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あめふり
【あめふり】
小雨の中を傘だけ持って歩いた
白く煙って町が見えて
みんなの表情が違う
たまにはこういうのもいいもんだねって
私が傘に話しかけると
傘はちょっと照れくさそうで
でもちゃんと雨粒を外へ逃がした
みんな頭の中に入ろうとしてきて
でも私のことは見ていなくて
自分のことばっか並べて
でもそれを知らないで
自分のことさえよくわからないのに
他人を理解しろと小さな大人が言う
彼らは自分がどれだけ大きくて
どれだけ小さいのかを知らない
雨粒が靴を濡らして小さな枯れ葉がまとわりつく
いつもは腹立たしいこいつも
今日はちゃんとお客さんにしてあげよう
帰ったらまた小言ばっかり言われて
明日になったらまた出来ないやつだと笑われて
明日もまた雨が降ったら
もう一度デートしようか
傘は少し照れて、でもちゃんとうなずいた