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見えない手の取り方  作者: KKK
事象①    片瀬 心
3/9

コンビニはどこでしょう?

ほら


見える?


彼女が


見える?


君が


見える?


彼女の名前は、片瀬 心


彼女は夢を見ている


いつか家に帰れることを


いつか愛されることを


だから夢を見る


幸せな夢を


愛される夢を


君の仕事は今見ている夢を壊すこと


夢を終わりにして


紡ぐこと


君のために


彼女のために


夢を終わりにしないと


彼女は消える


夢に消える


だから


君は仕事をする


綺麗で


残酷で


不気味な


彼女の夢を壊すことを






片瀬心は歩いていた


暖をとろうとコンビニに向かって


「コンビニ~コンビニ~」


この辺に確かあったような


昼ごろ、ここに来るときにちらりとコンビニを見たはず


確か・・・この辺だったはず


街頭とイルミネーションに照らされている町は明るく、お店を見落とすはずがない


でも・・・見当たらない


「う~ん・・・私方向音痴じゃないはず」


どちらかと言えば一度行った場所は忘れないタイプだし。


何気なく後ろを向いた


変な人が追いかけてきているわけではなく


後ろで呼ばれたわけでもない


ただ何となく


後ろを向いてしまった


それが失敗だった


目の前の風景が一瞬ゆがむ


「ポン」


まるでシャボン玉が割れるように静かにそして綺麗に


空間が割れ


何かが現れた


白い服、背中には・・・・掃除機?


額にバーコードみたいな刺青


身長は私と同じくらいか・・・


前髪から覗く顔は女の子かな


服はブレザーだろうか、胸に変な模様が付いている


肌も真っ白で綺麗


う~ん、可愛い子だな


って冷静に分析している場合ではなく


「なっなに!?」


目の前にいきなり人が現れた!?


なにこれ!?


しかもあれですよ


落ちて来たとかじゃなくてなんか瞬きしてもいないのにいきなり目の前に人が。


「なにこれ!?ついに私、幻覚まで見るようになったの!?」


目の前の子は、何も言わずにじっとこっちを凝視している


私は頭の理解が、追い付いていかない


きっと、パソコンのフリーズってこんな感じなのだろう


ごめん!学校のパソコンさん


フリーズしたからって斜め45度から殴ったりして


君もこんな感じになっていたんだね


これは確かに止まるよ


頭が理解できない


見間違いなんかじゃない


確かにこの子は空間を切り裂いてきた


目の錯覚なんかでもない


確かに私はこの子が現れるところを見ていた


仮定・・・瞬きをした。


考察・・・瞬きをしていた間に来た


否定・・・後ろを見たとき人はいなかった


結論・・・エラー


いろんなことを考える


この事態に説明をつけるため


しかし


どんなに考えても答えがでない


あれ?


今日何日?


学校何日休んだんだろう


そういえばお腹すいたな


何か・・・・食べものは


「おい」


鈴のような綺麗で澄んだ声が妙に頭の中に響いて聞こえた


その声のおかげで私は現実に戻されたようだ


「お前が片瀬心だな」


・・・・片瀬心


誰?


あ~私か


片瀬心


16歳


彼氏なし


身長155㎝


体重4・・・・ああああ


「ってなに!?いきなり!?てかなんで!私の名前を知って」


背中の掃除機のような物の先をこちらに向けて来た


なんだ


掃除か?


そして、少し落ち着いた私の心を再び乱す言葉をこの子は発したのだ


「お前の夢を壊しに来た」


「は?」


これが私の夢だったらいいのに。


夢を壊すそんなことを言った不思議な子は腰に付いているポーチからメモ帳らしき物を取り出した


「・・・片瀬心と98%で一致。これより夢の排除を実行する」


じろじろと顔を見られる


なんだか・・照れるな


それにしても・・・驚く程綺麗な肌


真っ白で・・・雪みたい


透き通るような瞳


女の私でもドキッとしてしまう


呆けている私に何か差し出してきた


紙?


パニックになっていて少し前後不覚な私


とりあえず周りに助けを・・・ってあれ?


さっきまで人通りが少しはあった通りに誰もいない


そればかりか点滅するはずのイルミネーションが光ったまま


なんだこれ?


人の気配もない


なんていうか


何も感じない


寒くもない


「いいから、その紙を見ろ」


その感情のない声にまた少し頭が冷えた


「なんなのよ・・」


渡された紙を見てみる


その紙にはでかでかと


「「悪夢認定書」」


と書かれていた


「はあ!?」


もう驚き過ぎてわけがわからない


「片瀬心。貴方の悪夢をここに認定します」


不思議な子の声とは違う


甲高い子供の声ようなが聞こえた


「今の誰!?・・・・・って痛い!」


いきなり額に何かを押しつけられた


「「ポン!」」


なんて軽快な音がなった


なんだろ?


「これよりあなたの悪夢に介入します」


まただ、子供の声


見渡してみるが誰もいない


てか、あれ?この子の声じゃない?


でも確かに声が聞こえるし


今だって


「悪夢への介入が起きた間の記憶は失われますので気にせず」


ほら、どこからか声が・・・・。


今の声は一体・・・。


声の主を探すが一向に見つからない


あれ?でも声の位置が目の前の子の胸のあたり?


「まあ覚えてられないと思うけど、改めまして自己紹介します」


確かに胸のあたりから聞こえる


「この子が夢渡り、名をメウと言います」


でもスピーカーもない


不思議な子はメウ


もう頭の中がパンクしそうだよ


「そして私が判子のグリと申します」


・・・・判子?


胸のあたりには大きな判子


もしかして


「判子が・・・しゃべってる!?」


「そりゃ、判子だってしゃべるでしょ」


私、判子と会話している


もうダメ


わけがわからない


突っ込みも間に合わない


とりあえず現状を、メウと言う少女?に尋ねようとした


しかし、それは叶わなかった


突然目の前がブラックアウトしていく


瞼が重い


目が・・・体が・・・落ちる


そのまま私は気を失ってしまった







夢を見た


一人で街を彷徨う夢


夢を見た


両親から逃げる夢


悲しくって


辛くって


切ない


そんな夢を見た


でも夢


いつか目が覚める


幸せな現実に戻れる


そう思って目を覚ました


でも目覚めなかった


これも夢だった


ここは





夢が夢を見ている世界

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