城塞都市ヴァリューム
ようやく10メートルはある高さの壁に囲まれた街の入り口に着いた。
ヴァリュームというらしい。
入り口には兵士がいて人の往来をチェックしていた。
[ヴァリュームへようこそ
通行証、冒険者証所有者は提示を
どちらもない者は手続きを]
入り口の側に広告のような感じで親切にあった。
もちろんどちらもない俺らは、手続きをする方へ向かう。
兵士がいろいろ質問をはじめる。
「ヴァリュームにはどういった要件で来たのですかな?」
「観光を兼ねた調べ物です」
「なるほど、滞在期間を聞いても?」
「予定では5日ほどですが、冒険者ギルドで登録するかもしれないです」
「身元不明者は毎回街に入るのが大変だろう。
冒険者証でも所有することをお勧めするよ」
「失礼ですが、通行証と冒険者証の違いは何でしょう?」
「通行証は非戦闘の商人など生産者がほとんどで国内しか使えない。
冒険者証は国境を越えて使える」
「冒険者証の方が良さそうですね」
「そうでもないぞ、通行証は審査があるから信用度が高い。
冒険者証は手軽な分信用度が低い。
また違反行為により奴隷落ちにもなりやすい。
ゆえに場所によっては安くはないが金を支払う事で、各街のみの仮通行証になるそっちを受け取る方が良い場合もあるがな」
「金で信用を得ると言う感じですね」
「ははは、そうとも言うかもな」
そんな感じで何とか街に入れるようになった。
ちなみに仮通行証2人分で銀貨2枚、仮通行証の有効期間は10日、それまでに返却しないと罰金が発生する。
ルースミアは最初に言っていた通り、交渉事は相槌を打つ程度で無言だった。
ヴァリュームの街に入る、普通ならここで街の雰囲気とかで感動したりするんだろうけど、俺には映画で見た感じと一緒だな程度だった。
と格好つけたいところだが、物凄くキョロキョロしまくり挙動不審丸出しだった。
ふと我に帰り、ルースミアはと見ると俺以上に挙動不審で、いつの間にかガッシリと腕を絡まされていた。
当然振りほどいたよ。
時間的に昼、たぶんこの世界では食事は朝晩2食だろうと思う。だが…
「主よ、腹が減った。
朝から干し肉だけで腹の足しにもならん」
ここに自称月一餌だった、腹ペコドラゴンがいた。
「ルースミアの好物って何?」
「うむ、良く聞いてくれた。
我の好物は肉全般だ!」
聞いた俺がバカだった。
とりあえず、見回すと露店で串肉を焼いている店があった。
間違いなくルースミアはあの匂いに釣られたのだろう。
店で串肉2本頼む。
うーん魔法の鞄って便利だ。
言われた金額を思って鞄に手を入れれば丁度の金額を取り出せる。
銅貨2枚を渡し串肉を受け取り、1本をルースミアに渡す。
「串が邪魔だな。
だが…ふむ、焼いた肉は初めて食べたのだが…なかなか美味いものだな!」
「うん、肉汁もすごく出て噛めば噛むほど旨味が出てくる」
久しぶりの美味しい食べ物という事もあって、2人ともペロリと食べきってしまう。
お腹も軽く満たしたし、冒険者ギルドにと思ったが場所がわからない。
露店のオッサンに冒険者ギルドの場所を聞いて向かう事にした。