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校門に7人が集まっている。それらは龍の牙の幹部と私の両親である。どれも見たくない人である。はぁ。特に両親は何に来たのか。
『優雨──』
『初代総長──』
『優雨さん──』どの言葉も私を呼ぶものである。校門で騒ぐな。まったく…恥ずかしい。行きたくないけれど行かなきゃな。重たい足を動かす。
教室に廊下に校庭…歩いている私への好奇心の目が辛い。校庭に出ると私が見えたのか、両親は走ってきた。
『元気にしてたか?』
『元気だった?』両親からの言葉。私の体をいたわる言葉である。こんな事初めて言われた。
『今まで悪かったな。これからは学費などちゃんと払うぞ。』
『美味しいお菓子を買ってきたの。ゴデ○バのチョコとクッキーよ』2人共笑顔…何か含まれている笑顔だ。
なにが目的だ?
『怖い顔しないで。私達はただ、私達まで悪い噂が立っちゃったら嫌……あ。』急いで口を手で覆った。そういうことか。
『学費ならタダだからいらない。今まであんなに私を……それなのに何?てのひらを返して……帰って!!』
『だか──』
『帰って!!』父の言葉を遮って言った。諦めたのか2人は帰って行った。
『すみませんでした!!』次は龍の牙か…
『ったく…愛雨にあっさりと騙されやがって!
お前らに《龍の牙》なんて似合わないし、もったいない。お前らのチーム名は《龍の入歯》で充分だ!!』
『龍の……入歯。それじゃ威厳が…』
『威厳も糞もあるかーー!!お前らのチーム名は龍の入歯で決定だ』こうして《龍の牙》は《龍の入歯》になった。いや、させられた。