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凡人の異世界転移物語  作者: 小さな枝切れ
第二章 冒険者
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現実を見る

「我が守るから主は下がっていろ。

この姿で制限されるが、どこまでやれるか調べておくのにはちょうど良さそうだ」


そう言うとルースミアは俺の前に立ち身構える。


俺は仕方が無いとはいえ自分の無力さを感じる。

街に着いて落ち着いたら、賢人の腕輪を使ってでもいいから何か力を得よう。

最悪、元の世界に戻れなかったら生きる術は必要になってくる。

とは言え俺に生き物殺せるのかな…


と考えていたら近くに何かが転がってきたから見てみると、ゴブリンの首だけがそこにある。

ビクビクと目や口がまだ動いて…


「ウワアアアアアアアア!」


意識するより先に叫び声を上げる。

と同時に猛烈な吐き気をもよおし、一気に胃の中のものをぶちまける。


オエエエエ


やっぱ俺にこの世界無理だ。


ルースミアの方を見ると今度はゴブリンの首筋に噛み付いていて、ブチンっと嫌な音がしたかと思ったら、首の肉を引きちぎった。

血が吹き出て倒れるゴブリン。

ルースミアの口から、ベシャっと肉片を吐き出される。


空になったばかりの胃から胃液を吐き出す。


ルースミアは俺を守って戦ってくれてるんだと顔を上げれば、今度はエクソ◯ストの様に首が180度回っているゴブリンの顔がこっちを向いて倒れる。


可愛い顔した赤毛の美人が、首を引きちぎり、首筋を噛み切り、首を180度ひねっている。

目の当たりにすると一部分しか写ってない映像や映画なんかと違い、常に広い視覚でハッキリと全体の音まで聞こえる聴覚に加え嗅覚まで加わる。

平和な日本に暮らしていた俺にはどれもありえない事ばかりで、恐怖云々よりも気が触れそうだった。


ゴブリン2匹が何か叫び逃走しだした。

ルースミアがそれを見て恐らくゴブリン語で笑うように何か言い放っていた。


「そろそろか」


ゴブリンとの距離がある程度離れた時、ルースミアからそう声が聞こえたかと思うと、バレーボールぐらいの火の玉がゴブリンに向かって飛んでいき、命中したと思ったら爆発する。

ゴブリン2匹が木っ端微塵に吹き飛んだ。


「今の姿だと魔法と手と嚙みつきのみか」


そうルースミアが言うとこちらを向き、俺の方へ向かってくる。

可愛い顔した赤毛の美人が笑顔で口の周囲を血まみれにさせて…


それを見た瞬間に俺は意識を失った。




目が覚める。

日が落ち始め辺りがうっすら暗い。


目の前に見下ろす形でルースミアが先ほどと変わり無いままの状態で見つめている。

一瞬声が出そうになったが、心配そうに見ている姿に声を飲み込み見つめ返す。


「主…大丈夫か?

今後もこういう事は続くのだ。

慣れていかねば生きてはいけないぞ」

「そう、そうだよね…

慣れるしか無いんだよね」


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