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凡人の異世界転移物語  作者: 小さな枝切れ
第二章 冒険者
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2つ目の能力

朝起きて食事に向かう。

今朝はどうやらレイチェルはいないらしく静かに食事が取れた。

食事が終わるとルースミアと共に武器屋を見に行く。


探すものは2つ。

一つはセスタスやクローなどの爪の代わりのように扱える武器。

もちろんルースミア用だ。

もう一つは杖と言うか棒だ。

これは俺用だ。


ルースミアの武器はいろいろな形状の物があったが、迷うことなくリストブレードを選んでいた。

プレ○ターが持ってる物にそっくりな形状のそれを、両腕に身につけてローブで見えにくくし、ブレード部分を出し入れして確認しながら顔をニヤけさせていた。


俺は俺で、出来るだけ真っ直ぐで太すぎず細すぎない棒を探していた。

店主に聞いてみたら、槍用の刃をつける前の棒で良ければあると言われて見せてもらう。

本来刃をつける側は切りっぱなしだが、お願いして両先端を石突きにしてもらった。

まぁ長さは120㎝ぐらいの伸びない如意棒って言えば分かりやすいかな?


とりあえず武器が思ったより簡単に手に入ってしまい、まだ午前中だったので冒険者ギルドに向かい依頼を見てみることにした。

冒険者ギルドに着くとコンシェルジェさんが軽く会釈してくる。

ルースミアと掲示板を見に行く。


「ルースミア、これどう?」

「ん?ただの雑草拾いじゃないか。

もっと、うん、これが良いだろう」

「薬草を雑草呼ばわり…

で、どれ?ヴァリューム湖遺跡の探索?」

「それ、オススメですよ」


と、コンシェルジェさんが声をかけてくる。


「そのヴァリューム湖遺跡はダンジョンデプス20までは確認済みですが、そこから先は帰還者無しのため不明です。

ですが、デプス3ほどまでは初心者でも十分練習にいいと冒険者達に言われてます」

「ヴァリューム湖遺跡まではどれぐらいかかりますか?」

「2〜3時間程です」


コンシェルジェさんのオススメとルースミアのプッシュで向かうことになってしまった。

日帰り予定ではあるけれど、一応魔法の鞄に保存食を2人で10日分用意し街を出る。


「ルースミア、防具買ってなかったよ」

「主は我に任せていればいいぞ?

そんな棒切れ持ってだいたいどうしようというんだ?」

「一応ね、昨日聞いて試してみたんだ」

「ほぉ、では命の奪い合いの覚悟も出来たか」

「前回はギルドの邪魔が入ったが、ここなら邪魔は入らねぇ!」


ヴァリューム湖遺跡に向かう道中にそんな事を話していると突然ハゲのオッサンが剣を突き出しながら出てくる。

最初誰か分からなかったが、冒険者ギルドに入るときにルースミアをナンパしていたハゲのオッサンだった。


「邪魔も何もあの時も言いましたけど、彼女は仲間なんです」

「仲間だとぉ!俺は恋仲を目指しているのだ‼︎

故にお前は邪魔なのだ!」

「いや、ちょっと…ぶっ飛びすぎてるよ」

「主よ、下がってろ。

ここは我に原因があるよう「待たれよ!今は俺と奴で話し合っているところ。

うむ、仕方がない、ここは男らしく戦いで勝負を決めることにしようじゃないか‼︎」


おいおいおい!このハゲ頭のネジ相当抜けてるぞ!

どういう思考回路してんだよ!

思わず固まってしまった。


「安心しろ!命を奪い合いまではしない、負けを認めるか、意識を失った方が負けにしてやる!」


うーん、試すには条件は良いかもな。

負けても殺されるわけじゃないし、ルースミアもどうせついていかないだろうし。


「我が叩き潰すか?」

「せっかくだから彼で試させてもらうよ。

負けたら後は頼むよ」


ルースミアに棒を持ち上げて見せてからハゲのオッサンと向き合う。


「そんな棒切れで俺と戦うつもりか?」

「そうですね」

「なめやがって!

なら死んであの世で後悔しろぉぉぉ‼︎」


と切りつけてくる。

約束違うじゃんとか思ったが、始まったからには仕方がない。

距離がまだあるため棒を槍のように突き入れる。

オッサンは躱しはしたが出鼻をくじかれ、棒の間合いに入り込もうとする。

そこを今度は薙刀のように振り払う、と同時に剣のように持つとオッサンの腕を叩き、剣を落とさせる。

一連の動作をさも昔から扱えましたとでも言うように棒を振るう。


「主よ、やるではないか」

「俺も正直ビックリだよ。

本当に昔から知ってるように扱えるよ!」

「テメー!何なんだその武器は!」

「見ての通り唯の棒切れですよ!」


自分自身の動きに感動し、ちょっといい気になってしまう。

その僅かなスキをついてオッサンは落とした剣を拾い上げ、上段から切りかかってこようとしたが、その上段が振り下ろされる前に棒をサッと突き出し手首に当てるとオッサンはうめき声を一つ上げて、上段に構えた手からポロッと剣がまた落ちる。

と同時に鳩尾に突きを入れ、前屈みになって隙の出来た首筋を叩き意識を刈り取る。

フーッと息を吐きルースミアの方を向く。


「それが主の出した答えと言うわけだな」

「うん、俺の住んでた世界にある杖術(じょうじゅつ)でね。

相手を即倒させる場所を狙って、殺さずに捕らえることを目的とした戦い方をするんだ。

情けないけど、やっぱり俺には命を奪う事に抵抗あるから考えた答えがこれだった」

「ふむ、いいんではないか?

主はその杖術とやらで身を守れるようになった。

我は我に刃向かう奴を血祭りにするだけよ」


とりあえずこんなところにハゲのオッサンを放置できるわけもなく、目がさめるまで待とうとなったのだがルースミアが面倒と顔面を蹴り起こした…


「イテテ、イテイテ」

「おい、貴様の負けだ。

本来であれば放置するところを起こしてやったんだ感謝しろ」


と顔面を踏みつけるルースミアさん。

何故か幸せそうな顔のハゲのオッサン。


「ウホッ!すっぽんぽん」


ただのエロ親父だった…

そういや、ルースミア素っ裸にローブだけだったっけ。


その後は全く気にしてないルースミアをほっておき、エロ親父に約束通り俺が勝ったのだから、2度と仲間にちょっかい出さないように言ったのだが…

上の空のままわかったわかったと去っていった。


一抹の不安を覚えながらルースミアとヴァリューム湖遺跡へと向かった。


いつも読んでくれている人ありがとうございます。


誤字脱字は注意してますが、見つかったら教えていただけたら修正します。


そろそろ主人公化けてくるのかなぁ?

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