表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
凡人の異世界転移物語  作者: 小さな枝切れ
第二章 冒険者
17/71

レッドエンペラードラゴンイン

レッドエンペラードラゴンインは1階がほぼ全フロアが酒場になっていて、2〜3階フロアが宿となっているようだ。


中に入ると20歳前ぐらいの明るい女の子が、こちらに気がつくと手をブンブン振りながら走ってくる。


「いらっしゃい!宿泊?それとも食事かしら?

でもちょっと食事には早いと思うわ!

だから、うん!宿泊ね!」

「う、あ、はい」

「なんだこの小娘は…」

「あぁ…また私やっちゃった。

これで2人がそのまま出てっちゃったりしたら私のせいなんだわ」

(うわ、なんだこの子…明るかったと思ったら急に落ち込み出した。って言うか心の声だだ漏れ)

「おい小娘、少し落ち着いたらどうだ」

「そう!落ち着いて私!

あっちに父さまがいるから付いてきて」


なんか俺とルースミアの手を取って笑顔でこっちよ〜とステップでも踏むように引いていく。

その不思議と嫌味のない明るく元気な姿に抵抗することなく連れて行かれてしまった。


「父さま!宿泊のお客様2人来たわよ〜。

きっと2人は恋人よ!えぇ、きっとそうだわ!」

「こ、こここ!恋人!」

(そういう言葉にばかり超反応示すなよ)

「コラコラ、レイチェル。

後は父さんがやるから、夕飯の支度を母さんと頼むよ」

「わかったわ父さま!

いいかしら!お二人さん!私がさいっこーに美味しい料理を作るから期待して待ってなさいよ〜」


ビシッと指をさし、そう言うとレイチェルは機嫌良さそうに厨房の方に鼻歌を歌いながら消えていく。


「いや〜、娘が飛んだご迷惑をおかけしました。

それでですけど、本当に宿泊でよろしかったでしょうか?」

「ええ、冒険者ギルドの紹介で来たんで」

「それは良かった。たまにうちの娘に強引に連れてこられちゃうお客さんもいましてね」


ハハハーと言った感じで苦笑い。

同じく俺もハハハーと笑ってしまう。


「宿泊はどういたしましょうか?

1日単位と10日単位でのご予約方法とコンドミニアムスタイルがありますよ」

「違いは?」

「宿泊は2食付きで一泊5千円から、10日単位での長期宿泊の場合は4万円からに割り引かせて頂いとりますが返金無し。

コンドミニアムの場合は月契約で部屋の貸し出し料10万円で食事無し。

別途で月契約朝晩2食酒別料金でこちらは1人で5万円といった感じですな」

「滞在期間は未定ですが10日以上は分からないんで、長期宿泊にしておきます」

「あいよ、部屋はシングル、ツイン、ダブル、パーティーのどれにしますかね?」

「シング「そのシングルだとかツインとは一体なんだ?」」

「お?おお、シングルはそのまま1人部屋、ツインは1つの部屋にベッドが2つで「親父さん!やっぱツインで頼む!」」


それ以上は言うなと俺は自分で出来る限りの殺気を込めて言う。

俺の必死さを見て取った店主が苦笑いを浮かべながらあいよっと返事した。

代金を払い、部屋の鍵を受け取り部屋に行く。

部屋に入り一息つくとルースミアが腰に手を当て説教染みた事を言い出した。


「主よ、シングル2部屋にされたら我が使い方を知らないから困るではないか。

それに聞かれたくない話もし難い。

よいか?冒険者になったとは言え我も魔法だけしか使えないとなると心許ない。

そして主は命を奪うことに対して抵抗ありといった状況だ。

せめてだな、殺せとは言わんが毎回吐く事がないようにしろ。

戦ってる最中耳にしたくない」

「う、何も言い返せない。

でも少し俺にも考えがあるんだ。

ただその前に一応ルースミアに確認したい事があるんだ。

『賢人の腕輪』の能力は例えばウィザードなら成り立てなのかな?」

「主は共通語の時で気がつかなかったのか?

人間が努力次第で獲得できる能力の範囲なのだから、当然言葉を覚えたてと言うことはない。

つまり努力次第で得られる限界までの能力となる」

「それってチートっぽいじゃん⁉︎」

「そう言うのをチートと言うのか?

だが言っておく、まず腕輪を失えば全ての能力は消える。

そして、世の中主の思った以上に天才はいるからな」

「天才ってそんなに居るものなの?」

「賢人と違い天才とは天に与えられた才能だ。

努力しなくても人より上手く、努力すれば努力して到達した者を超える。

だが、己の天才に気がつかず努力しなければ伸びはしないままということよ」

「じゃあルースミアもう一つ、賢人の腕輪の能力はこの世界にあるもの限定なのかな?」

「それを我が知っていると思うのか?」


そんな話をしているうちに夕飯の時間となり酒場のほうに行く。


「あ、うちに泊まってくれる事にしてくれたのね。

じゃあ空いてる席に適当に座っちゃって。

早くしないとこわ〜い顔した人達がいっぱい来て席が埋まっちゃうの。

でもね!みんないい人たちばかりだから安心してね」


うーむ、俺もルースミアもレイチェルのペースにどうもついていけないようだ。

大人しく従うままとなる。

俺の勘でできるだけ隅の厨房寄りに座って食事を摂ることにした。


案の定食事を開始してしばらくすると冒険者達がゾロゾロとやってきて席はいっぱいになり、どんちゃん騒ぎがはじまる。

しかもその騒ぎの中心にレイチェルがいて、愉快に皆んなで歌って踊っていた。

ルースミアも好奇心が湧き釣られそうになっていたが、何とか食い止め早々に部屋へ退散した。


「明日はいろいろやる事があるから、今日は早めに寝て体を休めよう」


そう言って俺は小声でコマンドワードを唱えてから眠りについた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ