる事はやったと我は目の前の人間が目覚めるのを待つことにした。


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